フランバーズ屋敷の人びと2 雲のはて (岩波少年文庫 598)

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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001145984

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  • 飛行機への夢を追う人をそばで見つめて。

    家を出たクリスチナとウィルは、それぞれ結婚に向けて生活を始める。ウィルは飛行学校で働き、クリスチナはその近くのホテルで仕事を得る。さらに飛行機に魅せられていくウィリを、クリスチナは近くで心配しながら見守り、愛を育んでいく。事故や死と隣り合わせの飛行機乗りという生き方を選ぶウィルと、不安と喜びで心引き裂かれそうになりながらもウィルを愛するクリスチナの関係はどうなるのか。

    思った以上にウィルが現実的で安心したが、飛行機に命も時間も捧げるウィルを必死で追いかけるクリスチナには頭が下がる。途中で何度も命の危機に遭いながら、ウィルは飛ぶことをやめないので、彼はクリスチナの不安や心配を受け止め切れていない気がした。それもウィルの魅力かもしれないが、心乱れるクリスチナの描写には同情し、心配し、ついページをめくる手を急いでしまう。

    前の巻であのような別れ方をしたマークも再登場する。彼も分別を得たような、少し大人になったような。クリスチナがウィルを捨ててマークに惹かれるようなことはないが、マークも魅力的な人物であることは確か。この巻からの新しい登場人物サンディは、陽気で優しく、クリスチナの不安も受け止めてくれる好人物。それだけにラストはショックだった。

    進化途上の飛行機の描写も面白い。しかし気になるのは戦争の影。あからさまに迫る第一次世界大戦。続きはさらにクリスチナと読者の心をかきむしる展開になると予想した。

  • 前作でラッセル家から家出してきた主人公カップル(まだプラトニックな関係)が身をやつして労働を始める境遇の変化で俄然面白くなった。
    クリスチナは付き合わされ飛行機に乗ってドーバー海峡を横断、バルブ不調で(当時は’60年代ロケット並みに冒険的乗り物)あやうく墜落の危機だが「愛している」と書いた紙切れを手に入れた。「最後のカップル乗馬」も経験した。
    ラッセル当主が亡くなり(ウィリアムは葬式に出ず借金が多い館は兄マークが継ぐ)障害が無くなり二人は結婚するが二年前から予想された戦争が始まり空軍に志願すぐ終わるはずと呑気。

  • 自分の夢にまっしぐらで、彼女のことをわかろうともしない彼に、それでも、自分を偽ってまで寄り添う主人公。
    彼女には身寄りもなく、彼しかいないから、我慢できるのか。
    情報と出会いにあふれた現代人には、こんな愛はムリかもね。

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