八月の暑さのなかで ホラー短編集 1 (岩波少年文庫 602)

  • 岩波書店 (2010年7月14日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (244ページ) / ISBN・EAN: 9784001146028

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

ホラー小説の魅力を存分に味わえるアンソロジーで、全13編の作品が収められています。訳者の瑞人による瑞々しい翻訳が、恐怖を感じながらも楽しめる絶妙なバランスを提供しており、ホラー初心者にもおすすめです。...

感想・レビュー・書評

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  • akikobbさんのレビューから読みたくて。金原さんの瑞々しい訳で怖がりでも楽しめた。その後が恐怖『八月の暑さのなかで』最後の一言効く『ブライトンへ行く途中で』大人な味『顔』一番嫌な雰囲気『ポドロ島』正統派『ハリー』が印象的。

    • 111108さん
      「怖がりでも楽しめた」って、実はあんまり褒めてないかも?初心者大歓迎ということで‥。
      「怖がりでも楽しめた」って、実はあんまり褒めてないかも?初心者大歓迎ということで‥。
      2023/06/24
    • akikobbさん
      いえ、なんというか、「激辛カレーというからただ辛いだけのシロモノかと思っていたが、食べてみたら辛味の奥に甘味苦味酸味旨味…と複雑な味わいがあ...
      いえ、なんというか、「激辛カレーというからただ辛いだけのシロモノかと思っていたが、食べてみたら辛味の奥に甘味苦味酸味旨味…と複雑な味わいがあることがわかり、辛いものが苦手な私にとって確かに辛いことは辛いのだが、でも美味しいと感じた」みたいな感じでした、私は。怖いっちゃ怖いですよね?!でももっと欲しい!と…。
      2023/06/26
    • 111108さん
      ↑うわー!まさにそうそう!という感じです♪
      これくらいの辛さならまだ違う風味もいけるんじゃない?と。挑戦しちゃおう(๑˃̵ᴗ˂̵)
      ↑うわー!まさにそうそう!という感じです♪
      これくらいの辛さならまだ違う風味もいけるんじゃない?と。挑戦しちゃおう(๑˃̵ᴗ˂̵)
      2023/06/27
  • 岩波少年文庫の英米作家によるホラー短編集。

    ※※※ネタバレしています※※※

    【エドガー・アラン・ポー「こまっちゃった」】
    あたしはエディンバラの学校で文芸部に入ってる12歳の女の子。先生が恐怖小説の宿題を出したの。先生は「コントラストが大事だ」って言う。ずーーっと怖い場面を書くよりも、平穏のなかの恐怖を出すのがいいんだって。
    あたしは考えた。やっぱり怖いのは自分が死んでいくことよね。生きたまま埋葬されるとか、縛り付けられて上から刃物の振り子がゆっくり降りてくるとか、自分の舟が大渦に巻き込まれてしまうとか!
    じゃあ町にネタを探しに行こっと。あたしは高い時計塔に登ることにしたの。そして文字盤の穴から顔を出してみたの。うわお!こんなエディンバラ初めてみた!
    その時なにかに首筋を押し付けられた。え?これって長針?穴から顔を抜こうとしたけど動けない!やばっ!
    首が締め付けられて、あたしの右目がポンッと飛び出して下に落っこちていいった。次は左目。ついにはあたしの首が…。
    ==なんだなんだ、ポーがこんなに軽妙で楽しいもの書くの 笑笑
    …と思ったら、翻訳者によると「ポーには傑作とつまらない話があって、この話の原作はとってもつまらないです^_^;」とのこと。そこで面白い部分のみ抽出し、題名も変え、女子中学生言葉にしたんだそうだ。自分の死に方の「早すぎた埋葬・振り子・大渦」のところは「ポーも自己パロディするの?」と思ったし、文字盤に首挟まれるのは「江戸川乱歩の元ネタはこれか!」と思ったんだが、ポーによるオリジナルではなかったのか。まあスラスラ読めて楽しく始まりました 笑

    【W・F・ハーヴィー「八月の暑さのなかで」】
    画家である私はその日なかなか良い絵を書いた。死刑宣告された太った犯罪者の絵だ。
    絵を仕上げた私は散歩に出かけることにした。どこをどう歩いたのかわからないが、ある家の前を通ったら墓石を作っている男がいた。その顔を見て驚いた。私が絵に書いた太った犯罪者ではないか。彼は私に親しげに話しかける。そして造っていたサンプル墓石を見せてくれた。
    なんと、そこに刻まれていたのは私の名前ではないか!
    私と男は、まったく偶然で相手の死を考えたのか?我々は今日死ぬのだろうか?その答えは今日の日付が終われば分かるだろう。
    ==さすが表題作、面白い。

    【サキ「開け放たれた窓」】
    療養のため田舎町に引っ越してきたフラントンは近所の家を挨拶に回っているある家では女の子から恐ろしくも悲しい話を聞かされた。その家のご主人たち三人の男が狩りに出て事故死した。しかし奥さんはその死を認められず「あの窓から帰って来るから」と開けているというのだ。
    しばらくして奥さんが戻って言う。「ごめんなさいね。もうすぐ主人があの窓から返ってくるので。あら、帰ってきたわ」それを聞いた女の子は真っ青になって窓の向を見る。そこから男たちがやってくるのだ。
    ==前半は哀しい心理、中盤は怪談、そして最後のしれっとした「種明かし」も面白い笑


    【リチャード・ミドルトン「ブライトンへいく途中で」】
    男は目を覚まして自分が雪の中で寝ていたことに気がついた。おや、ブライトンまでこの雪道を歩かなければいけないのか。
    しばらくすると男の子とであった。しばらく一緒に歩く二人だが、男の子は「この道をずっと行ったり着たりしているけど、もう逃げられないんだよ」という。この道はどこへ続くのか?
    ==黄泉の道を永遠に、ということだと思った。
    嫌だなあ…。

    【ロード・ダンセイニ「谷の幽霊」】
    霧の柱を見かけて話しかけてみた。それは「幽霊だ」という。幽霊は、自分が生まれた千年前の様子を話す。木が生え、民家は草葺きだった。今、幽霊は漂っている。人間と同じように。「人間は信念があるから漂ったりはしない」というわたしに「運命を変えられないように、すべてのものは漂うのだ」という。

    【レノックス・ロビンスン「顔」】
    岩場の湖には女の顔が沈んでいた。ジェリーは少年の頃からずっとその顔を見てきた。大人になってもジェリーには湖の女が全てだった。
    ある夜女の目が開いた。女は肉体を得て湖から出たのだ。
    ==異種結婚伝説のような、透き通った夢のようなお話。

    【E・M・デラフィールド「もどってきたソフィ・メイソン」】
    フランスの田舎町に別荘を持つ一家がいた。子供たちの子守りをしていたのはソフィというイギリス人の娘。彼女はアルシドという男と知り合い逢引を重ねる。二人の仲は奥さんに知られて別れることに。とっくにソフィに飽きていたアルシドはさっさと去っていった。その時ソフィは妊娠していたのだ。ソフィはアルシドと話し合いをするために訪ねていったがそのまま帰ってこなかった。
    ソフィは、アルシドに殺されたのかもしれない。
    それから長い年月が経ち、別荘の持ち主一家も息子の代になっていた。そこへアルシドが戻ってきた。彼はアメリカで成功してすっかり様相も変わっていた。
    息子夫婦は身震いする。アルシドの後ろに青ざめたソフィがいるではないか!自分を殺した男への恨みを言いに出てきたのか。
    だが一番恐ろしかったのは、そんな雰囲気も声も全く気が付かず、過去のことなど全く忘れ、自分の成功譚を喋り続けるアルシドの無神経さだった。

    【フレドリック・ブラウン「後ろから声が」】
    サーカスの砲弾男のトニーは、その朝妻のマリーと大喧嘩をした。腹いせに家を出ることにしたトニー。マリーは追いかけてくるだろうか。だが後ろからマリーが自分を罵る声がする。トニーは振り返りざまにマリーを刺す。
    しばらく歩いたトニーは気がついた。自分は砲弾に入るために耳栓をしているのだ。ではマリーは本当に自分を罵ったのか?

    【L・P・ハートリー「ポドロ島」】
    ぼくは友人の妻アンジェラをポドロ島に連れて行った。野良猫を見つけたアンジェラは、初めは保護しようとして、だが逃げる野良猫に「このままでは生きられないから殺しましょう」という。野良猫を捕まえようとするアンジェラをぼくと船頭は舟で待っていた。なかなか戻ってこないアンジェラを探しに行ったぼくたちは、恐ろしい影を見た。
    ==化け物もの?「ころしましょ」という奥さんも怖く、しかし化け物の存在とか終わり方とかがちょっと中途半端な感じも。

    【フランク・クルーパー「十三階」】
    大混雑のデパートに買い物に行ったジャヴリンは、人気のないエレベーターで十三階に案内される。大混雑のデパートのなか、なぜかこの十三階は客がまったくおらず、店員が二人いるだけだ。その店員が美女だったのでジャヴリンはうきうきとデートに誘った。
    時間になっても女は現れない。
    翌日、デパートに行ったジャヴリンに店員たちは「わたしたちのデパートには十三階はありません」という。
    ==ホラーの鉄則「あきらめが肝心!」
    読者としてはジャヴリンが「とにかく十三階に行きたい!美女に会いたい!」と言うたびに「引き返せ〜」と思ったよ 苦笑

    【ロアルド・ダール「お願い」】
    玄関ホールの絨毯を見て男の子は考える。赤いところは熱くて火傷しちゃうんだ。赤を通らずに階段までいかなくちゃ!
    ==よくする想像だけど、現実と交じる文章が良いです。終盤ちょっと怖いんだけど大丈夫だよね。

    【ジェイムズ・レイヴァー「だれかが呼んだ」】
    幽霊が出るのは、その家で一番いい部屋と決まってるよね。
    その部屋に泊まったレディ・キャロラインは、翌朝真っ青になって「夜中に目が冷めたら骸骨のような影が覗き込んでいましたの」と言う。
    メイドは「はい。呼び鈴が鳴りましたので奥様のお部屋に行きました。しかし眠っていらしたので起こさずに戻りました」
    なーんだ幽霊じゃなくてメイドかあ、一件落着。
     …、…、ちょっと待て!呼び鈴はだれが押したの!?
    ==怖いんだろうけど、なんかコミカルさも感じるあるような?

    【ローズマリー・ティンバリ「ハリー」】
    ジェイムズ夫妻は幼いクリスティンを養女に迎えた。5歳になったクリスティンは、薔薇の茂みに「ハリーお兄ちゃん」という少年がいるという。空想の友達なのか。しかしその日からクリスティンの話はハリー、ハリー、ハリーのことばかり。
    ジェイムズ夫人は養子斡旋所にクリスティンの生い立ちを確かめに行った。そしてクリスティンには、死んだハリーというお兄ちゃんがいたことを聞いたのだ。
    ==子供が…なのは嫌だなあ。

  •  「ホラー」短編集なんて言われると構えてしまうけど、読んでみるとなんだか懐かしく、「ふしぎな話」みたいなタイトルで、こういうジャンルの本や作品群には子どもの頃から慣れ親しんでいたような気がする。

     以下、「これくらいならネタバレしても作品本体を読む楽しさは損なわないだろう(私判断)」程度にはネタバレしてるかもしれない備忘録。

    ■エドガー・アラン・ポー『こまっちゃった』(一八三八、一八四五)
     金原瑞人さんによる翻案。原作は、はじめは『The Scythe of Time(時の鎌)』というタイトルで発表され、のちに『A Predicament(ある苦境)』に改題されたとのこと。未読だが、この翻案の次のような状況と同じことが原作でも描かれているのなら、どちらのタイトルも本当によく言い得ている。どんな状況かというと、時計塔の文字盤の窓から顔を出して街を見下ろしていたら、気づくと下りてきた長針が首に当たっていて、顎は窓枠に引っかかって動けない…という状況。
     真面目な話、こういう絶体絶命のシーンを想像できる力って、仕事でも生活でもリスク管理的に大事だったりするけど、作家の場合これをどうエンターテインメントにできるかっていう素材になるんだなあ。まさに時の鎌、苦境、こまっちゃった、ってだけなのに、読んで後悔しない面白さ(?と思うかどうかは人による)。

    ■W.H.ハーヴィー『八月の暑さの中で』(一九一〇)
     短い(十一頁)、その短さがまた怖さを引き立てている。書かないことでこんなにも雄弁に語る小説があるだろうか。

    ■サキ『開け放たれた窓』(一九一一)
     さらに短かった(七頁)。こんなに短い中で、「この人が怪しい」と思わせる人物がこうもコロコロ変わる小説があるだろうか。

    ■リチャード・ミドルトン『ブライトンへいく途中で』(一九一二)
     男が出会う謎の少年の正体は私にはわからなかった。二人の会話もわかるようでわからなかったけど、すごく苦しいときの道のりってこんな感じかもしれない。

    ■ロード・ダンセイニ『谷の幽霊』(一九一九)
     父は煙突の煙、母は川面の霧、という幽霊が登場する。ちょっぴり説教くさいけれどもときにハッとさせるようなことを言うから侮れない上司、みたいな小説。

    ■レノックス・ロビンスン『顔』(一九一九)
     何か人ならぬ者に魅せられてしまった男の話。
     大学生のころたまたま訪れたオルゴール展かなにかで見た、オートマタっていうんですかね、きれいな白い顔の少年の人形が音楽を奏でる機械に妙に心を惹かれ、この人形の少年に恋をする物語とかありそうだなあ、なんて思ったことを思い出した。
     そんなわけで本作はけっこう好き。主人公の父がなぜあんなことをしたのかという謎についてさまざまな解釈ができそう。

    ■E.M.デラフィールド『もどってきたソフィ・メイソン』(一九三〇)
     幽霊話。なんだけど、私も昔夜のお墓やなんかを怖がっていたら、親や祖父母に「お化けなんかより生きてる人間の方がよっぽど恐ろしい」と言われたものです。

    ■フレドリック・ブラウン『後ろから声が』(一九四七)
     喧嘩した恋人が立っているのが見える。彼女が自分に一声かけてくれさえすればそれでいいのにと思いながら、何も言ってくれない彼女の前を通り過ぎるシーンの切なさ、やるせなさ、悔しさ、怒り、ここの心情描写が見事だなあと思っていたら!それだけじゃなかった。

    ■L.P.ハートリー『ポドロ島』(一九四八)
     ヴェネツィア沖のポドロ島に男女三人で行く話。
     友人の妻アンジェラ役を昔の若尾文子で、日本で短編映画になっててもしっくり。「次もダメだったら、あたくし、殺してしまおうかしら。そうするっきゃないわね?」なんてあの淡白な早口で言ってほしい。

    ■フランク・グルーバー『十三階』(一九四九)
     蒸留器を買い求めただけでこんな目に遭うのはちょっと気の毒すぎる…。
     十数年前が禁酒法の時代で、その頃密造酒を作るのに蒸留器を用いた人たちがいて、それ以外にどんな用途でそれを使うのか普通の人にはわからない、そんなニッチなアイテム蒸留器。「あ〜、あったねえ!もうすっかり見なくなったけど」という「あの頃」感に、酒の密造という後ろ暗さも加わって、小道具として面白いんだろうなあ。実感は持てないけど。

    ■ロアルド・ダール『お願い』(一九五三)
     道の舗装の白いところだけ通っていいルールで家まで帰るなど、誰しも子どもの頃にやったことがあるのではないかと思いますが、それを想像力豊かにやれば当然こうなりますわな…という解釈で合ってるかな。
     序盤のかさぶた剥がしの顛末とタイトルとが前向きだから、視点を引いて見ればこれはホラーじゃないと私は信じてるんだ。

    ■ジェイムズ・レイヴァー『だれかが呼んだ』(一九五五)
     最後の一行を読むまで怖さに気付けない私は、推理小説で謎を解けるわけがないのだ。

    ■ローズマリー・ティンパリ『ハリー』(一九五五)
     なんと都会的で現代的なホラー。引っ越してきたばかりの街で孤独な育児をする妻に、理解ある夫風の対応をするが全然わかってない夫、そんな妻も「"頭のおかしい"人はかわいそうなのかもしれないけどやっぱり怖い」という自分の本心をもってしか人と相対することはできず、最後はもうホラーじゃなくてこんなの悲劇、悪夢、地獄。
     妻の怖がり方、個人的にはすごく共感してしまうが故に、愛とか人間性とかの意味でとても刺さってしまい、この人の今後の人生が気になってしかたないよ…。
     金原さん、ラストにつらいの持ってくるなあ。

  • 「だいたい、幽霊なんているのですか?」
    その時風が吹いて、たちまち幽霊は消え去った。
    「かつてはいたのだ」かすかなため息がきこえてきた。
    ─ 62ページ

  • 英米のホラー小説に精通した訳者が自ら編んだアンソロジー。全13編。
    読みやすくて、ゾクリと怖くて、それ以上に面白くて、ホラー初心者に激しくオススメ!!
    以下、収録著者一覧。
    ポー、ハーヴィー、サキ、ミドルトン→

    ダンセイニ、ロビンスン、デラフィールド、ブラウン、ハートリー、グルーバー、ダール、レイヴァー、ティンパリ。

    翻訳者金原瑞人さんのあとがきもすごく良い。読んでいて楽しい。

    一話目のポーがアレンジされていてすごく楽しい。原著は「ある苦境」で、その一部分を抜粋して大胆にアレンジ→

    「八月の暑さのなかで」W.F.ハーヴィー(ザ⭐︎ホラー。空気感がたまらない)
    「谷の幽霊」ロード・ダンセイニ(幽霊というより精霊?好きだなぁ)
    「十三階」フランク・グルーバー(ノスタルジー!好きな設定!ラストォォォ)
    「だれかが呼んだ」ジェイムズ・レイヴァー
    (ジワジワくる。楽しい)

  • ホラー短編集シリーズの中で一番好きな1冊です。
    読みやすくてすらすら読めちゃいます。
    ゾッとする話がいっぱいあります!

  • 金原氏がノリノリで楽しい。

    このなかで面白かったのは、

    後ろから声が
    十三階

    の二つ。
    後者の作者、フランク・グルーバーは多くのペンネームであらゆるジャンルに書いたとのこと。
    林不忘、牧逸馬、谷譲治みたいなかんじかな。読んでみたい。

  • 子供向けの本といえ侮れない!!!!
    8月の暑さの中で、ポドロ島が好き

  • 本の雑誌社さんの「作家の読書道」で、織守きょうやさんが紹介されていたので、そのうち読もうと思っていた。ら、最近読んだブックガイドでも紹介されていたので、予定を繰り上げ。

    岩波少年文庫だと真面目すぎるかな?と警戒して読んだけど、面白かった。
    さらに、解説では編集の金子さんが、原作はあまりおもしろくない、とかつい入れちゃった。もし、つまらなかったらごめん。などと、ざっくばらんに各短編を紹介してくれる。

    名作と言われているものって、さらに岩波少年文庫さまだったら、面白いと感じない自分がダメなのかと思い込みやすいけれど、つまらなければつまらないと感じていいんだ!と改めて読書自体についても、考えさせられた。

  • 児童向けホラーアンソロジー。とはいえ侮るなかれ。どれもが言わずと知れた名作であるし、やさしい語り口であるぶん恐怖はダイレクトに伝わってくるかもしれません。
    定番中の定番ということなのか、ほとんどが読んだことのある作品だったけれど。やはり「八月の暑さのなかで」は格別かなあ。これ、想像力がなければ怖くもなんともない、ただの不思議な話で終わってしまう気がします。一番想像力の大切さを試される作品なのかもしれません。
    「ポドロ島」もやっぱり気味が悪いし、「十三階」もオーソドックスなホラーで素敵。「もどってきたソフィ・メイソン」も相変わらず酷い話ですよねえ。本当に怖いのは何なのか、つくづく考えさせられてしまいます。
    読んだことがなかったかな、と思うのは「後ろから声が」。オチでざっくりやられました。怖いというか、痛々しい物語です。そして「こまっちゃった」も何とも奇妙な作品。ポーにこんな作品があったとは!

  • この一冊には全部で13話収録されている。

    ●こまっちゃった エドガー・アラン・ポー.(アメリカ)
    ●八月の暑さの中で W,F,ハーヴィー. (イギリス)
    ●開け放たれた窓 サキ(H・H・Munro 1870~1916) (スコットランド)
    ●ブライトンへ行く途中で リチャード・ミドルトン (1882~1911)(イギリス)
    ●谷の幽霊 ロード・ダンセイニ.(1878~1957)(アイルランド)
    ●顔 レノックス・ロビンスン(アイルランド)(1886~1958)
    ●もどってきたソフィ・メイソン E・М・デラフィールド(1890~1943)
    ●後ろから声が フレドリック・ブラウン(アメリカ)
    ●ポドロ島 L.P.ハートリー(イギリス)
    ●十三階 フランク・グルーバー(アメリカ)
    ●お願い ロアルド・ダール(イギリス)
    ●だれかが呼んだ ジェイムズ・レイヴァー.(イギリス)
    ●ハリー ローズマリー・ティンバリー.(イギリス)

    --------------------
    岩波少年文庫 読書記録

    記録日:  2018年4月17日(火)

    タイトル:八月の暑さの中で
    (八月の暑さの中で)
    番号:602
    ISBN:978-4-00-114602-8.

    作者(国籍):W,F,ハーヴィー. (イギリス)
    訳者:金原瑞人

    収録タイトル:八月の暑さの中で.

    作者について 生い立ち、経歴、家族、代表作品等

    ヨークシャー地方の裕福な家の生まれ リーズ大学で医学を学ぶ。第一次大戦では軍医として従軍。爆発直前の駆逐艦で気缶軍曹をすくった功績によりアルバート勲章を賜わる。その時に傷めた肺に後遺症が残っていたため52歳で亡くなるまで小説や自伝を書いて過ごした。


    登場人物・あらすじ・場所・時間等

    主人公 ジェイムズ・クレアランス・ウィゼンクロフト. 40歳男性健康。画家
    家族は無く 一人暮らし。
    暑い日にあるアイディアが浮かびそれを一気に書き上げ何故かそれを持って夕刻になっていたが歩き始めた。
    7.8キロほど歩いたころ小さな男の子に時間を聞かれ我にかえる。18時40分だった。
    我に返り周囲を見回すと花の咲いている庭が見えた。看板には石工と書かれていて陽気な口笛とハンマーの音とノミ外資を削る冷たい音がしていた。そして足音に振り向いた。その顔は何故か今日書いた絵の中の男とそっくりだった。彼は石工で墓石の品評会用の最新作を作っていた。その新作墓石には 「ジェイムズ・クレアランス・ウィゼンクロフト 1月18日生まれ 8月20日急死 生の中にも死はあり」と掘られていた。
    ジェイムズはおどろいて、それは私の名前と生まれた日だと告げた。更に今日書いた絵も見せて、実は自分も不思議な絵を描いたと告げる。
    2人はこの偶然をどうしたらいいのか分からなかったが、ジェイムズは石工の家で一晩過ごす(2人で居るのが良いんじゃないか)というアイディアにのった。今11時をすぎた。あと1時間で今日が終わる。石工は道具の手入れをしている。じりじりと時間がたつのを待っている。この暑さの中で。

    感想
    不思議で怖いお話 この後どうなったんだろう?
    -----
    このほかの作品についてはメモにあり

  • 読み継がれてきた、英米ホラー小説のアンソロジー。13編の物語が入っています。
    イマドキのホラーとは違って、グロテスクや血みどろな物語というよりも、じわじわ来る感じです。ふとした時に思い出して、怖くなりそうな気がします。

  • 岩波少年文庫のホラー短編集。訳者の金原瑞人が編んだアンソロジー。13編、おいしいところ詰め合わせみたいな感じでどれもハズレなし。
    冒頭にはその作品の作者紹介も載っているので、好みの作者を見つけるきっかけになりますね。
    特にお気に入りは、「八月の暑さの中で」「谷の幽霊」「お願い」「ハリー」
    ホラー短編集は4巻出ているみたい。見つけたら読みたいな。

  • ホラー短編集です。エドガー・アラン・ポーやサキ、ロード・ダンセイニ、フレドリック・ブラウン、ロアルド・ダールなどの短編が収録されています。色んな作家の作品を堪能できる素敵な本です。

  • 『八月の暑さの中で ホラー短編集』(岩波少年文庫/金原瑞人編訳)読みました。よいです。英米ホラーの名作選。怖さをあまり押し出さない味わいのある奇妙な話、不気味な話が多め。名だたる作家さんの作品が並び既読作品も多いけれど、訳が違うと新鮮です。表題作ほか『ポドロ島』や『顔』も好み。
    表題作『八月の暑さの中で』は、中身読んでこんなタイトルだったかなあと思ったら、平井呈一訳『炎天』なんですね。偶然の一致を超える不思議のほかには、まだ何事も起こっていないのに、たしかに恐怖を想起させる手腕が見事です。
    サキ『開け放たれた窓』は、ああこんなオチだったーと思い出しましたが、読者の予想の裏切り方が一段上で好きです。
    レノックス・ロビンスン『顔』が神話的という民話的というか美しくも哀しい話で余韻が残る。
    ローズマリー・ティンパリ『ハリー』現代的というか怖いなあ。一番怖いかも。
    今回、一番印象に残ったのはL.P.ハートリー『ポドロ島』。他のアンソロでも読んでて、そんなに面白いと思わなかったんですけど、今回、あれ、これすごい面白いじゃんとなりました。訳の相性か読書の蓄積か。暗示的でいろいろな解釈が可能な作品ですが、解釈しなくても空気が不穏で不気味ですね。

  • わかりやすい怪談というより、じわりと込み上げる怖さを含んだ幻想短編集。対象年齢:中学以上というのも頷ける。小学生でも読書好きな子なら内容的には楽しめるだろうが、感性が伴うには思春期以降にお勧めしたい。それぞれが、ちょっと読むにもちょうどいいヴォリュームで、作家ごとのカラーがあり、ほんのり格調高い文章を楽しめる、良書。巻末の、訳者による中途半端なブックトーク?も面白い。個人的には、訳者渾身の翻案『こまっちゃった』は唯一困っちゃった…

  • ギョッとするものもあるが、ほとんどはじわじわ恐怖が染み入る作品。
    しかしどれも人の情に繋がっていて、読み終えてからも余韻を味わえる。

  • 中学生以上向けに書かれている本なので、とってもわかりやすい親切な訳文(金原瑞人さん)。元の作品を読んだ者からすると、細かく説明しすぎな気もするくらい(「ポドロ島」や「ハリー」など)。
    どれもちょっとゾクっとする話で、名作なので、夏休みに中学生の怪談好きな子に読んでもらいたいですね。
    あらたに読んだ中で気に入ったのは「十三階」かな。

  • なんと言うか。
    本当の感覚で言うと、☆3つ、てところなのだが、こういった短編集がきちんとした過程を経て岩波少年文庫から出版されているという点や、訳者の後書きがなかなか可愛い、という点を鑑みると、トータルとしては悪くないな、と。

    思い切った意訳なども行って、楽しく、でもゾワリと怖がりながら読めるように工夫されたホラー短編集。ただし、ここに収録されている作品にときめく子どもは子どもとしてもニッチな存在かもしれない。ちょっとひと捻り効いた作品が多いし、外国の情緒に馴染んでいない子どもには「どういうことだ?」となるケースも多い気がする。それでも、その異質な感じ、を、気に入ってくれたなら儲け物で、そういう取っ掛かりとしてもこの本は面白い。

    個人的には、ロード・ダンセイニの「谷の幽霊」がいちばん好き。これ、「谷に居る幽霊」って意味じゃないんだよ、本当に「谷」の「幽霊」なの!父は家から立ち上る煙で、母は川面の霧だったらしい。まずこの発想が愛しいよね。大人向けのホラーではなかなかお目にかかれない設定。一瞬で話が終わってしまう刹那性も妙に後ろ髪引かれる。佇まいが素敵。

    そう、多分ね、たくさんの子どもが読むにしてはちょっと捻りが効いているし、かといって大人が読むにはやや幼いものが結構入っているのだよ。だから、ポジショニングがハッキリしていない気がして☆3つ、とか感じてしまったのかも。

    でも、どれも短いからさくさく読み進められるし、挿絵もとても美しいし、外国の情緒ある作品にたくさん触れられるし、グロテスクな描写は一切ないし、一定の質が保たれているから安心して手に取れる秀作。続編も出してほしい。

  • 大好きな翻訳家である金原氏の編訳によるアンソロジーということで気になってはいたのだが、「ホラー短編集」…自分、極度のビビリで怖いのはホント苦手なのだが、スプラッタな描写は出てこないとのことでおそるおそる手に取ってみた。美しくもどこか不気味さを感じさせる佐竹美保さんの表紙絵にも強く惹かれたので。
    出だしはポー作品。金原氏の大胆でイマドキな翻案にびっくりしたけど、個人的にツカミはOK。この翻案は賛否両論のようですが、私はこれまで怪奇幻想ものって触れてこなかったから、先入観なく読めたのでかえってよかったかと。
    サキ、ダンセイニ、フレドリック・ブラウン、ダール…などなど、名前だけは知っていた錚々たる名作家たちの、クラシックな世界観ながら薄気味悪さは生々しく伝わってくる、抜群の構成力の恐怖短編。捻じれた時間軸、曖昧な生死の境…作品によっては結末をぼやけさせ、読者の想像力に委ねてくる。そこが怖い!猛烈に怖い!背筋が寒くなる。
    しかし…怖い怖いといいつつも、次のストーリーが気になってどんどん読み進めている自分。いつの間にか、奇妙でありながらも美しい作品世界に魅せられてしまったようだ。
    暑いからだけじゃなく、変な汗をかきそうにぞっとしたのは表題作(汗かきながら鳥肌が立つ感じ)、ぞっとするけど幻想的な「顔」(どこか昔話的な感じ)、「恐怖」の理由の様々な解釈ができそうな、ミステリアスな「ポドロ島」(どんな解釈したって結局怖い)、娘をめぐっての話なだけに、怖さに切なさ悲しさが入り混じり、複雑な思いを味わった「ハリー」(妄想か幽霊か…ハリーの存在に娘が捕われ、大きな不安に駆られる母親に共感。自分がこの立場だったらと思うと…!)、が私の印象に残った作品だ。
    こういうのを読み慣れてる人は「怖くねーよ!」と言いそうだけど、読み慣れぬ私は存分に堪能させて頂いた。「恐怖」の対象が、必ずしも幽霊のような怪奇現象だけじゃなく、普通の人間の心だって十分なり得るんだと改めて思った。
    そして、金原氏の訳も読みやすかった。これまた、既に他の翻訳者バージョンを読んだ方は「雰囲気が違う」と思うかもしれないが、ヤングアダルト版として堅苦しさを取っ払って書かれた訳文は、むしろ敷居が高くなくてよかったと思う。
    萩尾望都さんあたりにマンガ化して欲しいなとちょっと思ったり。読了後のほのかな「後味の悪さ」が、萩尾さんのブラッドベリ原作のマンガ化作品読了後の感触に似てたもんで。
    (どうやらブラッドベリは、この後に出たホラー短編集続編に収録されてるようなので、いずれ読んでみたい。)
    本当は猛暑の最中に暑気払いのため読むつもりだったのだが、暑さ一段落のしのぎやすい気候で読んじゃったもんだから…ますます冷え冷えしちゃった…。
    臆病者の方も是非挑戦してみてください。「怖いもの読みたさ」な好奇心の方が勝ります。アンソロジーとしてもレベルの高い一冊。

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著者プロフィール

(かねはら・みずひと)岡山市生まれ。法政大学名誉教授。翻訳家。ヤングアダルト小説をはじめ、海外文学作品の紹介者として不動の人気を誇る。著書・訳書多数。

「2026年 『カリーム、シリアとアメリカのはざまで』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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