八月の暑さのなかで――ホラー短編集 (岩波少年文庫)

制作 : 金原 瑞人  金原 瑞人  佐竹 美保 
  • 岩波書店 (2010年7月15日発売)
3.49
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  • 30レビュー
  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001146028

作品紹介

英米のホラー小説に精通した訳者自らが編んだアンソロジー。エドガー・アラン・ポー、サキ、ロード・ダンセイニ、フレドリック・ブラウン、そしてロアルド・ダールなど、短編の名手たちによる怖くてクールな13編。全編新訳。中学以上。

八月の暑さのなかで――ホラー短編集 (岩波少年文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 大好きな翻訳家である金原氏の編訳によるアンソロジーということで気になってはいたのだが、「ホラー短編集」…自分、極度のビビリで怖いのはホント苦手なのだが、スプラッタな描写は出てこないとのことでおそるおそる手に取ってみた。美しくもどこか不気味さを感じさせる佐竹美保さんの表紙絵にも強く惹かれたので。
    出だしはポー作品。金原氏の大胆でイマドキな翻案にびっくりしたけど、個人的にツカミはOK。この翻案は賛否両論のようですが、私はこれまで怪奇幻想ものって触れてこなかったから、先入観なく読めたのでかえってよかったかと。
    サキ、ダンセイニ、フレドリック・ブラウン、ダール…などなど、名前だけは知っていた錚々たる名作家たちの、クラシックな世界観ながら薄気味悪さは生々しく伝わってくる、抜群の構成力の恐怖短編。捻じれた時間軸、曖昧な生死の境…作品によっては結末をぼやけさせ、読者の想像力に委ねてくる。そこが怖い!猛烈に怖い!背筋が寒くなる。
    しかし…怖い怖いといいつつも、次のストーリーが気になってどんどん読み進めている自分。いつの間にか、奇妙でありながらも美しい作品世界に魅せられてしまったようだ。
    暑いからだけじゃなく、変な汗をかきそうにぞっとしたのは表題作(汗かきながら鳥肌が立つ感じ)、ぞっとするけど幻想的な「顔」(どこか昔話的な感じ)、「恐怖」の理由の様々な解釈ができそうな、ミステリアスな「ポドロ島」(どんな解釈したって結局怖い)、娘をめぐっての話なだけに、怖さに切なさ悲しさが入り混じり、複雑な思いを味わった「ハリー」(妄想か幽霊か…ハリーの存在に娘が捕われ、大きな不安に駆られる母親に共感。自分がこの立場だったらと思うと…!)、が私の印象に残った作品だ。
    こういうのを読み慣れてる人は「怖くねーよ!」と言いそうだけど、読み慣れぬ私は存分に堪能させて頂いた。「恐怖」の対象が、必ずしも幽霊のような怪奇現象だけじゃなく、普通の人間の心だって十分なり得るんだと改めて思った。
    そして、金原氏の訳も読みやすかった。これまた、既に他の翻訳者バージョンを読んだ方は「雰囲気が違う」と思うかもしれないが、ヤングアダルト版として堅苦しさを取っ払って書かれた訳文は、むしろ敷居が高くなくてよかったと思う。
    萩尾望都さんあたりにマンガ化して欲しいなとちょっと思ったり。読了後のほのかな「後味の悪さ」が、萩尾さんのブラッドベリ原作のマンガ化作品読了後の感触に似てたもんで。
    (どうやらブラッドベリは、この後に出たホラー短編集続編に収録されてるようなので、いずれ読んでみたい。)
    本当は猛暑の最中に暑気払いのため読むつもりだったのだが、暑さ一段落のしのぎやすい気候で読んじゃったもんだから…ますます冷え冷えしちゃった…。
    臆病者の方も是非挑戦してみてください。「怖いもの読みたさ」な好奇心の方が勝ります。アンソロジーとしてもレベルの高い一冊。

  • かなり金原さん好みな作りのアンソロジー。
    彼の翻案と知らずに読んだポーの作品には、のけぞりそうになる。児童のために、これだけよく短篇の名手を集めたものだと感心。挿絵も時代がかっていて凝っているし、古めかしくしているところがかえって新鮮。
    それにしてもこれらの作品群、岩波少年文庫に入っているというのが妙に似合わない。個人的には高校・大学生のときに読んだ作家が多いせいなのかもしれない。
    なので、その時代背景や独特な心理描写など理解しながら、または感じ取りながら味わうには少し大人っぽいような気もしないではないが、でもこんな選択も面白いので、またぜひ企画してほしいかな。

  • 「だいたい、幽霊なんているのですか?」
    その時風が吹いて、たちまち幽霊は消え去った。
    「かつてはいたのだ」かすかなため息がきこえてきた。
    ─ 62ページ

  •  ホラー短編集です。
    (一般担当/おー)平成29年8月の特集「涼を感じる本」

  • ふと浮かんだアイデアから画家が描いた犯罪者の男の絵。上手く描けた幸福感に包まれて家を出て歩いて行くと、墓石を削る石工の家にたどり着いた。陽気にのみを使うその男の顔を見て画家はぎょっとした・・・。(『八月の暑さのなかで』)英米の短編からよりすぐりの短くてこわいお話が13編。ゾッとしたり、ときにはニヤッとしたり。

  • 短編の名手たちによるホラー短篇13編。表題作W.F.ハーヴィーの『八月の暑さのなかで』はもちろん、全ての作品がハズレなしの傑作揃いです。いくつか読んだことのある作品もありましたが、金原瑞人さんの翻訳により、より一層楽しめました。中でもサキ『開け放たれた窓』、ローズマリー・ティンパリー『ハリー』、L.P.ハートリー『ポドロ島』はお気に入りです。何度でも読みたい作品です。

  • 中学生以上向けに書かれている本なので、とってもわかりやすい親切な訳文(金原瑞人さん)。元の作品を読んだ者からすると、細かく説明しすぎな気もするくらい(「ポドロ島」や「ハリー」など)。
    どれもちょっとゾクっとする話で、名作なので、夏休みに中学生の怪談好きな子に読んでもらいたいですね。
    あらたに読んだ中で気に入ったのは「十三階」かな。

  • ホラー短編集シリーズ1冊目。
    表題作と「十三階」が面白かった。
    クラッシックな話が多かったので、対象はYA以上かな〜。
    金原瑞人さんって、編者としても訳者としても鉄板だけれど、個人的になんかしっくりこないんです…(>_<)
    解説も、赤木かん子さんと同じニオイがする…舞い上がって暴走しちゃう感じ?がどうもニガテ (_"_)

  • 人の心のダークサイドを見事に描いた短編集。
    選者のセレクトのセンスが光る。

  • どの話も短めで読みやすい。『後ろから声が/フレドリック・ブラウン』『お願い/ロアルド・ダール』『ハリー/ローズマリー・ティンパリ』が好き。
    『こまっちゃった』は面白かったが「コ・マッ・タ」などの表現が微妙で好きとまではいかないなと感じながら後書きを読んだのだが、金原瑞人が「ポーは短編の名手だが駄作もあり『「苦境』がそう。なので面白い部分だけいただいて現代風に書き直した」と書いており、それを読んだ瞬間ちょっと冷めました。
    『後ろから声が』の主人公の愛するあまり…という感情がとても良かった。愛が憎しみに変わるというところが上手かった。
    『お願い』は子どもの思考がとても良かった。一度そう思ったら完全に信じちゃうところの表現が上手い。
    『ハリー』は怖かった。こちらにも伝わるような暑さの描写があるにも関わらず、冷たさも感じる。実際己の身に起きたら本当に怖いだろうなぁ。

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