走れ、走って逃げろ (岩波少年文庫)

制作 : 母袋 夏生 
  • 岩波書店 (2015年6月17日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001146141

作品紹介

第二次世界大戦下のポーランド。ナチス・ドイツによるユダヤ人迫害の嵐が吹き荒れるなか、8歳のスルリックは、ゲットーの外へ脱出する。農村と森を放浪する過酷なサバイバル。少年は片腕と過去の記憶を失うが…。勇気と希望の物語。中学生から。

走れ、走って逃げろ (岩波少年文庫)の感想・レビュー・書評

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  • とあるフリーペーパーでレビューを読み、猛烈に読みたくなった。突き動かされるように即取り寄せ、即読んだ。本当に、出会えたことを感謝する!と大きな声で言いたくなるほど、感動した。
    第二次大戦下のポーランド。8歳の少年スルリックは、ユダヤ人強制居住区で家族と生き別れになり、そこから生き延びるための壮絶な日々が始まる。盗み。森の中でのサバイバル。思いがけない場所での父との一瞬の邂逅で、父から今後の身の振り方を教えられ、スルリックはユダヤ名を捨て、「ユレク」として生きていく。様々な出会いと別れを繰り返し、捕まっては逃げ、その途中で片腕を失い…過酷な日々の中、ユレクは自分の本当の名、家族の名を忘れていく。
    まず、ユレクが実在の人物だったということに驚く。わずか8歳の少年が対峙するにはあまりに酷い現実。それでも彼は悲嘆にくれることなく、生きていくための術を次々と身に着けていく。その柔軟さには脱帽!とはいえ、脱穀機に腕を挟まれ、ユダヤ人ということで手術を拒否されて片腕を失い、さすがのユレクも涙にくれるシーンは辛かった。それでも、何とか片腕でも生きていけるよう、バランスを取るための走ったり飛んだりの練習を繰り返すなど、めげずに前を向く彼のメンタルの強靭さにまた脱帽。その場所その場所で、必ず何かを習得し、確実に成長しているのである。
    あまりにも凄絶な状況下、当然ユレクに対する冷たい仕打ちはたくさんあれど、温かく迎え入れた人々もいた。それはひとえに、彼の賢さ、そして持ち前のあどけなさ、何より「生きたい」というひたむきさに心打たれたからだろう、敵のゲシュタポの士官さえ、彼を生かしたのだ。「追い打ちをかけてくる恐怖と飢え、死と生が不条理にとなりあっていた時代、生きのびるには意志と体力と知恵と、もうひとつ、運が必須条件です。」訳者あとがきの一文の通り、運を引き寄せたのは正にユレクの気持ちの強さだと思う。
    映画版のタイトル「ふたつの名前を持つ少年」に比べると、原作のタイトルも表紙も若干地味かな、と読む前は思っていた。だけど読んでみて…まさに、「走れ!走って逃げろ!」と呼びかけたくなる状況のオンパレードなのである。4章ラスト「ぼうや、走るんだよ、走って逃げなさい」の一文が本書の内容を言い表しているなと思った(原題はRUN BOY,RUN)。そして表紙絵、一見シンプルだけど力強いタッチ、白がメインだけどよく人物(ユレクの後ろ姿)を見ると、さり気なく赤や黄色、青など様々な色が使われている。彼が得てきたことや経験したことが色で表現されているような気がした。
    海外文学は敷居が高くて…と尻込みしている人に是非手に取って頂きたい。私も最近翻訳ものはご無沙汰だったけど、児童文学ということもあり読み易く、最初から引き込まれること間違いなし。映画版も是非見たい。読了後、予告編を動画で見て、見事な映像化に心が震えた。活字で追ってきたいくつかの場面が鮮やかに甦り、涙が止まらなかった。
    何度も何度も読み返したい、幅広い世代に読んでほしい名作です。

  • ユダヤ人の8歳の男の子ユスフが、ユダヤ人迫害から一人で逃げ、生きていく姿。
    ユスフの様子を見ていると、子どもというのは愛を内包して生まれてくるんだなあと思う。
    ユスフは父親を目の前で殺され、母や家族とも別れ、一人で逃げ森などで暮らすのだが、常に明るさや好奇心を失うことなく、すべての出来事の中に楽しみ(興味)を見つける。そして接する人々に愛されるのだ。
    事故で右腕を失ったりと辛い場面もあるが、基本的には読んでいる間中は、なんていうか”愛”を感じられてのめりこんだ。

  • 映画「ふたつの名前を持つ少年」を観た時からずっと気になっていたけれど、ようやく読んだ。
    人種や宗教をこんなに幼いうちに考えさせられるというのは過酷だなぁ。
    ユレクは幾度となく追われるけれど、同じくらい助けられもした。そのなかでも家を燃やされながらもかばい続けてくれたレジスタンスの家族を持つ女性の件は何度読んでも胸が痛くなる。彼女の行いは尊いけれど、自分は果たして同じ行動をとれるかと言ったらおそらく無理。

  • 図書館で。
    ホロコースト時代を何とか生き延びた男の子の話…と書くとあまりに簡潔ですがそういう本。都市部よりは田園というか田舎の方が食べ物がある分、生きのびる余地があったのかなぁなんて思うと共に、戦争はいやだな、とつくづく思いました。

    彼が保護されて家族のその後を知れたのは良かったな。なんでこんな悲劇が起きてしまうのか。こういう話は忘れてしまってはいけない事なんだよなぁなんて思いながら読みました。

  • 最後の父親との約束「お前は生き残らなくちゃいけない、どうしても」
    8才のユダヤ人少年がユダヤ狩りから逃げて逃げまくる壮絶な4年間 
    少年はポーランド農民、ドイツ兵、ゲシュタボ士官、ソ連兵たちに助けられる
    彼は、死ぬことへの恐怖はない 神がいないことは明白だ 純粋な生への渇望だけが圧倒的に存在する 
    片腕を失い、自分のほんとうの名前も忘れ、終戦になってもなお「ぼくはユダヤ人じゃない」といいきる この言葉が重く胸に刺す つくづく思う、よくぞ、生き延びた  
    映画「ふたつの名前を持つ少年」 原題:Run Boy Run 
     

  • 大人になって読んだので、第二次大戦下のユダヤ人や、ポーランドでの人々の暮らしを垣間見るという意味でも興味深いけど、そういうことは関係なく、ひとりの少年が自分自身の力で生き延びていく冒険譚としてもおもしろかった。スルリック/ユレクが出会う人々の多様さと、出会って関わって、けれどすぐに別れがくる、その様子が印象的。

  • 昨年公開の映画「ふたつの名前を持つ少年」の原作。
    映画も観たい。

  • ポーランドに住むユダヤ人の少年の、第二次大戦体験。
    未曾有の安楽な時代に自分は生かしてもらえている。

  • ナチスドイツから逃げ延びた戦争孤児がいたことは知っていたけれど、その子ども目線で書かれたものは初めて読んだ。ただ生きるために、必死に知恵と体を使い、ときには人々の親切に助けられ、逃げのびてゆくうちに、本当の名前も、親の顔さえも忘れてしまうのだ。実話だということに、思わずため息が出る。
    こういうものを読むたびに思うことだが。私はちゃんと「親切にできる」側の人間でいられるだろうか。真に、正しい行動をとれる人でありたいと、切に願う。

  • 読みたかった本(見たかった映画の原作)
    ユダヤ人でゲットーから逃げ出した8歳の少年が
    名前を捨ててユダヤ人ってことを隠して農家とかで働きながら生き延びる話
    事故で片腕になったり森で暮らしたり暴力にあったりつかまったりする
    ハラハラハラハラする
    かわいそうで泣ける
    ときどきやさしくしてくれるひとたちがいて、いることにほっとする

    実際にあったはなしで、その話をきいたユダヤ人の人が本にしたそうです

    映画みたいなー

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