ベルリン1945 はじめての春(下) (岩波少年文庫 626)

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感想 : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (362ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001146264

作品紹介・あらすじ

繰り返される空襲とその後の市街戦により、街は容赦なく破壊された。生き残った人びとは新しい生き方を模索するが、長く続いたナチの支配と戦争は、街にも人の心にも深い傷を残しており……。ドイツの敗戦とその後の混乱を、ナチ体制下で育った少女エンネの目線でつづり、それぞれの人生の変転を描く。大河群像劇完結編。

感想・レビュー・書評

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  • クラウス・コルドンの「ベルリン」三部作の第三作。
    一作目の1919ではゲープハルト家の長男ヘレ少年の目から第一次大戦の敗戦と王政の崩壊を、二作目の1935ではヘレの弟ハンスの目からナチスの台頭を描いた。そして第三作はヘレの娘である少女エンネの目線でソ連軍の前に崩壊していくナチス、ベルリンの街を描く。
    ヒトラーとナチスの栄光が翳りを見せ、敗戦の色濃いベルリンの街。人々は毎晩空襲を恐れ、一夜明けるごとに街は瓦礫と化していく。
    そんな中、それでもナチスを信じる人々、ナチ党に入党し、その手先となって働いてきたにも関わらずベルリンに押し寄せてきたソ連兵からの迫害を恐れてその過去を隠そうとする人々。そして、ナチスの時代も、ソ連の占領下でも暴力の被害者となる女性、老人、子ども。
    戦争は勝者も敗者も矛盾を抱える。
    ソ連兵がベルリン市民に乱暴を働く。それを非難する人々にソ連兵が答える、ドイツ兵がスターリングラードに攻めてきた時、やはり同じように市民に乱暴を働いたのだと。
    ナチスに協力し、同じベルリン市民を密告した人たちを裏切り者と呼ぶ一方で、自分たちはなぜナチスの暴走を止められなかったのか?と自問する。
    そして、コミュニストの理想の国であるはずのソビエトではスターリンが独裁をし、粛清されて多くの人が命を失っている。スターリンはヒトラーの再来ではないのかと。
    戦争のない世界がないという事実と同じく、この物語にも終わりはない。
    ただ主人公のエンネが生まれて初めて戦争をしていない春を迎えるところでこの物語は終わる。
    エンネが二度目、三度目を迎えられるのかどうかは読者がどう考えるかにかかっている。

  • 読み終わってしまった・・・ベルリンロスで呆然としています。
    この3部で、またハンスに会えることを期待して「実はハンスが生きていた」っていう展開を願っていたのだけど。ずっしりとした喪失感を味わいました。
    激動の中、ぶれることなく信じることを守った人。大勢の中に呑まれ、力あるものを信じ込まされた人。戦争が終わって、価値観がひっくり返る様は日本の戦後も一緒だと思いました。

    一生本棚に置いておきたい本に出会ってしまった。

  • ☆6でお願いしいます(涙)
    第4部に入ってから、ずっとこの作品のタイトルと第4部のタイトルとが胸の内にしみじみと、しみじみと沁みわたり、響き続けた。一読者でしかない私にとっても一つの願いと言うか、読み進めていくうえでの希望のようなものに感じた。
    十代の子たちに読んでほしい作品だと思う。
    今はそれしか言えない。

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