岩波少年文庫のあゆみ 1950-2020 (岩波少年文庫, 別冊2)

著者 :
制作 : 若菜 晃子 
  • 岩波書店
3.89
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本棚登録 : 183
感想 : 13
  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001149029

作品紹介・あらすじ

岩波少年文庫は1950年のクリスマスの創刊以来、途切れることなく続いてきた。過去の資料を駆使し、70年のあゆみを振り返るとともに、代表作と作家の解説、挿絵画家の逸話、翻訳者の仕事にも光をあてた初めての保存版。各時代に書かれた著名人の文章も多数再録する。カラー口絵4頁、刊行から現在までの総目録付き。

感想・レビュー・書評

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  • 子どもの頃だったら、出版社がつくる文庫の歴史などに興味はなかった。
    ただ気に入ったお話ばかりを読んでいた。
    装丁のことや、挿絵画家や翻訳家など考えたことさえない。
    しかし大人になって事情は変わった。
    今度は届ける側にまわったからだ。
    子どもたちの心に届く本とは、どんな本だろう。
    良い本とはなんだろう。
    装丁と挿絵と翻訳と内容と、それらのハーモニーが奏でる良質な世界をどうしたら的確に選べるだろう。

    70年間たえることなく、作品を世におくり出してきた岩波少年文庫。
    おさめられた465冊は、作家・画家・翻訳家・編集者、どの人も自分の人生の時間を使ってひたむきに成し遂げてきた仕事の結果であることが、この本を読むとよく分かる。
    過去の資料と解説、各年代の代表作の紹介、挿絵画家のエピソードや翻訳者の仕事にもスポットをあてる。
    カラー口絵には、装丁の変遷が載せられている。

    1950年12月25日の創刊日、たった5冊でスタートしたことをご存じだろうか。
    「宝島」「あしながおじさん」「クリスマス・キャロル」「小さい牛追い」
    「ふたりのロッテ」。
    中心的な役割を果たしたのは編集者であり翻訳家・児童文学作家でもあった石井桃子さん。

    「岩波ではいい本をつくればその結果はどうであれ、とやかく言われません」
    いえいえ、とやかく言われないお仕事をしたのだ、石井桃子さんは。
    日本語の表現さえ模索していた時代。
    その苦労はさっするに余りある。
    子どもの本をつくるのは、大人の本をつくるよりはるかに難しい。
    どの作品の巻末にも必ず載っているのが「発刊に際して」のことば。
    創刊時の吉野源三郎さんの渾身の一文を、はじめて読むことができた。

    総目録は、巻末から順になっている。
    懐かしい、読んだ本も、読まなかった本もみな懐かしい。
    読んで読んで、自分の中に小さな国をつくっていた頃。
    弱くて小さい自分を、少しずつ育てる国。 
    迷いが生じた時、こっちだよと自分に教えられる自分を育てていく。
    小さな国は、豊かな国に成長しただろうか。
    子どもの頃には目にも入らなかった風景が、分からなかった心のひだが、見えてくるだろうか。
    再読してひたりたい物語が、どんどん登場する。

    宮崎駿さんによれば、児童文学というものは「生まれてきて良かったんだ」というもの。
    生きてて良かったんだ、生きていいんだというふうなことを、子どもたちにエールとして送ろうというのが、児童文学が生まれた基本的なきっかけだと言われる。
    私もまさにそう思う。
    宝の山をさぐって、次の一冊にめぐり会いたい。
    出来れば皆さんもぜひご一緒にどうぞ。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      nejidonさん
      口絵だけじゃなく、もっとカラーページが欲しいかった、、、
      今は違うのですが、昔はファミリーネームだけで表記されているコト...
      nejidonさん
      口絵だけじゃなく、もっとカラーページが欲しいかった、、、
      今は違うのですが、昔はファミリーネームだけで表記されているコトが多かった。文字数を減らしたかったのかな?
      挿絵画家については、サイトでは不完全。気に入らない!

      「イワンとふしぎなこうま」のようにヴィーヘルトの作品もタイトル変えて復刊されないかな?
      ケストナー「子どもと子どもの本のために」も早く池田香代子訳で復刊希望、、、
      あっまた関係無いコトを書いてしまった。
      2021/03/21
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      nejidonさん
      ボチボチ読み始めています。読み返したい本が一杯です、、、

      それとは別に
      「児童図書選書のための総合ブックカタログ Lu...
      nejidonさん
      ボチボチ読み始めています。読み返したい本が一杯です、、、

      それとは別に
      「児童図書選書のための総合ブックカタログ Luppy(るっぴぃ)2021年版」刊行 | ニュースリリース | 株式会社トーハン
      https://www.tohan.jp/news/20210407_1720.html
      2021/04/11
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      nejidonさん
      はぁ〜ため息
      「石井桃子のみつ豆」 - グレーテルのかまど - NHK
      https://www.nhk.jp/p/ka...
      nejidonさん
      はぁ〜ため息
      「石井桃子のみつ豆」 - グレーテルのかまど - NHK
      https://www.nhk.jp/p/kamado/ts/VNWVWYKX3Q/episode/te/6V93XQGKK8/
      2021/08/27
  • 若菜晃子さん講演会“岩波少年文庫のいま、むかし そしてこれから” | 教文館ナルニア国
    https://www.kyobunkwan.co.jp/narnia/archives/info/d0f7c190

    murren
    http://www.murren612.com/

    岩波少年文庫のあゆみ 1950-2020 - 岩波書店
    https://www.iwanami.co.jp/book/b559570.html

  • なりたちに込めた希望と、あゆみと。
    創刊70周年の記念の一冊。
    既刊本のカタログでもあるなぁ。

    リアルに児童だった頃、数冊かじっただけで
    ミステリ系へ移行してしまったので
    大人になってからポツポツと
    気になったものを読んでいますが
    本当はやっぱり子供時代に
    楽しんでおけば良かったな〜
    という気持ちが捨てきれません。

  •  岩波少年文庫の良き読者とは言えない読書生活であった。
     小学校高学年から背伸びをして、芥川や賢治は普通の文庫本で読み始めたし、『星の王子さま』や『モモ』は函入りの単行本で読み、トールキンの『指輪物語』は別の版元で読んだものの、『ホビットの冒険』まではとうとう手を出さなかった。思い起こすと、そもそも子ども時代の自分の周囲に、少年文庫がなかったかもしれない。
     本書で少年文庫70年のあゆみを読んで、少年文庫に関わった編集者や、作家、訳者、挿画家たちの、子どものために良い本を届けたいとの思いが理解できたし、本がある環境のありがたさをしみじみと感じた。

     巻末の総目録に掲載されている書目には、別の形で既に読んだものもあるが、初めて知ったものも数多い。はるか遠い子ども時代に思いを馳せつつ、先ずは一冊手に取って読むことにしよう、物語に没頭できることを望みながら。

  • 岩波少年文庫の装丁の変遷、取り上げられた作品の背景など少年文庫好きの私には嬉し過ぎる本。

  • 私を作った物語たちよ。

    岩波少年文庫の歴史を紐解く。戦前・戦中から戦後、子どものために物語を、と情熱を注いだ人たちに感謝する。しかし、岩波少年文庫は昔から堅物扱いだったんですね。世代的には1985年からのカラー新装版期に慣れ親しんでいたので、カニグズバーグやモファット兄弟が懐かしい。裏の「発刊に際して」が2000年で変わっていたとは知らなかった。どちらも素敵な文章です。

    外国の美味しいものも、路地裏や屋根裏の楽しみも、岩波少年文庫から教わった。エーミールもふたりのロッテもクローディアもやかまし村の子どもたちもみんな友だち。

    190ページからの「本のある一生を」は、思わず涙が出た。本が手に取れるところにあった子ども時代を過ごせた幸せを思う。生きることの幸福、人間のすばらしさを知り、自分だけの世界を持った。久しく訪れていないその場所は、それでもまだ私の心の片隅で、辛さや寂しさ、悲しさに流されないようにしっかりと私を支えてくれているに違いない。

    懐かしい友達に総目録で再会できたことが嬉しすぎて、あれもこれも読み返したい。

  • 少年文庫創刊20周年記念本。創刊当時の話しとか、カバー、翻訳、挿絵などなど。懐かしい表紙が次々と、今の子どもたちにも受け継がれて行くのだろうか。

  • 岩波少年文庫は子供の頃ほとんど読んだことがないと思う。ただし、収録作品のいくつかは別な形で読んだことはある。小学校の図書室になかったのか私が気づかなかったのか?刊行され始めたばかりの頃だからそれほど認知されていなかったのかも。
    それはともかくこういう形でまとめてくれると、子供の本の日本における歴史が俯瞰できて興味深い。漫画ばかり読んでいた当時の私に(それも悪いことではなかったとは思うが)もっとこういう本もあるんだよと教えてあげたい。

  • 岩波少年少女の本は、今もあるのかな。
    地下の洞穴の冒険の続編がどこかにないものか…

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著者プロフィール

1968年兵庫県神戸市生まれ。編集者、文筆家。学習院大学文学部国文学科卒業後、山と溪谷社入社。『wandel』編集長、『山と溪谷』副編集長を経て独立。山や自然、旅に関する雑誌、書籍を編集、執筆。著書に『東京近郊ミニハイク』(小学館)、『東京周辺ヒルトップ散歩』(河出書房新社)、『徒歩旅行』(暮しの手帖社)、『地元菓子』、『石井桃子のことば』(新潮社)、『東京甘味食堂』(講談社文庫)、『岩波少年文庫のあゆみ』など多数。「街と山のあいだ」をテーマにした小冊子『murren』編集・発行人。随筆集『街と山のあいだ』は増刷を重ね、旅の随筆集第一集『旅の断片』は2020年に第5回斎藤茂太賞を受賞した。

「2021年 『途上の旅』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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