- Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
- / ISBN・EAN: 9784001150544
感想・レビュー・書評
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10数年前に読んだときは大丈夫だったのに、今回は訳の古さがいささか気になった。が物語の素晴らしいことは変わりない。この岩波ハードカバー函入りのケストナー全集は子どもの頃書店や学校の図書館で必ず目にしたものだ。背だけが布の装丁がいつも気になっていたがいざ読もうとするとなかなか手ごわく、結局子ども時代に読まずにすぎてしまった。手に取るのが早すぎたのだろう、ケストナーの小説の独特の構成が(物語冒頭に著者自身が語る章があったり長い章タイトルなど)低学年ぐらいでは理解できず物語世界に入っていきづらかったのだろうと思う。新訳でも読んでみたいが、やはり子どもの本というのはその姿形まで含めて読書の記憶と結びついているのでこれはこれで本棚からはずすわけにはいかないのだ。岩波書店も決して絶版にしないところがすばらしい。
ドイツの名前はさほど覚えずらいものという認識がなかったのだが、今回最初に自分で登場人物表を作ってから読み始めて正解だった。北欧ものの名前の方がすんなり入ってくるかもと思ったほどだった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
子どものころ外国の小説を読んで、ワクワクした気持ち。あの頃は言い回しなど気にせずに、ひたすらストーリーに没頭していた。
前に読んだ「図書室のはこぶね」に登場したので再読。訳の古さは気になるが、少年時代の熱く純粋な気持ちは、今も共感した。 -
長年の積読本をやっと、読了。
ケストナーの伝記を少し読み始め、素晴らしい人だったんだな、とか、お母さんとの絆や、子ども時代の時代背景も知った上で読んだので、すごく入ってきた。
実はこの2年ほどクリスマスシーズンの度に読もうと挑戦していたんだけど、長い前書きにやられてたんですよねー。でもこの前書き、お母さんのこととかね、微笑ましく思います。
さて、ストーリーは、前半、男の子たちの学校を背負ったケンカが始まるんだけど、その中で、中心となる5人の個性豊かな子どもたちが、ほんとに生き生きと描かれて鮮やか。
ケンカの後に無断で寮を抜け出したことで舎監の正義先生に叱られることになりますが、この先生が素晴らしく、また、学校の外で子どもたちが頼りにしていた世捨て人らしき、禁煙先生との関係も知り、この二人を引き合わせようとする。
そして、クリスマス前日、子供たちの演劇「飛ぶ教室」のリハーサル、臆病者ウリーの事件、学年首席、マルチンの秘密…
素晴らしく読み応えあり、美しい心象描写に引き込まれます。
ラストのクリスマスのシーンも、おとぎ話のような美しさで、こころが洗われます。
前半のハラハラ感から、ラストの感動まで、素晴らしいストーリーテリングに唸ります。名作と言われるのは確かです。
素敵なおはなしでしたー。
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ケストナー①
読んでよかったと心から思える本。
19歳にして初めて読んで、もっと前に読むべきだったと感じたと同時に、小中学生の時に読んでいて、果たして最後まで内容を自分なりに噛み砕いて読めただろうかということも考えました。
児童文学だからといって大人が読まないのはもったいない!子どもよりむしろ大人に読んで欲しい本だと思うし、子どもの時に読んだことがある人も、大人になってもう一度読み直すときっと当時とは考え方が変わるのではないかと思います。
わたしもこれを機にケストナーの昔に読んだ作品をもう一度読み直してみようと思います。 -
(1997.01.15読了)(拝借)
(「BOOK」データベースより)amazon
ボクサー志望のマッツ、貧しくも秀才のマルティン、おくびょうなウーリ、詩人ジョニー、クールなゼバスティアーン。個性ゆたかな少年たちそれぞれの悩み、悲しみ、そしてあこがれ。寄宿学校に涙と笑いのクリスマスがやってきます。
☆関連図書(既読)
「ああ無情」ユーゴー著・塚原亮一訳、講談社、1986.10.17
「若草物語」オルコット著・中山知子訳、講談社、1987.01.20
「トム=ソーヤーの冒険」トウェーン著・亀山龍樹訳、講談社、1987.07.25
「十五少年漂流記」ベルヌ著・那須辰造訳、講談社、1987.08.20
「小公子」バーネット著・村岡花子訳、講談社、1987.09.21
「三銃士」デュマ著・新庄嘉章訳、講談社、1987.10.20
「クリスマスキャロル」ディケンズ著・こだまともこ訳、講談社、1987.11.22
「ロビン=フッドの冒険」ハワード・パイル著・中野好夫訳、講談社、1988.07.19
「あしながおじさん」ウェブスター著、岩波少年文庫、1950.12.25
「鏡の国のアリス」ルイス・キャロル著、角川文庫、1959.10.10
「絵のない絵本」アンデルセン著、童心社、1966.11.25
「赤毛のアン」モンゴメリー著・白柳美彦訳、ポプラ社文庫、1978.10.-
はじめまして。
拙レビューにお気に入りのマークをくださり、ありがとうございます。
ケストナーの名前があまりに懐かしく、読ませていただきました...はじめまして。
拙レビューにお気に入りのマークをくださり、ありがとうございます。
ケストナーの名前があまりに懐かしく、読ませていただきました。
この作者さんのものでは、この一冊が一番好きです。
nakaizawaさんは読まれた本のすべてに、レビューを書かれているのですね!
素晴らしいです。
私も心がけてはいるのですが、なかなか出来ません。
ではでは、また寄らせていただきますね。2013/07/14
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推薦司書ミニコメント
本当の正義って何だろう?本当の友情って何だろう?本当の優しさって何だろう?
男の子っていいな!と思わせてくれる1冊。
桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
https://indus.andrew.ac.jp/opac/volume/791347 -
ギムナジウムの寄宿舎で暮らす少年たちの、美しい友情の物語。
先生を慕う生徒と、生徒を愛する先生。親から捨てられた少年と親子で愛し合いながらも貧乏で苦しむ少年の友情。頭は良いれけど気の弱い少年と腕っぷしは強いけれど成績の悪い少年とのほほえましい友情。
人間の美しさを素直に信じられる本。
この作品が出た頃からナチス時代の台頭があったことを思うといろいろ考えさせられる。 -
何度目かの再読だが、
この年になると、あらためて感覚が違って、ある意味、新鮮に読めた。
ケストナーは「良心」だな、とあらためて思う。
しかし、現代において、こういった正義や誇りを描いた物語が、若い読者に受け入れられるのだろうか、と思ってしまった。
ドイツでは、まだしも、日本では…?
普遍的に大切なことなのだが、このストーリーでは受け入れられないかも、ということになると、やはり「鬼滅〜」のようなもので学んでいくことになるのかなあ?
(読んでないけど)
古き良き…になってしまっているとしたら、とても残念ではあるが、あえて今の時代に寄せていく必要があるのかどうかは、それはそれで疑問がある。
今の子どもたちが、どのようにケストナーを読むのか、気になる。 -
_冬の夕べのとばりが町の上にたれかかりました。一年じゅうでいちばん美しい夜を迎えるのに、もういく晩もないのでした_
_往来には、蜜入り菓子のにおいがただよい、道がそのお菓子で敷きつめられてでもいるかと思われるほどでした_
今年のクリスマスに読もうと決めていました。
一冊丸ごと、まえがきも本編もあとがきも、全てが文学でした。
寄宿舎に暮らす5人の少年たち。
彼らの慕う二人の大人、正義先生と禁煙先生。その二人の間にある知られざる絆に気づいた少年たちは、粋な行動に出ます。
そしてウリーとマルチンに起こること!
素敵な大人に見守られながら成長する少年たちのいきいきとした姿と、家族や友達を思う健気さに胸打たれ、何度読んでも同じ箇所で涙してしまいます。
ケストナー作品はたくさんの方の翻訳により出版されていますが、私は、高橋さんの訳じゃないとここまで感情移入できません。
もちろんドイツ語の原文は知らないけれど、自伝などから想像するケストナー像を思うと、高橋さんがとてもケストナーらしく訳してくださっていると信じられるのです。
この楽しくて美しい物語を、10代と、そして今読み直すことができて心から幸せです。
『飛ぶ教室』を読んだなぁっていうこと自体も、2020年の素晴らしい思い出になりました。まえがきのこの言葉、ずっと大切にしようと思います。
_子どもの涙は決しておとなの涙より小さいものではなく、おとなの涙より重いことだって、めずらしくありません_ -
マルチンとマチアスがごっちゃになって困った。
監禁暴行事件ですよ。
警察呼んじゃうぐらいのことですよ。
一緒になって計画練ってる場合なんでしょうか。
そんなことを考えてしまうのは私が現代日本の人間だからでしょうね…。
親と連絡取るのも簡単じゃないこの時代に、子供を預かるというのは本当に責任の重いことですね。
手紙を勝手に読むわけにもいかないし。
様子を見て何があったか察するというのは簡単なことじゃない。