チョウはなぜ飛ぶか (岩波科学の本)

著者 :
制作 : 村田 道紀 
  • 岩波書店
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本棚登録 : 10
レビュー : 2
  • Amazon.co.jp ・本 (178ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001152067

感想・レビュー・書評

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  •  少年向けのシリーズということもあり、やさしく書かれておりしごく読みやすい。それにしても、平易にやさしく書くのも文才が必要のはず。日高氏は、研究者としてすぐれているだけでなく、文章でも秀でていると思う。
     アゲハチョウなどの研究について書かれている。いわゆる「チョウ道」の研究もある。チョウはどういう理由でそのルートを飛ぶのか?その考察、研究である。チョウによってその飛び方は異なるが、アゲハチョウの場合、野原などのひらけた場所を避け、樹々の緑に沿うように飛ぶ。また、その際、日陰よりも日当たりのほうを好むらしい。などの考察が、試行錯誤とともに語られる。
    さらに、アゲハチョウのオスは、様々なチョウの中から、同種のアゲハチョウのメスのみをどうやって見分けるのか? の研究考察も。色、模様など様々なモデルを紙でこさえて、実際のオスにあてて反応を実験する。あらゆる可能性を考え、仮説を立て、実験を繰りかえす。なるほど、昆虫の生態に関する実験はこうやって行うのか、と感心する。

    「あとがき」に以下の一節がある。
    「ぼくが書きたかったのは、研究で何がわかったかということではなかった。/まだ研究のとちゅうにあることについて書きたかった。いろんな失敗や、ばかばかしいまちがいを書きたかった。」 …とのこと。
    そういう思い、ねらいであるため、現在進行形の感じで、しかものびのびと書かれている。読んでいて楽しい本であった。

  • 数十年ぶりの再読。1975年に発売された岩波科学の本の1982年6刷をネットの古本屋で入手した。著者があとがきで書いているように、「わかっていること・わかったこと」を伝えるポピュラーサイエンス本ではなく、筆者とその研究グループが当時格闘していた問題を現在進行形で熱く語っているところがいい。それは科学とは何か、という根源的な問いにつながる問題意識を読み手に喚起してくれる。何よりも「チョウはなぜとぶか」というすばらしいタイトルが、筆者の少年時代の想いから始まっているところがいい。この本の読後には、暑い夏の日差しを感じる。

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著者プロフィール

【訳者】 日高敏隆 (ひだか・としたか)
1930年生まれ。京都大学名誉教授。2009年歿。

「2018年 『利己的な遺伝子 40周年記念版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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