めざめれば魔女

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本棚登録 : 78
レビュー : 19
  • Amazon.co.jp ・本 (389ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001155099

感想・レビュー・書評

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  • マーガレット・マーヒーと言うと真っ先に浮かぶのが「魔法使いのチョコレートケーキ」。優しく美しいその作風とは打って変わって、こちらは重厚感たっぷりのYA小説。
    「魔女」となって弟を守れるかどうかの話を縦糸にして、主人公の複雑な家庭問題や魔女とおぼしき上級生の男子へのかすかな恋心、また彼の家族との交流などを横糸にして進む。
    14歳という多感な年齢に、そりゃもうけなげに頑張りぬく女の子の話で、読みながらしばしば、その頃の自分に手渡したかったなぁと感慨にふけった。

    少し霊感を持った14歳の女の子・ローラ・チャーントが主人公。
    ジャッコという3歳の弟が、ある日町の骨董屋で手のひらにスタンプを押され、そこからみるみる衰弱していく。重篤状態に陥った弟を何とかして救いたいローラ。
    「監督生」であるソリーが魔女であることを見抜いたローラは、ある日彼を訪ねて力を借りようとする・・

    「監督生」という存在を知ったのは「ハリー・ポッター」だったかな。
    成績優秀のみならず品行方正でなければならず、「首席」とはニュアンスが違うらしい。
    またニュージーランドの教育制度についても新しく知ることになった。
    こちらは6・3・3制だが、あちらは6(小学校)・7(中等高校)というシステム。なのでローラは中等高校の4年生ということになる。

    登場人物が多いせいか、会話の量がかなり多い。
    シングルマザーであるローラの母親・ケートの新しい恋人の出現や、元父親とその新しい伴侶、ソリーとその家族(こちらも隠れ魔女)、そして宿敵である骨董屋。そうそう、あとは同級生の女の子たち。
    複雑な人間関係の中で、常に言葉によって自分の立ち位置を確認し、踏み固めていかなくてはならない。日本語で言うところの「慮る」とか「言外に匂わす」などという技術もない14歳は、ひたすらストレートで、そのため「イライラして叫んだ」「カッとなった」という表現が非常に多く登場する。 本来なら苦手な分野(笑)なのだが、いつの間にか主人公をしっかり応援してしまった。
    そしてやはりキーワードは「成長」で、ローラとソリーのふたりの心の繋がりをにおわせて、お話は閉じる。

    やや古典的名作とも言える「シャーロット」や「クローディア」と比して、こちらはだいぶ新しい風が吹いている。超自然現象はほとんど起きないリアルな魔女もの。
    青春映画の分厚いシナリオを読んだような、そんな読後感だった。

  • 中学時代以来の再読。
    あの頃、すでに翻訳書には愛想をつかしていたのだが、女の子がこちらをじっと見つめる表紙(昔はそうだった)が妙に印象的で借りた覚えがある。少女が自己を獲得していく話であり、変身をテーマに用いているあたりからしてベタといってもいいほど。だが、逆にそこが好印象で、当時は「こんな作品がもっとあればいいのに」と思ったのを覚えている。けれども、あとは敵(カーモディ・ブラック)が気持ち悪かったのとちょっとエッチだったくらいのことしかもう記憶に残っていなかった。

    ふたたび読んで、泣いた。3歳の弟ジャッコの可愛らしさがよく描かれている。そういえば、前回は歳の離れた弟を想って泣いた気がする。今回泣いたのは、4歳のわが子が目の前にちらついたからだ。創作物で泣けるかどうかは、こういう細かな描写にかかっている。

    あとは、大人になって読むと、ローラもソリーも可愛くて仕方ない。おそらくソリーは、原作より清水訳のほうがキュートなのではないだろうか。もしかしたら、原作ではもっとクールかもしれない。でも、どちらにしてもチャーミングでなのは変わりそうもなく微笑ましい。

    面白いのは、いまとなってはまったくエッチだなんて思わなかったこと。当時のわたしは自己投影をしていたのかもしれない。しかし、いまのわたしがその時代まで引きずり戻されることはなかった。それだけに、あとがきで清水さんが「ローラの年齢に引きもどされ」辛かったと語られているのは興味深かった。

    すばらしい作品というのは、人によって年齢によって、多彩な読み方ができる。それを実感した。

    追記:ここに登場する魔女は、『ゲド戦記』や現代のウィッカ信仰に通じるもの。

  • 書評本で、平凡な女の子が特別な男の子に選ばれる、女子の願望マーヒーパターン、というのを読んで、ホントに同じ本を読んでいるのか、と思った。
    これは、車持ちのハンサム、でも頭は、な男子に、遠くからイイなと思われているようなタイプの女の子が、里子に出されたさきで虐待にあい、吃音になって、感情をころし、世間一般の優等生になりおおせることで、なんとかやりすごしている男の子を正体を(彼は男なのに、魔女なのです)、一瞬で見抜き、選ぶ、お話です。
    そして弟を救うために、魔女というまったく別の存在になることを選ぶ、勇気と冒険の話。
    力を手に入れたあとは、自分を虐げた相手にいかに対するか、まで話が続くところが、サイベルと同じく、女子の立場でフェミニズムっぽいのですが、疑うことの重みに耐えられない、空想力を源にし、自分の血を流し、交換する、という魔女の力は、物語をつくること、その方法と生理とモラル、のようにも読めます。

  • 【10/25】近図。季節の本(=魔女)。ローラ・チャーントは14才の女の子。弟のジャッコを救うため、魔女になって戦う。マーガレット・マーヒーは『魔女のチョコレートケーキ』が人気なのだけど、これは中学生以上向き。心の機微を理解するには、小学生には難しいかなと思うので。母親のケートが35才…の設定に、しばし固まる。

  •  マーヒーも好きなんだよなぁ。私が図書館で手に取った表紙のものはないようだ…残念。いつか買いたい作品のひとつ!!

  • 読み応えはあったー

  • しばらく前に読了。気になりつつも読みそびれていたもの。
    マーヒーはあまり好きじゃないと思っていたのだけど、これはけっこうよかった。勧善懲悪的なところとか、恋愛オチ自体はあまり好きではないのだけど、それでも。ローラの「病」をひっそりと描く感じが好き。機会があったら何度か読み直したい。
    …でも、どうも清水真砂子さんの訳はわたしと合わない、かも。

  • 魔女である前に、人間です。
    女の子であり、男の子。
    女性であり、男性。

    人間であることが、自然なんです。

    しかし、人間であることに執着し過ぎた結果は、人間とかけ離れたものでした。

    人間であることというのは、あり続けることではない。
    消えるのも、また人間。

  • 小学生の頃、ハリーポッターに感化されて外国の話を読みあさっていたとき、市立図書館で出会った本です。
    ソリーとチャーントの掛け合いが大好きで何回も借りて読みました。小学生にはちょっと刺激的なところもハマった要因だと思います。
    先日、やっと古本で見つけて読み返してみましたが、何歳になっても心がキュッとまります。
    大人と子供の合間にいる2人の歯痒さと、大人に成長する一瞬を写真に納めたような甘酸っぱいっという表現がぴったりの話です。

    手に入ら無くなる前に、もう一度であえて良かった。

  • ゼミの発表用。面白かった!

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