ムーン・ダークの戦い

  • 岩波書店 (1991年11月13日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (220ページ) / ISBN・EAN: 9784001155174

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  • 近所に人も増え、開拓によって環境収容能力が決して大きくないところに1000頭のオオコウモリが突然現れ、それまで棲んでいた動物たちは餌不足でお腹をすかせて不機嫌になって争いを始めます。餌不足で人に依存するようになった野ネズミの駆除に毒えさをまいた人間がいたようで、死んだネズミを食べたトビが死んで発覚。毒入りの餌を仕掛けた人を探しにレンジャーも動き出します。

    オオコウモリはそれまで棲んでいた川向こうの森を人間が開発して木を切り倒したので引っ越してきたのだ。月の精霊キーティングがオオコウモリの安全な隠れ場として北の方の川を二つ越えた向こうにある峡谷の古い森を見つけてくれます。ただオオコウモリに引っ越しをしてもらうためには、キーティングがオオコウモリを入れて運ぶタケ(笹?)を集めなければならず、また3日後にキーティングがオオコウモリを運ぶ姿を人間に見られてはならないので、その前2晩、人間を寝かせないようにして3晩目には人間は確実に家の中でぐっすり眠るようみなで協力しなければなりません。人里離れた尾根に飼い主と棲んでいるディンゴとコリー犬のあいのこブルーが先導して、なんとか月の精霊に言われたとおりにタケの準備ができ、それぞれの動物らしい方法で二晩大騒ぎをして人間を寝かせないようにして、ようやくキーティングが再びる夜となりました。オオコウモリたちも同意して別の森に運ばれ、もとの森には平和が訪れます。動物たちはお互いに話をしますが、オオコウモリは最初から最後まで他の動物とは話しません。

    キーティングも動物たちも昔は人間だったというアボリジニの世界観があるのですね。

    日本の子どもたちには馴染みがないオーストラリアの動物や植物がたくさんでてきます。随所に藪内正幸さんの動物や植物の挿絵が出てきますが、こどもにはまだ足りないかも。和名の付け方もちょっとわかりにくいです。たとえば有袋類のハツカネズミってなんだかわかりますか。カジュアリーナはモクマオウの方がまだわかりやすいかと思います。エキドナは最初だけ(ハリモグラ)とでてきますが、その後はずっとエキドナ。日本ではハリモグラの方が親しみがあると思う。オオコウモリやフクロモモンガを数えるのに一羽二羽はすごく変。科学の文章なら1頭2頭ですが、一般向けなので一匹二匹が妥当かと思う。生物に詳しい人の監修をつければよかったのにと思います。

  •  ユニークな発想と展開、オーストラリアの自然と動物と人間に対する、深い愛情と理解と現実的な姿勢とが、ライトソン文学の特徴です。 あとがきから。

     人里はなれた丘陵地に住む犬のブルーは、周囲の動物の様子がいつもと違うことに気づく、食べ物をめぐって戦争が起こりかけていたのだ……。野生動物たちに降りかかった危機とは?   帯文より。


     モートは漁師でその住まいは丘陵と川の間に伸びる、人里離れて尾根に建っていた。ブルーはその飼い犬で、野生のディンゴとコリー犬の交配により生まれたブルー・ヒーラー犬。主人公はこのブルーで、近くに数件の家が新たに建ったために、その地を追い出された動物たちと、追い出された動物たちが越してきたことにより、もともとその場に暮らしていた動物たちの食べ物が足りなくなり人間の畑を荒らしたり、動物たちの間で争いが増え…といった話。

     これは、人類永遠の課題かも。人口が増えると食べるものが足りなくなリ、争いが起きる。

     神のような、英雄のようなキーティングが奇跡を起こすのだけれど、そのためには助けを求めて祈るだけではなく、共に考え、協力し合い、下準備をして、努力して、譲り合い、助け合って、平和を得る。理想だわ。

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