こわがってるのはだれ

  • 岩波書店
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本棚登録 : 62
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001155211

感想・レビュー・書評

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  • 大おばあさんの100歳の誕生日に招かれた,仲の悪いいとこ同士の少年ふたりが古い屋敷の中でかくれんぼをして体験した恐怖の瞬間……スーパーナチュラルな手法で描かれた,世にもふしぎな11の物語.

  • 最初の挿絵が怖くてびっくりする。ホラーな小説や映画は陳腐で興ざめなものが多い中、こちらはじわじわした恐怖というか、表現がさりげなくて(うまく言えないけど)いいです。
    読んだ後、家の暗いところに行くのが少し怖くなるような恐怖を感じさせてくれる本でした。怖いだけじゃないお話の良さがあるので、子供さん向けにもいいと思います。

  • フィリパ·ピアスの不思議な物語を集めた短編集。
    特にぞっとしたのは『黒い目』。遊びに来た不幸は従姉妹は、自分のぬいぐるみは魔法が使えるのだといい、主人公を恐怖に陥れていく。『おばさん』という話は、視力がいいおばさんの話だが、視力の良さがさらに進んで……という発想が面白い。星新一作品にあっても良さそう。
    『クリスマス·プディング』では、うだるような暑さの中、クリスマス·プディング作りたいとか言い出すのだけれど、そんなに早くから作るものなのかな?調べてみよう。
    訳者の高杉一郎先生のあとがきがかなり興味深かった。作者本人が言っているように、確かにこういう不可思議な話は日本人は好きかもしれない。昔から、日本ではこちらとあちらの境界が曖昧と言われているので、なんだかピアスの作品からはそういう雰囲気を感じる。
    『よその国の王子』という作品が評価を受けていることに対して高杉先生が真っ向から反対しているのも面白い。そして、私もこの話はちょっと理解できなかった。
    そして、高杉先生が翻訳をしていて困った点についても書かれていて、やはりこんなベテランでもそういうことがあるのだ、と興味深かった。

  • スーパーナチュラルを通してこそ人間世界の機微を深く探ることが出来るというピアス。その気負いに負けない名作です。
    特に子供・動物・老人を描く中に素晴らしいものがあると感じるピアス作品ですが、ラストの「黄色いボール」では牝犬の幽霊というちょっと珍しい設定を使いつつ、幼い姉弟の心の機微を描き出しており、深く心に沁み入りました。
    姉のほうが牝犬を哀れに思う感情は大人でもなかなか持つことが出来ない「共感力」ではないかな、と思います。
    「黄色いボール」を再び牝犬に返してやることが出来た瞬間の描写はとても感動的でした。

  • この本の怖いお話も、ただ怖いだけでなく昔話的に人生を教えてくれているような気がします。

  • 20120814

  • なんといっても冒頭に入っている「クリスマス・プディング」の話は本当に怖い。人間の心に巣食うまがまがしいもの、いじけきり、嫉みから生まれ出でるものの怖さ。 だけれど、時折この本が無性に読みたくなるのは、なぜなんだろう。

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著者プロフィール

1920-2006。イギリスの児童文学作家。『トムは真夜中の庭で』(岩波書店)でカーネギー賞を受賞。短編の名手としても知られ、「二十世紀の児童文学作家の中でもっとも優れ、もっとも愛された一人」と賞賛された。

「2018年 『コクルおばあさんとねこ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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