帰還

  • 岩波書店
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感想 : 53
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  • Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001155297

感想・レビュー・書評

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  • 力を失ったゲドを、ルグウィンはちゃんと描いてくれました。お話しのためのお話しのような一冊。この一冊があるからこそ、前三作に深みが出るように思います。最後にゲドが繰り返す『わたしは大魔法使いではない』の言葉、そしてアスペンの『俺は大魔法使いだ』の言葉に答えるゲドの『ああ大魔法使いだ』の、このやり取りは秀逸で、ここにルグウィンの言いたかったことは集約されてるのではないかなと思いました。終わり方も最高です。ゲドがお皿を洗うシーンも良かったです。

  • テヌーはオジオンに託された後農民フリントに嫁ぎ、二人の子を設け普通の女としての人生を歩んでいた。夫をなくし子供も巣立った後、顔を火で焼かれた子供を引き取りテルーと名付け育て始めた。オジオンの危篤の知らせを受け、オジオンを看取った数日後、竜に乗った憔悴しきったゲドがやってくる。ゲドは力を失ってしまい人目を遠ざけ、Rokeからも逃れアレンの戴冠式の出席も拒む。
    テルーを付け狙う男たちが、家を襲おうとした時ゲドは首尾よく彼らを撃退し、テヌーとゲドはテヌーの農場で一つ屋根の下で暮らすようになる。懇意にしていた魔女の危篤の知らせを聞き、ゲドとテヌーとテルーは魔女の元を訪れようとする。その途中、街の魔術師に囚われゲドとテヌーは崖から飛び降りるよう仕向けられるが、テルーが呼び出した竜により難を逃れるのだった。

  • 児童文学・・・児童・・・??
    まあ欧米児童文学ではよくあることだが

  • 読了。これまでの3冊とはちがって、思想的な言葉があからさまに語られる。家で暴漢に襲われそうになるシーンや、最後の旅路で男に出会うシーンなどは、最近のハリウッド映画のような展開で心拍数が上がるんだけど、それでいて深みのある考えさせられる会話が交わされるので、飽きずにどんどん読んでしまった。

  • 【配置場所】特集コーナー【請求記号】933||G
    【資料ID】10403447

  •  アーシュラ・K・ル・グィンの『ゲド戦記』の第1巻『影との戦い』は宮崎駿の息子さんによってアニメ化されて有名になりました。この物語は「行きて還りし物語」の構造を持っていることでも知られています。また「成長小説」としての側面を併せ持っていると言われます。学生諸君が夏休みに時間を掛けて読むのに持って来いの物語だと思います。ぜひ実際に手に取って一読してみてください。
    1.影との戦い:4001106841、2.こわれた腕環:400110685X、3.さいはての島へ:4001106868、4.帰還:400115529X、5.アースシーの風:4001155702、6.ゲド戦記外伝:4001155729
    越谷OPAC : http://kopac.lib.bunkyo.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=1000451969

    文学部 T.Y

    越谷OPAC : http://kopac.lib.bunkyo.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=1000382810

  • 20120805

  • 3と4の間。物語の中では続き物なのですけど、実際には相当時間が経過して書かれた物語なのですね。
    というか、印象がガラリと変っている。いや、これはもう児童文学ではないのでしょう。

    主役というか語り手は中年になったテナーで、女の一生という趣がある。
    子育ての苦労や近所付き合い、そして差別に戦う彼女の空白の時間が描かれている。
    この物語を読むのはもうワクワクとかドキドキなど一切なくてひたすら重くて辛いのでありました。
    ジェンダー問題などを扱った本を読むのは私にとって珍しいことではないしイヤな作業でもないのだけど、そういうつもりで読み始めていないだけにまた更に肩透かしをくらったような・・・と恨み節になっているかな。

    ここまでゲド戦記を読んでしまったので、最後まで付き合うけどね。
    1~3までとはまた違った読み方で挑むことをお奨めします。
    それでもラストにカタルシスやテナーとゲドの再会など、お砂糖部分もあります。
    ファンなら知りたい人々のその後も描かれているので、読まずにはいられないことは間違いないです。

  • 図書館から借りました

     ファンタジー。成長物。魔法物。

     ハードカバー本のため、高い。350頁ぐらい。
     前作から、15年ぐらいぶりに出ているので、挿絵が違う。
     完結編?
     いいや、実はまだある。
     時間は、前巻から数日しか経っていない。 

     腕輪のテナー登場。オジオンの死去。酷い目に遭わされて、顔に火傷を負った少女テルー。そして、魔法を失ったゲド。

     ゲドが・・・変わってます。弱々しくなりました。 ずっと堂々としていたのに、嘘みたいにひょろひょろに。
     世界も、それまでは強大なものと戦うゲドのおかげで、汚らしい小さな世界は描写されなかったのですが、今回はいろいろとリアルに「いやなもの」が。
     テナーは普通に結婚して、娘と息子を持ち、亭主に死なれてやもめ暮らし。子供たちは、嫁いだり、船乗りになったりして、家にいない。
     そこに、ごろつきの両親とその仲間に、強姦されたあげく火の中に放り込まれて瀕死にされたテルーを預かることに。
     テルーが回復しつつある頃、オジオンの具合が悪くなったことを知らされて、テナーはテルーをつれて、オジオンのもとへ駆けつける。

     この物語で、誰が成長するのかといえば、テルーとゲドが。
     テナーのテルーに対する愛情は時に・・・「嘘くさい」というか「無理してない?」という気がするけれど、将来が見えない、片目を失った女の子を預かったのだから、無理もするだろう。彼女はテルーに対して、いつもいつも深い。
     
     ここには、いろんな「報い」がある気がする。
     なんにしろ、テナーは地面に沿って着実に前向き。
     テナーがいたからゲドは新しい生き方を決め、テルー(テハヌー)は仲間がやってきてもテナーの側から去らなかった。

  • ヒロインもヒーロもあっという間に老いているけれど、なおも彼らは美しい。

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アーシュラ・K・ル=グウィンの作品

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