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Amazon.co.jp ・本 (456ページ) / ISBN・EAN: 9784001155723
感想・レビュー・書評
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物語の中の時間で言うと、第4部と第5部の間に読むのが良いのかも知れない。
しかし日本での刊行順は第5部が先。
まえがきは作者が「ゲド戦記外伝」を書くにあたってのエッセイのようなもの。年月をかけて作者も物語ない世界も変化するんですよ、ということが語られる。なお、この喩えとして「ドン・キホーテは馬に乗ってアルゼンチンまで出かけ、ボルヘスに会った」と語られていた。ボルヘス!なんか全然関係ない本でボルヘスの名前がふっと出てくることは何度かあり、本当に文学界に影響を与えた人だなあと思う。
『カワウソ』
ゲドたちの時代は、魔法使いはローク島の学校で学ぶことになっている。このロークの魔法学校ができる前、できた時の話。
カワウソはある魔法使いから掛けられた呪いを外そうとするが、愛する女性を失ってしまう。
その後は身を隠し続け、魔法学校設立にも係ることになった、という話。
物語世界の中での魔法使いのルールや、一般人の暮らし方、そして魔法使いや呪い師の受けた過酷な扱いが語られる。
『ダークローズとダイヤモンド』
高い魔法の素質があるダイヤモンドは、しかし魔法学校で力を磨くことよりも、愛する女性のダークローズとの暮らしを取るのだった。
尊敬されるが人間としての生活や人付き合いを断念する魔法使いになるか、平凡で貧しくとも手に届く範囲の心の安寧を取るか…、ロマンス物語でもある。
『血の骨』
ゲドやテルーの師であったオジオンの若き日の物語。
魔法使いダルスに弟子入りしたオジオンは、師匠とともに大きな地震を防ごうとする。
『湿原で』
村に現れたガリーは家畜を治す呪いを行い、村に留まる。
ある夜宿屋にタカと名乗る男が訪ねてきて、宿のおかみさんに、40年に渡るある対決の話を聞かせる。
それは、ロークの魔法学校で、イリオスという才能はあるが攻撃的な魔法使いが、ゲドを始めとする賢人たちに挑戦を仕掛けて暴れて負けそうになったら逃げ出したという話だった。
「あの人を起こしてきましょうか?」
しかしゲドの目的はイリオスを倒すことではなかった。
そしてイリオスも小さな村で人々の役に立つ呪い師であることが自分の存在だと分かったのだ。
==この短編の語り方が好きなんです。ボルヘスでいうと「敷居の男」のような、他人事のように話をすることで、それは今起きている事実だということを相手に知らせる、というような。
強い素質の魔法使いは、自分の知らない魔法や強い魔法使いに攻撃的にならざるを得ない、というところが因果だなあと思いました。
『トンボ』
女でローク島の魔法学校の門の中に入ったアイリアン。
先に読んだ第5部で出てくる女性のお話。
実は彼女は竜と人間両方である。自分が何者か知ろうとして、新しいことをしようとして、本当の自分を知る話。
後書き『アースシー解説』
ゲド戦記における「アースシー」の世界がどのようなものかの解説。
宗教観、歴史、文字や言語と何故そうなったかの民族的哲学観のようなもの、昔の英雄譚など。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
小説は人生よりも少しだけ説明が付帯されるけれども
それでも同じで見えたところだけで全てを判断し
自分なりの想像でつなぎあわせ物語に仕立てるものだ
そんな好奇心を掻き立てる隙間を埋めているのが
この五つの短編と用語集的な解説からなる外伝である
本来の出版順ならば四巻の後にコレが挟まって
五巻を読むのが筋なのだろうが
何故かニホンでは最後に外伝を読めということらしい
このいかにも西洋風なメルヘン小説は
童話と言う世界を借りて
自然とそれを所有支配しようとする「男社会」の現実と
その矛盾を解き明かそうとしているようだ
パラドックスによって生み出されているこの世をとらえ
どうあれば皆の対等性と自在性を保つイジメのない
五分五分の冒険を愉しめる環境を取り戻せるかと
試行錯誤している物語だと読むこともできるだろう
翻訳とは思えないほどに日本語だったしその解釈も深く
愉しんで読むことができたのだけれども
主語化された述語が重なることが多く
そのテニヲハが文の流れを壊していたような気がする
名言:例えば
掟は破られるためにある
不正が掟をつくり
勇気が掟を破る -
今までのゲド戦記の中で語られていなかったことが補充?みたいな感じで書いてるような本です。
あ、なるほど、と納得したり、ここが、本偏のここにつながるのかぁと思ったり、また本偏が読みたくなるような1冊です -
当時は相当な人気だったんだろうな~~~という続編
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飽きてしまった…ちょっと苦しいのでまたいつか出会えるときに
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アーシュラ・K・ル・グィンの『ゲド戦記』の第1巻『影との戦い』は宮崎駿の息子さんによってアニメ化されて有名になりました。この物語は「行きて還りし物語」の構造を持っていることでも知られています。また「成長小説」としての側面を併せ持っていると言われます。学生諸君が夏休みに時間を掛けて読むのに持って来いの物語だと思います。ぜひ実際に手に取って一読してみてください。
1.影との戦い:4001106841、2.こわれた腕環:400110685X、3.さいはての島へ:4001106868、4.帰還:400115529X、5.アースシーの風:4001155702、6.ゲド戦記外伝:4001155729
越谷OPAC : http://kopac.lib.bunkyo.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=1000451969
文学部 T.Y -
ゲド戦記外伝。外伝五本に解説一本。
日本での刊行順序に逆らって、こちらを先に読了。
アイリアンとの遭遇で、ロークの未来は如何に?
次はアースシーの風。いつかは…! -
本編を読んでいる人には馴染みの名前もちらほら出てきます。
本編の後半よりもむしろ、個人的には面白かったかな。
オジオンやゲドが出てきたのか、個人的には嬉しかったです。
魔法使いと魔女ってそんなに違うの? と思う。
世代とか環境の問題なんだろうけど。
そういうのは差別だ!と思う世代なので。
振り返ると、シリーズ1巻が一番面白かった。
2巻もまぁ面白かったけど。
3巻も面白かったか。
やはり年数があきすぎていて、作者のいろんなものが変化しているというのが
大きいのかも知れない。 -
外伝を先に読むとよいという情報を得て,読んでみました。
「カワウソ」と「地の骨」が好きだ・・・。
「カワウソ」は前半はすごくハラハラ冒険活劇です。
アニエブの村に戻るところは泣ける・・・。
でも,女だけの島だったはずのロークが,どうして男だけの
魔法使いの学院になったのか,その謎はとかれていないですな。
「地の骨」
沈黙のオジオンのお話。
これも,最後が泣ける。
すごく好きなお話です。
「トンボ」
竜と人のお話。つまり,TEHANUとの関わり・・・?
それから,まえがきの最後の行が好きです。
「竜がなにもであるかなど,誰にも説明できない」 -
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ゲド戦記、ファンタジーを極めたい方に是非読んでもらいたい一冊。
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オジオンと師匠の話「地の骨」がすばらしい。
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知りたかったと言われれば知りたかったけど、
憶測でよかったともいえる話も含まれてたりで・・・
まぁ、でもココまできたら読むでしょう。 -
ゲドシリーズ初期3作の勢いは姿をひそめ、4巻以降は人間を見つめる内容になっている。
もともと戦記と言っても、それは暴力的なものではなく、自己と他者の許容や葛藤、生と死などについて描かれているが、
「帰還」からはよりその傾向が強い。またこの外伝によって、物語の世界の裏打ちがされ、ゲドやその周囲の人々、アースシーの世界に生きる人々を浮き上がらせてくれる。
時間をおいてまた読みたい。 -
2006年4月 読了
ゲド戦記の世界の歴史や次巻の伏線が書かれています。 -
カワウソが一番好きだなぁ。カワウソくんみたいな朴訥とした青年は好きです。
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「地の骨」に涙、涙。人知れずに行われた高尚な行為―ヘレスにはそのような意識は微塵もなかったであろうが。そんなヘレスの性格、思想が、短い章のなかに、くっきりと浮かび上がる。そして、若き日のオジオン。オジオンのあの最期を知ってしまったあとだけに、懐かしくて胸がつまる。
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なんで出版社はアースシーの風の前に外伝を翻訳しなかったんだろう。ル=グウィンは外伝を先に出したんでしょ。最後のトンボは先に読みたかったなぁ。絶対そのほうがアースシーの風が楽しめる。出版社の考えがわからないよ。
中身は結構おもしろかったです。オジオンの師匠の話とかもあって。
2008/2/25
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本編の世界観が広がる外伝。コアなファン向け。
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作者は本当にアースシーの世界を覗いて来たかのような、細かな設定がたくさんで、大満足です。アースシーの壮大な歴史、その緻密な構成が、すごい。特に、ロークの学院が出来た由来とかは、アースシーファンにはたまらないかも。様式の長の暮らしぶりが羨ましすぎます。私も一緒に森で暮らしたい!これは日本語版では最終巻ですが、原書では第5巻の前に出版されてます。私も原書のとおり、5巻の前に読んだ方がよかったなと思いました。その方が、「アースシーの風」でキーになるアイリアンについて、よくわかります。<内容>5つの物語(「カワウソ」「ダークローズとダイヤモンド」「地の骨」「湿原で」「トンボ」)と、作者による詳しい解説を収める〈外伝〉。作者の構想したアースシー世界の全貌が鮮やかに見えてくる、「ゲド戦記」ファン必見の一冊。シリーズ第6弾。
著者プロフィール
清水真砂子の作品
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