13歳の沈黙 (カニグズバーグ作品集 9)

  • 岩波書店 (2001年11月5日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784001155990

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

思春期の少年が直面する複雑な感情と家族の絆を描いた物語が展開されます。主人公のブランは、妹の危機をきっかけに突然言葉を失い、親友のコナーは彼を救うため真相を追い求めます。この過程で、孤独や罪悪感、思春...

感想・レビュー・書評

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  • 「クローディアの家出」「ぼくとジョージ」に続いてカニグズバーグ再読。13歳という子どもから大人に足を踏み入れる時期の少年の微妙な感性をスリリングに書いていて、やっぱり感動してしまう。
    まだ赤ちゃんの妹の危機に直面しながらも、真実を話せなくなってしまったブランウェル。妹虐待の疑いをかけられたブランウェルは言葉が出ない。親友のコナーは、ブランウェルを信じひたすら真相を探る。
    本当に良くできている。やはり、カニグズバーグは凄い!

  • 出てすぐに原書で読んでから13年、初めて翻訳で読んだ。おもしろかったのはおぼえていたけど、筋も完ぺきに忘れておりました。
    これまでずっと12歳を描きつづけてきた作者が、初めて(たぶん)13歳を描いた作品。このあたりの1年ていうのはとても大きくて、だから初めて思春期らしい異性への恋心などがあつかわれていて興味深い。

    秘密というのは、カニグズバーグ作品のなかでは、「それを持ち、自分のことを理解してくれる少数の人と共有することによって、自分が自分らしくいられる」というポジティブな価値を持ったものとして描かれてきたけれど、ここでは秘密の危険が描かれている。ブラウンウェルを奈落の底につきおとし、言葉さえもうばってしまった秘密。でもコナーは、自分とブランウェルが似たもの同士であることに気づいていて、友人の気持ちがわかるから、粘り強く彼のもとに通い続けて、薄紙をはぐように心のバリアをとりのぞいていく。その過程がみごと。

    ところでコナーがカードの使用を思いつくきっかけとなった本のタイトルが『飛びこむ鈴と蝶々』となっているけれど、これは『潜水服は蝶の夢を見る』http://booklog.jp/item/1/4062088673でありましょう。映画にもなっています。なぜ「飛びこむ鈴」になっちゃったのかというと「diving bell *n. 【海】 潜水鐘((しよう)) 《初期の水中作業具》」のせいだと思われるけど、もし現実にある本の邦題を出さないことにしたのだとしても、せめて「潜水服と蝶」とでも訳さなければ意味の通らないところなので、ちょっと誰か気づいてほしかったなあというのが正直なところです。

  • 佳奈子さんリリース

  • たしかに13歳には、性は過酷だ。沈黙も頷ける。しかし、よくぞ作者はこの世代の男の子のことがここまで分かるのだろう。鳥肌がたった。
    そして、毎度のことになってしまうが、信じられる大人だっていること。そして、大人も完璧じゃないこと。感服。

  • ブックトーク使用図書

  • 13歳のブランウェルは、義母妹のニッキが事故にあったことがきっかけで言葉を発すことが出来なくなってしまう。

    彼の友達コナーはブランウェルの沈黙を破ろうと、「半分の姉」マーガレットと事故の真相を明かすことに奮闘する。コナーは彼を信じているからこそ、「友達として」あらゆる手段を講じて彼の沈黙を少しずつ明かそうとして行く。

    事故の真相を明かすと共に、ブランウェルとコナーのふたつの家族の歴史・ブランウェルの表情・ニッキの病状が変化さらに進行していく。

    その中で思春期、離婚再婚、異母兄弟の誕生、そしてベビーシッターのビビアンに対しての性の目覚めを経験した13歳の感情が描かれている。

    ただ黙るだけではなく、ブランウェルはなぜ沈黙を続けたのか、どんな問題があり、何を感じていたか。

    複雑に感情が入り乱れる時期の13歳だからこそ、大人には気づかれない、深い沈黙がそこにはあったのだと考える。

  • 13歳のブランウェルは、まだ赤ん坊の義妹の事故を機に声を失ってしまう。親友のコニーが義姉のマーガレットと協力して、ブランウェルが声を取り戻すのを手助けし、事件の真相に迫る。私は、13歳のコニーにブランウェルの回復を任せる、周囲の大人たちの信頼に驚いた。でも、コニーでなければ、これだけの成果をあげることができなかったのも確かだ。タイトルの沈黙は、ブランウェルの症状でもあるけれど、主人公のコニーは、沈黙することを学び、沈黙も武器と考えるようになる。もう一つのキーワードは共感だと思う。マーガレットとブランウェル、ブランウェルとコニーの共感が解決への糸口になっていく。学生時代に、カニグズバーグの作品で日本に紹介されているものは全部読んだつもりになっていたが、その後に翻訳されたものが多いことを知ってちょっと嬉しい。

  • ある事件をきっかけに話せなくなってしまった少年ブラン。ブランを救いたいと真相を解明していく親友コナー。それを助けるコナーの義理の姉、マーガレット(『スカイラー通り19番地』で主人公だった女の子。今作では自立した大人の女性になっている)

    自分より大切な誰かの存在に気づき始めるのは、これぐらいの頃だったのかな…

    わたしも13歳になったつもりで読んだよ。まったく、おとなはなんにもわかってないなぁ!

    自粛生活の5月はカニグズバーグと共に過ごした。
    マーガレットとコナーのやりとりとお父さん、コナーとブランの一文要約ごっこを思い返しながら、数週間幸せに暮らせました。

  • 以前にも一回借りだしたことがあったはず(最初の方に覚えがある)のに、読了してなかったらしい。
    生後6ヶ月のハーフ・シスターが突然具合が悪くなり(でも頭蓋骨骨折かなんかしてる)、病院へ。その時家にいたのは13歳の主人公の友人ブランウェルとイギリス人オーペアの女の子だけ。ブランウェルは救急にかけた電話から全く言葉を喋れなくなり、オーペアの女の子は彼が赤ん坊を落とした(もしかしたら故意に)と言ったので、ブランウェルは収監されてしまう……それでも彼は喋らない。喋れない?
    友人で主人公の「僕」は何とかその沈黙を破り、真実を突き止めようと奮闘する――という話。
    なかなか面白かったけど、訳がどうなんだろう、原文のせいなのかな、少し読みにくかった。

  • カニグスバーグを読んで、自分で自分を守り切れなかった幼少から思春期の自分を生き直している気がする。
    とても前向きに。
    だから何度も何度も読んでしまうのかな。

  • 狭間の年齢。
    13歳。

    大人では、ない。
    でも、子どもとも言えない。

    大人の領域に立ち入り始める。
    心も、体も。

    そのすべてが絡み合い、物事をより複雑にする。

    でも、それを一本一本ほどいて、見つめなおしていくことができるのも、13歳ならではなのかもしれない。
    子どもには、それをほどくことはできないし、なによりこんがらがっていることにも気づかないかもしれない。
    そして、大人になってしまうと、こんがらがっていても、そのままにしてしまうから。

    13歳。

    ともだちはいいもんだ。

  • カニグズバーグという人は、「心」という曖昧なものを小説の中で構成し、きちっと描いていく。
    心理療法を推理小説に仕立てていくようで、感服した。
    ブランウェルの緘黙という問題を、ブランウェルの親友であるコナーが解いていくのだが、そこには親友という関係ばかりでなく、ブランウェルとその義理の妹ニッキの関係が、コナーとコナーの義理の姉のマーガレットの関係の相似形になっていて、コナーにとってもよいアドバイスを与えていくことが非常に上手く描かれていた。そして、それが同時にマーガレットの問題を解決していく糸口になっていくのである。ブランウェルの祖父母の対応、父の再婚、どれもうーんとうならせる描写で面白かった。
    引用すると、誤解を生みそうだけど、
    「あいつら東洋人がこいつら東洋人になることは決してありえないだろう。」という子どもの目から見た一文要約は見事だった。

  • 「クローディアの秘密」や「魔女ジェニファとわたし」とは違う新しいカニグズバーグを読みました。
    70歳を超えた作家とは思えず、なぜこの時代の子どもの気持ちが分かるのか(忘れないでいられのか)が凄いです。
    13歳ってやっぱり微妙な年頃なんですね。

  • ブランウェルの性格、とても好き。谷川俊太郎が紹介していたのをきっかけに読み始めた。場面緘目症の子が出てくる話かと思ったらちがった。もうちょっと翻訳がねえ…

  • 緊急通報の瞬間から、ひと言もことばを話さなくなってしまったブランウェル。いったい何があったのか。事件の真相とブランウェルの謎をつきとめるため、親友のコナーはある作戦を思いついた…。サスペンスに富む最新作。

  • 親の影響で読んでみたら結構面白かった。ちょっと説明不足のところもあったように思えるけどまずまず。

  • 一気読み。謎解きの面白さ、13歳の恥と誇りについて。
    かつてのカニグズバーグの作品のキーパーソンであった、ものわかりのよい大人(見守りつつ、教え導く)が、『ティーパーティの謎』でもそうだったように、もっと若い、自らも克服すべき課題を抱える存在として描かれるようになってきている。

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著者プロフィール

1959年東京生まれ。翻訳家。訳書として『きれいな絵なんかなかった——こどもの日々、戦争の日々』(ポプラ社)、『ねこのジンジャー』(偕成社)、『ひみつの川』(BL出版)などがある。

「2013年 『新版 自分をまもる本』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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