父さんの手紙はぜんぶおぼえた

  • 岩波書店
4.08
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本棚登録 : 245
感想 : 29
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001156485

作品紹介・あらすじ

また、おうちで会おうね。戦争がおわったら、すぐに-ユダヤ人一家の末っ子リーネケは、家族とはなれ、遠い村の医者の家にあずけられた。心の支えは、ひそかに届く父さんからの、ユーモアあふれる絵入りの手紙。奇跡的に保管されていた手紙とともに、リーネケの記憶がよみがえる。つらい時代に手をさしのべてくれた、オランダの人々の思い出とともに。心にしみる10歳のユダヤ人少女の実話。

感想・レビュー・書評

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  • 実話が胸に迫る。小さな女の子がどんなに不安な状況におかれていたのか…お父さんの絵入りの手紙は宝物。

  • キラキラ読書クラブ、「手紙」で紹介されていたのでテーマ展示用に貸し出して読んでいます。

    まず第1章で主人公リーネケの状況を知ったうえで「リーネケとおしゃべり」とされる父親からの手書きの絵入りの手紙を味わう。

    アンネと違ってリーネケは生きているのである意味安心して読めるが、それでも生きづらさや戦後の彼女の波乱に満ちた人生を知ることは、平和や民族について考えるのに役立つと思い購入を決めた。

    まず気に入ったのは、リーネケの「好きな部屋リスト」として紹介されるさまざまな部屋。オランダに行きたくなった。

    一気に読むのではなく、少しずつ楽しみたい。



  • 2020.5.12

    子供に、読んでもらうには良いかなって思った。
    低学年むき

  • まず危険極まりない状況で他者を助けるべく心と力の限り行動した人々のいたことに(いることに)たじろぐ。そして真の優しさとは何か。

    過酷な状況でこれほど冷静に理性と善意により動き、また命をも掛けた人々のいたことに実在の主人公の経験よりも増して驚き、狼狽に似たものが心の中に起こる。環境は自分の名前をも変えてしまうほどに作用する。

    人間たちは一体なにをやっているんだろう。オランダでの残酷の後、イスラエルに渡った主人公は看護婦として従軍したという。その後のイスラエルとパレスチナの関係を悲しく思う。

    中学生の時、アンネの日記に挫折して、大人になってもやっぱり怖くて読めなかった。でもこの本をきっかけにもう少し世界はどうして争ってしまうのか考えたいと思わされた。

  • YAブックガイドから。実際の物語を小説に仕立てたもの。途中途中に挿入される父からの手紙が美麗で、そこだけ拾い読みしても楽しめるかも。ナチス絡みのユダヤ人の物語で、悲劇的結末ではないのも救われる。

  • ナチス占領下のオランダ。ユダヤ人家族の末娘は、リーネケと名前を変え、医師夫婦の姪としてかくまわれることになる。カラフルでポップな手紙はすべてリーネケにあてた父の手紙。手紙を焼くことができず、危険を承知で残してくれた医師のおかげで、なんとこの9通の手紙は現存するのだという。明るさと優しさが胸にしみる。
    リーネケを守ろうとする大人たちの勇気が尊い。つらい描写も比較的少なく、繊細な子どもにも届く本だと思う。巻末の「その後」の話も、豊富な写真もいい。再開できたのに戻らなかった家族の絆について、遠回しに書かれており、しみじみと戦争が憎い。

  • 読むのにはなかなか苦労した。アンネと同じように、ユダヤ人であることを隠し生き抜いた人たち。様々な理由で殺されていった人たちの話も出てきて、これが歴史なんだなぁと感じました。親が子を思う深い愛も感じました。子どもを守るためとはいえ、一緒にいられないことがどれほど辛かったことか。

  • 第二次世界大戦のオランダで、家族と離れて
    生活していたユダヤ人少女リーネケ(本名は
    ジャクリーン)

    ユトレヒトの家から家族が逃げて減っていくなか
    とうとう自分も名前を変え、父親をおじさんと呼び
    隠れて住むようになる

    最終的に預けられたドクターの姪として暮らす中
    ドクターから届けられる父親からの手紙は
    隠れて住んでいる人が書いているものとは
    思えないほどカラフルで愛情が詰まっている

    最後に彼女が名前を取り戻したのかどうか、は
    彼女なりの考えに基づいたとても寂しい選択でした

  • ラジオで小川洋子さんが薦めておられました
    何も知らずに手に取ったら
    なんて愛らしい手紙、ユーモアたっぷりだね
    って思ってしまいます
    ナチスに追われ、ユダヤ人であることを隠して、家族と離れひっそりと
    でも命がけの愛で守られて暮らす少女
    父親はどんな気持ちでこれを書いたのでしょうか
    奇跡的に運ばれ残された手紙
    実際にあったことだと思うと……
    いい本に出逢えました

    ≪ 名前変え その名で息詰め 前を向き ≫

  • 戦争が終わるまで本当の名前を隠し、家族との関係をも隠し、それぞれ離れて隠れ住んで、殺されるかもしれない恐怖と隣り合わせの日々を過ごす主人公たち。それを命懸けで助け、匿う人達の勇気ある行動。遠い国の話ではあるけれど、本当に起こったことなのだと思うと息がしづらくなる。

  • 強制送還の恐怖に怯えながら名前も変え家族と離れてすごしていた女の子の話。お父さんとの手紙。絵がかわいい。

  • 資料番号:020233383
    請求記号:929シ

  • 名前を変え、田舎の村の医師に預けられたユダヤの少女にひそかに届けられた愛情のこもった父からの絵入りの手紙。悲惨な状況の中でもユーモアのあふれた手紙が胸を打つ。
    アンネのミープのように、自分たちも飢えながら、危険を承知で少女をかくまった人々の存在。善であることの難しさを考えずにはおれない。
    独り亡くなっていた母も悲しいが、仲の良かった家族が結局は元の形に戻れなかった戦争の悲劇がここにある。

  • 手紙は現存しているそうで驚きました。本物だと知って改めて手紙を見直しました。素敵な手紙です。家族6人、戦争中に病気でお母さんが亡くなられて、それでも5人は生き延びたのだからと思ったけれど、「何もかもが変わってしまいました。」という言葉に重いものを感じました。

  • 表紙のカラフルな絵が、お父さんの手紙。ユダヤ人であることを隠して、ばらばらに暮らしている父と娘の実話。殺害シーンは少ないものの、ユダヤ人が「消えていく」という描写は怖い。

  • 父さんの絵入りの手紙の美しいこと!愛情が伝わってきます。アンネの日記を読むのがティーンエイジャーだとしたら、それよりも小さな子供向けの良書。

  • ラベル:桃926
    資料番号:5000499672

  • ちょっと『ライフ・イズ・ビューティフル』を思い出しました。
    アンネみたいにならなくて良かったと、胸をなでおろしたものの、こんなことは本当に二度とおこって欲しくないと、心から思います。
    わたしはおこさないぞ。と、せめて強く思い続けたい。

  • ナチス支配下のオランダで、地下抵抗運動の助けを得て、身分も名前も偽り、隠れ住んでいたユダヤ人少女リーネケ。
    離れて住む父親からの、幼い娘を励ます絵入りの手紙が、とても素晴らしい。ユーモアに富み、まるで戦争中ではないような楽しい気持ちになる。ユダヤ人の人たちの不合理に虐げられた恐怖・屈辱・かなしみが、この親子の温かなやりとりを通じてじんわり伝わってきた。
    運よく生き延びたリーネケの一家であっても「戦争まえとは、まったく似ても似つかない」心持ちにさせてしまう、戦争というもの。かくまってくれている医師夫婦の気持ちに心を打たれた。

  • 戦時下のオランダではナチスによるユダヤ人狩りが進行していた。
    この物語は、一人の多感なユダヤ人少女・リーネケとその家族の身の上に実際に起きた話を元に構成されいる。

    身分を偽って疎開しているリーネケの元に届く手紙は、学者であった父ヤープが同じように身分を隠して田舎の農場で働きながら送ったもの。

    9通の手紙は、どれも絵本の体裁をもった素晴らしい意匠で、父の愛情がこもったものだ。その一文一文を読み、添えられている可愛らしいカラフルな絵を見ているだけで、どれだけこの少女が家族に愛されていたのかが分かる。

    普通に父から娘への手紙として取り上げたとしても、ユーモアと溢れるような愛情に満ちたひとつの作品として素晴らしい。

    そして、読み終えた後、焼却されてしまうはずの手紙の一通一通を細部にまで記憶していた少女。本来、焼却処分されるはずだった手紙が今に残されているのは、当時隠れ家を提供していた医師が、その手紙のあまりの素晴らしさを惜しみ、戦争が終わるまで土中に埋めて保管してくれていたおかげだ。

  • ユダヤ人の少女の物語。
    実話。
    主人公本人よりも、命懸けで彼女たちを守った人々の善意に
    心打たれます。

  • 表紙に散らばる可愛らしい絵手紙は父が娘に宛てた本当の手紙。1940年ナチスによるオランダ侵略。ユダヤ人のジャクリーンは当日わずか10歳でその日から名前をリーネケと名乗り、家族と離れて隠れ住みます。緊迫した毎日、心の支えとなったのは密かに届く父からの愛情とユーモアたっぷりの絵手紙。見つかるといけないその絵手紙は持っていてはいけないので、リーネケは何度も読み返して、文章や絵の細部まで覚え、頭の中で取り出して楽しめるようにしていました。
    ホロコーストで7割のユダヤ人が亡くなったオランダ。その中で生き抜いた人々とかくまい、支え合った人々。勇気と愛情と希望が詰まった一冊。子供時代、特に辛い時期に、しかも肉親から、こんな絵手紙が届いたらどんなに嬉しいでしょう。実際の絵手紙を載せながら、物語は現在(戦時中)と過去(戦前)を行き来しながら進みます。映画になりそうなくらい、物語として魅力的です。巻末にはその後のリーネケへのインタビューや当時の写真もあり、資料としても素晴らしいと思います。

  • オランダで迫害を受け、協力者のもとでバラバラに暮らすユダヤ人家族の実話。名前を変え隠れて暮らす少女へ父親から手紙が届きます。過酷な状況であるけれど、届く手紙は明るくて暖かい。

    この手紙の実物が本の中に、物語の進行と同時に出てきます。
    イラストが上手!でユーモアがあり、とても素敵な手紙です。少女には読んだら処分するように伝えられ、匿ってくれている医者に渡します。
    ですが実はこっそり保管してありました。捨ててしまうにはあまりにも惜しいと思ったんでしょうね。そして現代に残っている訳です。

  • オランダにおける、あるユダヤ人少女の物語(実話)。映画「Life is Beautiful」にも通じる、子を思う父親の愛情と、己の良心に従って、ユダヤ人を命がけで助けた人々の善良なる意志に敬服。

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