13枚のピンぼけ写真

  • 岩波書店 (2022年3月19日発売)
3.59
  • (3)
  • (10)
  • (6)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 115
感想 : 14
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (238ページ) / ISBN・EAN: 9784001160369

作品紹介・あらすじ

第一次世界大戦時の北イタリア。父と兄たちが戦場へいったあと、13歳のイオランダと妹は、母親とも離ればなれになってしまう。戦争が激しくなるなか、家族の秘密を知った姉妹は、祖母を探す危険な旅を決意する……。もつれた家族の糸をほぐし、生きる力をつかみとっていく少女の感動の物語。ストレーガ賞児童書部門受賞作。

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

物語は、第一次世界大戦中の北イタリアを舞台に、少女イオランダと妹が家族の秘密を探る旅に出る姿を描いています。父と兄が戦場に行き、母が捕らえられた後、彼女たちは母の人生を知るためにアデーレおばさんを訪ね...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 現代の作家が第一次世界大戦中の庶民を描いたYAというと、モーパーゴを真っ先にイメージするが、これはイタリアの女性作家が少女を主人公に書いた作品。
    父と兄が出征し、母が捕らえられてしまった主人公と妹は、母がかつて世話になった女性を訪ねて、母の人生を初めて知ることになる。
    第一次世界大戦中の様子はイメージできるようきちんと描かれており、友軍の誤爆で弾薬庫が爆発し多数の死傷者が出たにもかかわらず公式の発表も報道も一切されなかったり、川に多数の死体がたまって流れなくなったので爆破したりなど、多分当時の人々が残した手記などをを当たったのだろうなと思わせるシーンもある。
    物語は時系列なので読みやすく、母と祖母との葛藤がわかってくるところも良い。
    しかし、主人公が助産師を目指す心情はもう少しきちんと描いて欲しかった。そこは現代の若い読者にとって重要だと思う。
    少女の成長小説のはずだが、それがあまり感じられない。

    気になったのは少女がサンドロという少年にむりやりキスをされてるうちに彼のことが好きになってしまうところ。(もちろん実際にははじめから彼のことが好きだったんだろうけど。)
    「いやよいやよも好きのうち」っていう言葉があるが、まさにそんな感じで表向きはいやがったり怒ったりしているのだが、本心は喜んでいる感じが、個人的にすごく嫌。
    当時の女性はそうだったんだよと言われればそれまでだが、描いているのは現代の作家で読むのは現代の若い人なんだから、もっと主体的な女性を描いて欲しかった。いやと言ってるのに彼のキスを思い出すと頭がぼうっとして、みたいなのが気持ち悪い。これを読んでそういうこと(むりやりキスしてるうちに相手が好きになってくれる)もあるんだと若い人(特に男の子)が勘違いしても困る。
    性的同意は大切だし、女の子も積極的に自分の気持ちを行動に移していい。そういう少女を描いて欲しかった。
    あと、表紙の絵が正直言って現代の若い人に訴える絵ではなく、(素晴らしい水彩画の画家の作品であることは承知しているが)もう少し何とかならなかったのかと思う。岩波だから仕方ないのか?売る気あるのかな。

  • 最初は血気盛んな言葉で、すぐ戦争は終わると考える。
    いつだってそうだ。
    しかし、現実は違う。一般人も犠牲になり、自国の軍人からも謂れのない罪で投獄され、家や仕事や食べ物を失い、命を失うような思いをする。
    そのような、現実が描かれている。

    物語の中での救いは、強い女性たちや困っている人を助けようとする司祭さまや人々。

    最後は未来に向かって進む姿で終わって良かった。

  • 第一次世界大戦時のイタリア、13歳のイオランダの父と兄は戦争へ、母はスパイの疑いをかけられ収容所へ入れられてしまいます。妹と二人で母に言われたアデーレおばさんを頼って旅へ出ます。戦火が迫る中、転々とするイオランダたちを負います。
    章ごとに挟まれるピンボケの写真の説明(写真自体は何も分からない)が、イオランダたちの状況を言い表している。

    ウクライナでの戦争が激化する今、この本を読むのは辛かった。

  • 973/カ/

  • 第一次世界大戦のイタリア。オーストリアに出稼ぎに出ていたが、開戦で追い出され、地元の村に帰ったが、戦争の陰は次第に増し、父親と兄たち、そして、主人公イオランダの幼なじみの青年も戦地へ向かう。この二人の淡い恋心が物語の中心を貫いている。
    イオランダの母が村にやってきたイタリア兵の言いがかりで憲兵に連れて行かれた後、イオランダと妹のマファンダは母のメモにあった「アデーレおばさん(目が不自由だが頼れる老婆、元助産師)」を頼って行き、そこで母の母が生きていいること、祖母とは、母と父が恋に落ちたことから関係がこじれたことを知る。
    途中、何度も戦火に会い、逃げ惑うことになるが、最後は家族が再会していく…。
    少し物語が定番的ではあったが、それなりに面白く読めた。読みやすく、子どもにお薦めできる良書ではあると思う。

    「戦争というのはね、イオレ、男のひとたちがはじめるものなのに、それによって多くを失うのは、女のひとたちなの」
    冒頭、戦争が始まった、という時、まだ何が起こったのか実感のないイオランダに母が言った言葉が、本来のこの物語のテーマだったのかな、と思うのだが(必ずしも、その言葉通りとは言えない気がするけど)、そこに深く踏み込めなかったように感じられて、読みやすく面白かっただけに、少し残念。

  • 2022.11.20市立図書館
    SNSのTLなどで出版社が紹介していてずっと気になってた本。
    物語の舞台は第一次世界大戦が起きた頃の北イタリアの村。須賀敦子の作品でもおなじみのトリエステやウーディネといった主要な町の名前の他、スロヴェニア時代に親しんだ地名(当時はオーストリア・ハンガリー帝国領)がたくさんでてくる(これよりさらに30年後の話であるが「石の花」の舞台とも近い)。
    小さな村の名もなき家庭にうまれそだった13歳の主人公と妹が、戦争の中で父や兄たち、母と次々とひきはなされ、戦火をくぐっていままで話にも聞いていなかった母方の知人や親類を訪ね、家族のもつれた糸をほぐしながら、自分の進む道を見定めていく4年間。
    男手がなくなり女子ども年寄りが支えあい、追い立てられるようにさすらうその日暮らしが貴重な青春の楽しいはずの日々を奪うが、それでも少年少女たちは恋を経験しながら大人になっていくし、新しい命も生まれてくる。ちょうど現在進行形のロシアのウクライナへの侵攻のもとでもこのようなことは繰り返されているのだろうと思いながら読んだ。

  • ふむ

  • 第一次世界大戦時にオーストリア=ハン
    ガリー帝国とイタリアとの戦闘の舞台と
    なった北イタリアフリウリ地方。イオラ
    ンダとマファルダの姉妹は、戦争の進行
    に翻弄されながら、力強く生きていく。

  • 1914年から1918年、第一次世界大戦の時代。オーストリアで働いていた、イタリア人のイオランダ一家は戦争が始まるからとイタリアの家に帰ることになる。しかし、戦争が激しくなり、男たちは兵隊にとられていき、お母さんがスパイの疑いをかけられて、警察に連れていかれた。妹と2人残されたイオランダは……。

    戦争を描いているが、戦っている兵隊ではなく、残された女子どもにスポットをあてた作品。だからこそ、クライマックスの出産のシーンが大切で、すばらしくて感動した。国のために戦うと言って出ていく男たち……。残されて生活に困窮しながらも、協力し合い、なんとか生きていく女たちの強さよ。検閲というものについて、アデーレおばさんが語る内容が、現代と変わらなくて悲しくなる。
    イオランダの妹のマフォルダは、発言が幼くてちょっと向こう見ずで、緊張感のある物語を緩和してくれるとてもいい存在だった。
    イオランダの恋も、結局どうなってしまったのだろう……と思っていたら、最後の最後に、粋な演出。

  • 第一次大戦下のイタリアが舞台。タイトルになっているとおり、作中に13枚のピンぼけ写真のイラストが登場。キャプションはついているものの、その情景はピンぼけなのでなにがなにやら。想像力を働かせながらこれがこうか、と考える。

全10件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

キアラ・カルミナーティ(Chiara Carminati):文
詩人、児童文学作家、翻訳家。執筆のかたわら学校や図書館での詩のワークショップや読書推進活動、また教員や司書への詩の指導法研修にも力を注いでいる。イタリアの主要な文学賞であるストレーガ賞(児童書部門)を『13枚のピンぼけ写真』(岩波書店)で受賞。他にもイタリアのアンデルセン賞最優秀作家賞(2012年)など受賞多数。国際アンデルセン賞にも二度ノミネートされる。イタリア・ウーディネ在住。

「2024年 『どんなところか あててごらん?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

キアラ・カルミナーティの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×