- 岩波書店 (2023年5月1日発売)
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感想 : 40件
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Amazon.co.jp ・本 (206ページ) / ISBN・EAN: 9784001160468
作品紹介・あらすじ
作家の家には、なぞめいたドアがある。ドアのむこうには、特別なパスポートを持った人しか入れないという。クラスの子どもたちは作家と手紙をかわしながら、パスポートやビザの申請といった課題にむきあううちに、仲間や自分をより深く知っていく。オランダの人気児童文学作家二人による、子どもたちへのエールに満ちた物語。
感想・レビュー・書評
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2024年読書感想文コンクール課題図書 高学年
https://www.dokusyokansoubun.jp/books.html
オランダのお話。著者はトンケ・ドラフト&リンデルト・クロムハウトの二人となっている。トンケさんはオランダでも有名な児童作家で、実際に文章を書いたのはトンケさんに影響を受けて作家になったリンデルトさん。トンケさん、リンデルトさんたちはオランダの「本の週間」でパスポートに似せた冊子を作ったのだそう。しかし本物のパスポートに似すぎていて国から発売禁止になってしまった。
それでめげるトンケさんではなく、新聞に笑いに変えた抵抗投書をしたり、禁止されたパスポートを「コスモポリタン王国」として再企画も行った。
そのときの経験を元に今回の本を書くことになったのだそう。
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ラウレンゾーは「手のかかるこどもたち」のための小学校の4年生。落ち着かない日もあるけれど、みんな担任のトム先生が本を読んでくれる時間が大好きだ。
ある日ラウレンゾーは児童文学作家ラヴィニア・アケノミョージョの家に招待され、鍵のかかったドアに気がつく。ラヴィニアは「このドアの向こうはパスポートを持っている子供しか入れない『コスモポリタン連邦』があるの。この国には野生の森、広い平原、荒れている海、美しい庭が存在して、すてきな冒険ができるのよ」という。
学校に帰るとクラスのみんなも「コスモポリタン連邦」に行くためのパスポートを欲しがる。パスポートをもらうには、大使からの質問に答える必要があると聞いたみんなは大使に手紙を書く。大使からは「パスポート発行のための質問」が返って来た。
みんなのことを教えて。声の色は?目の数は?
みんなが行きたいのはどんな島?
クラスのみんなはついにコスモポリタン連邦へ入国できることになり…。
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えーっと…、私はあんまり好きではない…(-_-;)
以下ネタバレ入れて書きます。
なんといっても私が納得行かないのがこのオチというか、コスモポリタン連邦の種明かし。
ある意味「やっぱり」なのですが、そのドアの向こうに魔法の国はない。「あらゆる国であるコスモポリタン連邦というのは、このクラスの一人ひとりのことなんだよ。パスポート申請を通して自分のことやクラスメイトのことをよく知るきっかけになったよね」ってこと。子供の頃かなり本気で魔法を望んでいた私がこのクラスの生徒だったら、なっとくいかない(-_-;) 例えるなら子供たちに「サンタさんに手紙を書いて直接届けに行こう」と盛り上げておいて、その時になったらご両親が現れ「サンタさんはお父さんお母さんなんだ!お礼を言おう!」と子供たちに気が付かせるような感じかな。言ってることは正しいんだけどさ、騙した感がしませんか?
そう、この教訓的なものも「子供たち自らが、『物語を読むことは違う国に行くことだし、クラスの子達と仲良くなったし、作家も担任の先生も素晴らしい人だし、楽しいゲームができた』と気がつく」というのも大人に都合が良すぎるでしょ…。
さらに最初に戻って。
この「手のかかる子のいく学校」の4年生クラスは10人の児童に先生1人。大人数が苦手な子、字がグニャグニャしてしまう子、母親が精神不安定っぽい子、乱暴な言葉を使ったりひっくり返ったりする子などの描写はある。でも児童が感情爆発させても先生が言い聞かせればちゃんと落ち着いて「ごめんなさい」が言える聞き分けの良さ。感情コントロールが苦手とか大人数が苦手な子ってこんなもんじゃないような…(私は専門家でもなんでもありませんが)。主人公ラウレンゾーだってクラスメイトから「なにもしゃべらないからつまんない」と言われているが他の人達とちゃんと会話してるのでその特性はあまりが伝わってこない。他にもクラスメイトには「ママがわたしをばかだという。ママは部屋に入って鍵をかける」子がいるんだが、母親が精神参っちゃってるじゃない。小説として「子供たちはゲームを楽しみました」で終わらせてよいのか(-_-;)
ラストの教訓も「最初は喧嘩ばっかりしていたけど、いまではこのクラスが好き」とかいうけれど、最初そんなに仲悪かったかな??確かに揉め事もあったけど、子供の日常の範囲に思えた。
さらにラウレンゾーの家庭のこと。ラウレンゾーの両親は離婚してパパとはそれっきり。
もともと児童文学って両親がいない子供が主人公になることが多いけど、最近読んだ物語では「パパは家を出て自分の国に帰ってしまった」という話を見かけるようになった。そういう家庭が増えているのか、またはもともと多かったけどやっと注目されるようになったとか?
さて、そのパパなんだけど「新しい家庭を持ち幸せに暮らしているけれど、ラウレンゾーのことは愛していて、ママにお金を送ってくれていた。だがラウレンゾーに嫌われていると思って連絡が取れなかった」ことが明かされる。
…申し訳ないが「手のかかる息子」を残して出ていってそんなこと言われてもなあ(-_-;) まあヨーロッパでは離婚も当たり前ではっきり言うのが文化なのかもしれないけどさあ、ラウレンゾーはパパがいなくて寂しがってるじゃん、隠したほうがいいことと隠す意味がないことってあるよね。
他にもファンタジー仄めかしもあるのだが、その描写が思わせぶりすぎてむしろ「これはファンタジーなのではなくて教育なのでは?」と思いながら読んでしまうかんじ。翻訳の工夫なのかもしれないけど、作家の名字の「アケノミョージョ」、猫の名前の「近所で一目置かれているから、イワン・オソロシ」っていかにも「作りました」という名前を見たときから嫌な予感はしたんだよな。
だからこのオチには「やっぱりね。知ってたよ」って感じだけど、やっぱりがっかり。
そして後書きで書かれているんだが、この物語は他のトンケさんの小説に出てくる登場人物の名前が使われたりしているんだそうだ。トンケさんに親しんだオランダ人たちは楽しいかもしれないけど、解説しないと面白さがわからないものを日本の読書感想文に選ぶのもなあ(-_-;)
色々書きましたが、このレビュー冒頭に挙げた「この本ができるまで」は楽しかった。トンケさんの反骨精神や、実際にこの取り組みが行われたことはかなり面白い。でもこの取り組みに参加してパスポートを受け取った人たちはゲームだってわかって楽しんでたんだけど、この物語では本当だって思わせてるもんなあ、やっぱりフェアじゃないとおもうんだ。
リンデルトさんの文章描写自体も悪くはない。ファンタジー仄めかしをしない普通のお話だったら面白かったのかなあ、でももう読まないな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
大人向けのステキな冒険ものの様でした。子どもたちが少しずつお互いのことを理解していったり、ラウレンゾーも自分の気持ちを伝えられる様になったり、最後はお父さんからの優しい手紙にホッとしました。
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5年から。2024読書感想文高学年。新しく特別支援学校に通い始めたラウレンゾー。言い合いの絶えないクラスだが、トム先生の読み聞かせの時間はみんな大好き。そんなある日先生が、作家さんへ手紙を書くことを提案し、ラウレンゾーは作家さんの家に招かれることに。そこで見たドアはメトロポリタン連邦へと繋がっていることや、大使がいることなどを教えてもらい、クラスでなぞなぞビザや行きたい国ビザを作りながらクラス全体が成長していく。
抽象的表現や、特別支援など、子どもにとって共感しにくい本かなと思います。ビザ作りは楽しそうですね。 -
2024年読書感想文課題図書 高学年
このお話は、実話を元に作られています。
1978年、作家を夢見る19歳のリンデルトは、有名な児童文学作家だったトンケの家を訪ねます。
トンケは児童養護施設で過ごしたことがあり、また、教育に困難を伴う子どものための学校に通った経験がありました。
また、1982年にパスポートそっくりの本が社会問題となって、法務省が本の回収に乗り出したとき、二人は実におもしろい対応をしたのです。
さあ、現実と空想とユーモアが入り混じる本の世界へ行ってみてください。
普通の異世界へ行くお話とは一線を画す設定がよかった。あとは、このお話のもとになった実話のエピソードがすごく楽しかった。トンケ・ドラフトの本は読んだことがないので、読んでみたい。 -
教育に困難をともなう子の学校。作家とのやり取りを通じて、ドアのむこうの国へのパスポート申請書を書いたり、その連邦にありそうな国のビザを自分で考えて書いたりという授業が楽しい。
でも何よりも子どもたちが楽しみにしているのは、先生にお話を読んでもらうこと。そういえばわたしも6年生のときの先生がお話を読んでくれるのがすごく楽しみだった記憶がある。
でもってこのパスポート申請書やビザのくだりは実際に起きたエピソードをもとにしていることが巻末のあとがきに記されていて、これもまた楽しかった。 -
謎のドアの向こう、、、
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この結末で喜ぶ子供いるのかなぁ。
小学生の頃、自由研究ネタを集めた本が家にあり、その中に「夢の世界旅行」というタイトルのネタがあった。
毎週欠かさず見る『世界まる見えテレビ特捜部』で遠い異国に憧れ、
我が身の秘められたパワーを信じて魔女っ子修行に勤しんでいた私は、
「この研究をすれば夢の中で世界旅行に行けるんや…!!」と胸が高鳴った。
今思えば私がアホなんだが、
ワクテカる胸を抑えて中身を読んだら、
「百科事典で行ってみたい国のことを調べてまとめよう!」…という内容で、
私の夢の世界旅行は脆くも頓挫し、つまらない風が吹いた…
そんな気持ちを思い出した一冊。
装丁は大変美しく素晴らしい。
先生の態度も素晴らしい。
この本を書くに至った経緯もわかった。
が、そんな経緯を披露するのは正直自己満足に過ぎず、読者にとって面白い読書になるかどうかとは関係ない。
トンケ作品の元ネタがふんだんに盛り込まれているそうで、この作家のファンには嬉しい本かもしれないが
なんの前提もなく課題図書で読んだところであまり残るものはない。
凹凸のある子たちの学校物語、
大事な思い出のパスポート、
それぞれ別個に作品化したほうが良かったのでは。 -
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作家の家には謎めいたドアがある。ドアのむこうへ行くには特別なパスポートを持った人しか入れないという。作家と手紙を交わしながらパスポート申請やビザを作成していく中でクラスメイトとの関係も深まっていく。
あらすじ見て面白そうと手に取った本。
作家からの課題に取り組む子どもたちと先生のやり取りが微笑ましく、ついにドアの向こうへ行けるという皆の高揚感が伝わる。
最後まで読んであたたかい気持ちに包まれた。
最後に書かれていたのは作家の実際の経験に基づいてできたお話だそうで、2人の出会いやエピソードが素敵だった。 -
わたしにはとても面白かったが、子どもウケするかというと、なんとも…。
子供にはちょっと肩透かしの印象になりそう。
冒険ではなく、冒険に辿り着くまでを冒険にした物語。
やや不思議な小学校についてもあんまり説明はない。
日本でいえば、フリースクールみたいなものか。
あのトンケ氏がこんな不思議なガイド役の女性になって、物語に登場しているということが、私には大きなことだった。
主人公とパパのことも、一応は好転してホッとしたけど、日本社会から見ればこれってけっこう酷い状況なのは変わりないし、モヤモヤしないとは言えない。
それでも、こういう小さなものを積み重ねる物語が私は好きだし、物語は良いものだと信じる人たちが作った本である、と読んでいる間に始終感じていられたのは心地よいと思えた。 -
2024読書感想文課題図書
やっと課題図書っぽい作品に出会った気がする
子どもに読ませてたいし大人もしっかり考えさせられる、考えるべき本
オランダの国事情を差し引いても国境のない共通課題がこの作品にはある。特別支援教育(情緒)に興味がある大人にも勧めたい。
小学生たちはどんな感想を綴るのかな、審査が楽しみだし全国で選出された作品が有ればぜひ読みたい -
オランダの作家ふたりの共作
ビザという名の、本を当てるクイズになっているものが楽しい
これは作ってみたい!!
トンケさんたちのユーモアのある抗議活動が、ものがたりに生まれ変わたそう。 -
教育に困難を伴う子どものための学校が舞台。ラウレンゾーをはじめ、子ども達は先生のお気に入りの本の読み語りを楽しみにしている。
みんなでその本の作家さんに質問したいことを手紙で送ったら、作家さんは二人だけなら家に来て直接質問を受けると言ってくれた。ラウレンゾーはその一人に選ばれた。
作家さんの家には不思議なドアがあって、特別なパスポートがないと入れない部屋だと言う。パスポートを手に入れるために、クラスのみんなは頑張って申請書を書き始めた。 -
想像力を膨らませてくれる本。最後の展開も面白い。作中の本も読んでみたくなる。
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小5長女、完読
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自動車コーナーで、心惹かれるタイトルの本を探すのは、まさに宝探しだなと思う。
タイトルの言葉、表紙の絵、見ていてワクワクします。
中に出てくる子どもたちと一緒に、冒険している気分です。といっても、心の冒険。未知のものに出会うワクワクは怖いけれど、向き合えばちゃんと力になる。大人の立場、子どもの立場、それぞれを、自分だったらどうするかなと考えると面白い。 -
子どもが読んで面白いかな?(特に翻訳ものとして)
とい疑問があるが、大人は読んで面白かった。
先生がとてもよい先生だということがわかるし、渡し舟の船頭さんがお父さんというのもよかった。
しかし、最後の解説のパスポート事件のあらましがわかり、作者の人となりを知ると、この本の面白さがわかる。
ファンタジーと思って手にとる子にとってはがっかりする内容かもしれない。最後までドアの向こうを楽しみにしてきたのに、クラスをまとめる手段(?)だったのか、とがっかりするかもしれない。
オランダの教育事情がわからない子どもからしたら、特別な学校というニュアンスも微妙かもしれない。
トンケ・ドラフトの作品
