モノクロの街の夜明けに

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  • 岩波書店 (2023年9月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (398ページ) / ISBN・EAN: 9784001160482

作品紹介・あらすじ

1989年、ルーマニア。独裁が続くこの街で、高校生のクリスティアンは密告者になった。自由を夢見る17歳は、東欧諸国の民主化を伝える海外ラジオに耳をすませ、任務を逆手にとって、世界に真実を知らせようとする――抑圧された人々の祈りが、ついに国を動かすとき。革命の希望と痛みを描く、渾身の歴史フィクション。

みんなの感想まとめ

抑圧された社会主義政権下のルーマニアを舞台に、自由を夢見る17歳の若者が密告者となり、真実を伝えようと奮闘する姿が描かれています。主人公クリスティアンは、周囲の不信感や家族との葛藤の中で、革命の希望を...

感想・レビュー・書評

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  • I MUST BETRAY YOU | Kirkus Reviews
    https://www.kirkusreviews.com/book-reviews/ruta-sepetys/i-must-betray-you/

    Ruta Sepetys | Seeker of Lost Stories
    https://rutasepetys.com/

    森泉岳土|美術手帖
    https://bijutsutecho.com/artists/2134

    モノクロの街の夜明けに - 岩波書店
    https://www.iwanami.co.jp/book/b631506.html

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      ベスト『モノクロの街の夜明けに』 | 教文館ナルニア国
      https://onl.bz/x6aZgwK
      ベスト『モノクロの街の夜明けに』 | 教文館ナルニア国
      https://onl.bz/x6aZgwK
      2023/11/09
  • 監視社会の恐ろしさ。モノ言えぬことの悲しさ。

  • 社会主義・全体主義政権のもとで抑圧されていた、革命前夜のルーマニアを舞台とした小説です。

    それまで「嘘」だと信じていた西側諸国の豊かな生活が本当に存在することや、ベルリンの壁崩壊を中心に周囲の社会主義国家が続々と自由化してゆくことを知り、自分たちだけが取り残されていることに言いようのない不安を感じます。
    また、密告が横行する社会の中で、友人・恋人はもとより家族のことさえも信じられない状況や、「周囲の目・耳があるために事情を離せない」ことで生じた誤解によるすれ違いや仲違いは見ていて辛くなります。
    たしかにこの作品は「フィクション」ですが、当時のルーマニアでは本当にあった生活がリアルに描かれているのだと思います。そういった意味で、これまで知られていなかった歴史を明らかにし、またルーマニアという国や社会主義という制度に関心を持たせるきっかけとなる作品だと思います。

    決して読んでいて「楽しい」物語ではありませんが、読みながら現在の日本のように好き勝手に発言することができる(そうして流れてゆく情報が正確かどうかはまた別問題ですが)という環境のありがたさも感じます。
    日本は社会主義国家だったことはありませんが、太平洋戦争中には「特高」がいて思想・言論の自由は制限されていました。そのような状況を変えようと決意して立ち上がった本作の主人公たちを尊敬しますし、自由に考えたり発言したりすることができることが「当たり前」にあることのありがたさを考え、この環境が変わってしまうことがないように気をつけないといけない、と感じます。

  • 1989年チャウチェスク政権下のルーマニア、高校生のクリスティアンは祖父の薬と引き換えに密告者となる。母が仕事で掃除をしに行くアメリカ大使の個人宅ヘ行き、同年代の大使の息子や大使の様子などを探る。
    好きな女の子、こっそり聞く西側のラジオ、厳しい生活の中ルーマニアは市民による革命の日へと向かっていく。

    当時のルーマニアの諜報機関や市民生活などを細かく調べて米国人の著者が書いたフィクション。ちょっとしんどかった。

  • この本図書館の新着コーナーにあり評価が高そうだったので借りて読む。
    チャウシェスクが築いた監視社会で生活する市民の様子が詳しく書かれている、著者は相当リサーチしたのだろう、誰でも密告者に仕立て上げられ、セクリターテに報告を求められる、拒否出来ない、家族でも疑心暗鬼になり牽制し合う、不信感の中で生活する。
    結局限界に来て爆発する事になる。当時チャウシェスクが演説し群衆から、ティミショアラ(Timișoara) という叫びを浴びせられ、狼狽える様子がテレビから流れ、処刑にいたる一連の模様を何度も見た。衝撃的だった。他の東欧諸国が穏やかに体制変更される中、革命と言う象徴的なシーン、ただルーマニアに栄光あれと言う気持ちになった事を覚えている。
    ルーマニアと言えば、オリンピック体操金メダリストのナディア・コマネチ氏、ハンマー投げ金メダリストの室伏広治氏のお母さん、ラグビーが強い国、ぐらいしか思い浮かばなかった。これにチャウシェスクが加わった。
    今回あらためてルーマニアという国を再認識する事になった。

  • 1989年のルーマニア革命までの、社会主義国家が舞台の話。
    とにかく読んでいて辛い。本当にこんな状況の国が、私が生まれてからもあり続けたのかと思うとゾッとする。周りを盗聴されながら生活する。周りの人間が、家族でさえも密告者ではないかと疑いながら日々を生きる。お粗末なインフラ。毎日店に並んでやっとパン1個買えるかどうか。比べるのはよくないけど、太平洋戦争時の日本より悲惨なのでは…と考えてしまう。でもルーマニアの場所すら覚えてなかったので、この歴史を知ったことはよかった。

  •  ルーマニアと聞いて、人々は何を思い浮かべるだろう?

     15世紀、吸血鬼ドラキュラのモデルになったワラキアの梟雄ヴラド・ツェペシュが活躍した。第二次大戦後には”社会主義国家”となったものの、“独裁者”チャウシェスクが君臨し、彼もまた、吸血鬼と言われた。本編は二人目の吸血鬼の時代である。

     1989年のルーマニア、ブカレスト。17歳のクリスティアンは、物おじせず自分の意見を言う祖父と、働く母と三人暮らしだ。ある時、秘密警察に目をつけられ、米大使館員の息子から家庭の情報を得るように迫られる。体調の悪い祖父の薬と交換条件に任務を引き受けるが、家族や親友にも話せず、誰も信じられず過酷な精神状態に追い込まれる。一方で、気になっていたリリアナと付き合い始めるが。

     チャウシェスク政権の崩壊のニュースは覚えているが、あくまでも他国の出来事という感覚だった。常に監視され、自由に音楽を聴くことも、発言もできなかった。自由のない時代‐直近の香港が近いだろうか。青春時代など、色とりどりであるはずなのに、邦題タイトルでは、街の色はモノクロだ。自我に目覚め、将来に希望を持った若者たちにとって、政府からの抑圧が、どれだけ毎日を蝕んでいたのか、受けていた心の傷がいかほどのものだったのかが察せられる。言論等圧の波は、いつ起こるかわからない。

     やはり本書における衝撃は、クリスティアンが疑っていた、自分をスパイしていた相手の正体だ。本当に、誰の事も信用できない。そうさせてしまったのは、国民を守るはずの国家である。

  • 原題 I MUST BETRAY YOU
    (きみを裏切らなくてはならない)
    by Ruta Sepetys 2022
    野沢佳織 訳 2023

    1989年、ルーマニア、ブカレスト
    チャウシェスクによる独裁の政権下

    主人公、クリスティアン・フロレスクは17歳の高校生
    父ガブリエル、母ミョアラ、姉チチリア(チチ)、祖父ブヌで暮らしている
    祖父は哲学者、現在は白血病
    父は家具工場で働く無口
    母はアメリカ人外交官の家の掃除婦
    姉は繊維工場で働く

    西側のタバコ、ケントは賄賂になる

    モノはなく、食料もなく、並んで手に入れても少量
    情報も統制され、西側(民主主義の世界)については批判の材料ばかり提供された

    セクリターテはチャウシェスクが組織した秘密警察で、国民を弾圧する役目を担っていた
    政権に批判的な人などを逮捕、拷問、殺害
    市民の弱みにつけこみ、情報提供者(密告者)として採用、特に身近な人々についての密告するように命じた

    リリアナ・パヴェルはクリスティアンの同級生で、クリスティアンは密かに想っていた

    ある日、クリスティアンは校長から校長室に呼ばれる
    そこで待っていたのがセクリターテ(セク)で、クリスティアンが母の働くアメリカ人外交官の息子へルーマニアの切手を売ったという
    外国人との接触、交流は違法
    その代償として、アメリカ人の行動を報告するように(諜報 コードネームオスカー)言い渡される

    P368の公式報告1988年11月3日
     

  • 1989年ルーマニア
    1989 ペレストロイカ、
    ブルガリア、ポーランド、チェコスロバキアと社会主義体制が崩れて、
    ベルリンの壁が崩壊して、
    なのにルーマニアではチャウシェスク大統領の独裁が続いている、
    国が混乱しているときって、ほんとに苦しい。
    勇気を持って行動した人もたくさん亡くなっていく・・・
    そうした人の犠牲の上に新しい世界が広がっていく。
    けれど、それも一概にいいものとは限らない。
    世界はそうして動いていくのだろう。
    願わくば、良い方向に、幸せになれる世界を!

  • 恐ろしい。身の毛もよだつとはこのことか。
    国家規模で行われた洗脳と支配。
    孤立させ、暴力と恐怖でお互いを監視させて、疑心暗鬼にさせる。日本でも何件か事件(北九州や尼崎など)があったが、あれを国家規模で。
    これは、主義や思想などでは決してなく、ただの犯罪だと思う。
    戦時中の日本もこのような感じだったのだろうか?
    そして、今現在の隣の国も。

    これはノンフィクションではないが、それゆえか、主人公の心情がこちらに迫ってきて、苦しくなった。
    最後が、きれいに終わってないところも作者の意図らしいが、この革命はまだ終わっていないと感じた。

    平易な文で書かれているので、中学生にもすすめたい。(小学生には刺激が強いかもしれない。)

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