アンチ (STAMP BOOKS)

  • 岩波書店
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本棚登録 : 22
レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001164169

作品紹介・あらすじ

アンチはテルアビブに住む14歳.反抗期.気に入らないことがあると,すぐにお腹のなかで「ハラネズミ」が暴れ出す.おじさんが自殺して絶望のどん底にいる時に,アンチの心をとらえたのは,ヒップホップだった.やがてみるみるラップが上達したアンチは,魅力的な少女,リサとクルーを結成し,ラップの大会に挑む.

感想・レビュー・書評

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  • 全部に徹底的に反抗する14歳のぼくの名はアンチ。イスラエルに両親と兄と弟と暮らしている。父は、子どものときから世話をしていた伯父のマティが深刻なうつ病で自殺したことから、ゾンビのようになってしまった。伯母セルマのアメリカ土産のラップCDが気に入ったぼくは、他のラップアルバムを買おうとCD屋に行った際、アラドとリサに出会い、彼らのラップと万引のテクニックに驚いた。その後も彼らと万引とラップの集まりをし、ラップの魅力にはとりつかれたものの、万引は続けられなかった。リサはぼくに同意して、ぼくと一緒にアラドのラップグループを脱退したが、他のメンバーは残り、対立状態となる。ぼくらはふたりだけでチームを組み、ラップ大会に出場することになった。

    反抗期真っ盛りのエネルギーを持て余しながらも、それをラップに注ぐ少年の姿を周囲の大人や友人の姿を交えて描く物語。





    *******ここからはネタバレ*******

    反抗期の少年の家庭が、伯父の自殺で壊れ、ラップをきっかけに自分ののめり込めるものを見出したものの、そこでもメンバーとの意見の相違があって苦悩する。でも、結果、困難を乗り越えて栄光を手に入れてしまうというわかりやすいストーリー。

    アラドが最後まで態度を軟化させなかったことがこの物語を単純にしているようです。
    仲間割れしてリサを奪われた悔しさはあるのでしょうが、彼がもう少し冷静でいられたなら、最後にアンチはラップと出会わせてくれた彼に「感謝」できたでしょうに。万引反対のアンチが勝って悪者アラドは負けておしまいでは、あまりにも薄すぎませんか?

    ゴージャスの父親と大会関係者の態度もあからさま過ぎます。どう考えても、ゴージャスはこれでは居心地が悪いだけでしょう。彼のパフォーマンスは、ラップだけでなくダンスもプロ級だったのに、それでも負けを選んだのは、八百長のせいだけではありませんか???

    カウンセラーのキネレットの言葉もわかりにくい。「悪い針路から自分を断ち切って暗い世界から抜け出すの」とアドバイスしているが、具体性がなく、これで実行できるローティーンがいるなら、この問題についてカウンセラーは不要ということではないのか?
    私が物語の中のカウンセラーに期待するのは、きっと同じような状況にある子が、自分も登場人物と一緒にヒントがほしいと思って読むと思うから。

    マティの死について、向き合わざるを得ない状況に置かれたとはいえ、大勢の前で語れたことは大きな一歩で、それだから父親もマティの死から「解放」されたのでしょう。
    高学年以上の作品には壊れた家庭が多く出てきますが、本作もこの一つで、反抗期の少年が父親を救うことになりました。親を当てにせず、おとなになれというメッセージなのでしょうか?

    ラップ大会のタイトルが「暴力ではなくことばで」とありますが、この大会には「ことばの暴力」が多々あったように見受けられます。

    原作はイディッシュ語で書かれたのでしょうか?
    私には想像さえできないのですが、ラップが多く出てくる翻訳はさぞかし骨の折れることだったと思います。


    物語は単純ですが、言葉の遊びが多くて最初は読みにくいです。
    乱暴な表現があるので、万人にはオススメできませんが、読むのなら、中学生以上がいいと思います。

  • イスラエルの少年ラッパーの話。
    ヒップホップの影響力と格好よさを感じれる作品。
    イスラエルの子供達もこんなことをするんだなぁと面白かった。

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