あいだのわたし (STAMP BOOKS)

  • 岩波書店 (2024年8月22日発売)
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本 ・本 (326ページ) / ISBN・EAN: 9784001164299

作品紹介・あらすじ

「みんな手紙を待ってる。難民として認定する、って書かれた手紙。」十五歳のマディーナは、命がけで家族とこの国に逃げてきた。学校に通い、友情や恋に悩み、新しい生活になじもうとするマディーナ。留まれるのか、送り返されるのか。あいだで揺れ闘う少女が日記帳にぶつける、怒りと葛藤とあこがれの日々。装画=蓮池もも

感想・レビュー・書評

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  • Eine Odyssee des Ankommens - In „Dazwischen: Ich“ lässt Julya Rabinowich ein Flüchtlingsmädchen zu Wort kommen : literaturkritik.de
    https://literaturkritik.de/rabinowich-dazwischen-ich-eine-odyssee-ankommens-dazwischen-ich-laesst-julya-rabinowich-ein-fluechtlingsmaedchen-wort-kommen,23103.html

    Julya Rabinowich | オーストリア現代文学ゼミナール
    https://onsem.info/seminar2021/

    Julya Rabinowich(@julyarabinowich) • Instagram写真と動画
    https://www.instagram.com/julyarabinowich/

    蓮池もも | ギャラリー枝香庵
    https://x.gd/rgPgm

    蓮池もも | dododo
    http://dododo.niigata-eya.jp/2018/04/post-331/

    Naoko Hosoi - Goethe-Institut 日本
    https://www.goethe.de/ins/jp/ja/kul/sup/sct/jsc/u07.html

    あいだのわたし - 岩波書店
    https://www.iwanami.co.jp/book/b649632.html

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      綾仁美評 ユリア・ラビノヴィチ『あいだのわたし』(細井直子訳、岩波書店)|Yasushi Kaneko(2024年11月9日)
      https:...
      綾仁美評 ユリア・ラビノヴィチ『あいだのわたし』(細井直子訳、岩波書店)|Yasushi Kaneko(2024年11月9日)
      https://note.com/yasushi_kaneko/n/n00e7e5578f52
      2025/01/31
  • 現代版アンネの日記と言おうか。ドイツの避難民収容所で、認定を待つマディーナとその家族の話。架空の人物ということで、どの国の紛争から逃げてきたのか、彼女とその家族を縛る伝統や宗教がどの国のものなのか定かではないが、どの国にも当てはまりそうであり、いろいろな難民に思いをはせながら読んだ。

    内戦にあったらしい国内の対立はもちろんひどい。でも命からがら逃げてきた先での、伝統だの男のプライドだのに縛られた家族内、施設内での対立、収容所の職員の酷さ、対応する当局の対応の冷たさに、どうして人は平和に生きられないのかと腑が煮え繰り返る。地球の一部が自分のものであって、生まれた場所が違ったからって入る権利がないとか何とか。救いは、マディーナにはラウラという友人がいること。人と違うことの辛さを知っているラウラのような存在が、どの子供にもいてくれたらいいなあ。

    たまたま同時期に、近所の駅前で、外国人排斥を平然と訴える車を見かけたせいかもしれない。人は不安だから怒り、拒絶するのだという。であればドイツも日本も、その国民自身が安定を感じていないということなのか。解決策の見えない物語の中と現実に心がザワザワする。でもこの心のノイズを避けてはいけない、続編もぜひ読もうと思った。

  • どこからとは特定されていない国から難民としてドイツに逃げてきたマディーナの一家。今は難民認定が降りるかどうかを待ちながら劣悪な収容所で暮らしている。叔母も含めた一家5人でひと部屋を分け合う生活は、狭苦しくて気が変になりそうなほどだけれど、少なくとも生命の危険はない。
    マディーナは高校に通ってドイツ語をおぼえ、両親のための通訳までつとめるようになったが、大人は収容所から出ることもできず、ただ停滞したまま無為に生きるしかない。そんななかで父親は、故国の女性蔑視、家父長制の価値観をそのまま持ちつづけ、日々、新たな世界に適応していく娘との距離が広がっていく。

    価値観が更新されない親と、新世界に生きる人々との「あいだのわたし」。そんなマディーナの毎日は不条理の連続。それでも学校の先生や福祉の先生のように親身になってくれる大人がいるのは救われる。また、マディーナから見れば何不自由なく見える親友のラウラも、かつて父の家庭内暴力におびやかされ、心に傷を負っていることが描かれる。人が平和に、幸せに暮らすことはなんと難しいのか。そんななかでも、自分たちの明日を少しでもよくするために、前を見すえて前進するマディーナの姿がりりしい。

  • YA向けの翻訳シリーズであるSTAMPBOOKSは日本とは違う国の子供たちの苦悩が書かれているものが多い。こちらは難民もの。難民認定されるのか、強制送還されるのかあいだで揺れ動く少女の日記文学。

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