- Amazon.co.jp ・本 (1572ページ)
- / ISBN・EAN: 9784002010984
作品紹介・あらすじ
寺田寅彦(一八七八―一九三五)の随筆は芸術感覚と科学精神との希有な結合から生まれ,それらがみごとな調和をたもっている.しかも主題が人生であれ自然であれ,その語りくちからはいつも温い人間味が伝わって来る.二十代から最晩年の五十代後半まで書きつがれた数多の随筆から珠玉の百十余篇を選んでこれを五巻に編んだ.
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
虫の目と鳥の目を持つひとの随筆集です。
-
【2022年度「教職員から本学学生に推薦する図書」による紹介】
松本ますみ先生の推薦図書です。
<推薦理由>
寺田寅彦は夏目漱石の『吾輩は猫である』の寒月君のモデルとなった科学者です。
物理学者としては、X線に関する研究を行い、東京帝国大学理科大学教授を務めました。この研究で学士院恩賜賞受賞しています。
また、地震や災害に関する研究も多くしています。
しかし、彼の仕事の真骨頂は、その洒脱な随筆です。彼の理系の研究業績はすでに「古い」ものになっているでしょうが、彼の随筆に、現在の我々が読んでも舌を巻くような観察眼と鋭い分析を見出すことができます。
そこには読む人の心をとらえて離さない視点の新鮮さがあります。彼の文章は今でもまったく古くはありません。
理系と文系の間の垣根を現代のわれわれは高くしすぎたのではないでしょうか?
逆に約100年前に、寺田のように文学、哲学から最新の科学まで広範な知識をもちつつも批判的に考えてそれをわかりやすい文章に表すことができた教養人としての科学者がいたからこそ、日本の科学が発展したのだ、という考え方もできます。どの随筆も読んで楽しめることうけあいです。
図書館の所蔵状況はこちらから確認できます!
https://mcatalog.lib.muroran-it.ac.jp/webopac/TW00095459 -
高校生の頃、受験対策で読みました。
最近ふと懐かしくなり、改めて買い直しました(^_^;)
古本街で安く手に入れてしまったので、出版社さんには申し訳ないです。 -
1-1 科学論・科学史
-
寺田寅彦という名前を知ったのは、好きな漫画家さん(わかつきめぐみ氏)が、たびたびコミックスのあとがきで彼の名前をあげていたからで、いやほんとミーハーでごめんなさい(滅)
気に入って繰り返し読んでいる(ページの端が折ってあるのが一番多い)のは、四巻。
「火事教育」「藤棚の陰から」などは、どこにでも科学の不思議は転がっており、それに気がつくか気がつかないかは、自分自身の観察眼(どれだけものをしっかり見ているか)にかかっているのだな、ということを改めてしみじみと思ったのは、電車待ちをしている最寄り駅にて、
「そういえば今年はせみの声をなかなか聞かないね」
「地震か放射能の影響じゃないの。動物ってそういうのに敏感なんでしょ?」
という、サラリーマン氏の会話を聞いてしまったせいかもしれない。ちげーよ、駅前が区画整理されたり家の建て直しがあったりして、セミやムクドリがいっぱいいた大きな樹が三~四本、伐採されてしまったせいだよ……orz -
科学者を目指すひとに読んで欲しい本。
身の回りの何気ないできごとに潜んでいる科学現象を、優れた観察力・洞察力でとらえ、平易な文章で綴っています。
(宮崎大学スタッフ)