ゲド戦記 全5巻セット

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レビュー : 2
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  • / ISBN・EAN: 9784002041629

感想・レビュー・書評

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  • ※2003年に書いた感想です。不遜にも4巻を少々残念に思っていたらしい…。
    2017年現在、私はどの巻も書かれるべくして書かれた作品と考えるに至っているのですが、これもこれでとっておきたい文章として記録しておきます。でも、多分とっても感じが悪いレビューです。

    ……………………………………………………………

    あの魔法が古びることなどあってはたまらないのだが、



     これまでに四巻まで追いかけたシリーズ。

     物語の舞台アーキペラゴには、大きく分けて二種類の魔法がある。
     ものには真の名があって、それを知ることで対象をしっかとつかまえ、動かすことができる。ゲドが学んできたのはこの力だ。石ころから竜まで、実に多くの名を呼び、場合によっては名づけを行ってきた。だいたいは、男性が大きな魔力を発揮するようだ。

     それに対して、第二巻『こわれた腕環』では、名をはぎとる闇が現れる。地下墓所で「すべてを食らわれし者」アルハと出会ったゲドは、彼女の真の名・テナーを口にして、過去を取り戻させる。
     闇の力について多くは語らぬままだったが、この地下には明らかに「名前を食い尽くす力」がはたらいている。女ばかりの世界であることも気にかかる。

     三巻の戦いでは、ゲドほどの魔法使いが、対象の名前を呼びとらえられず危機に立ち、最後にはその力を使い果たしてしまう。これは一体、何を意味しているのか……?

     果たせるかな、『帰還』のゲドはぼろぼろで、すべてに名前をふり分け支配下におく魔法も古いやりかたになっていた。
     これまでは整然と美しく「おさめられていた」アーキペラゴの物語が、今度はどろどろした文章で著されていた。それまでとは印象が違う不気味さ、そしてすっかり老いたゲドの痛々しさに、困惑したのが事実です。正直読むのがつらすぎた……。

     でも、ゲドが暗黒の力を知る女テナーを外に連れ出したときから、ゲド戦記の変容は避けられぬ運命だったのかもしれない。

     私は少年時代のゲドが影に己の名を与えて抱きしめたことを覚えている。恐れていたものを抱きしめる。とても危険で、とても素晴らしい場面だった。あの魔法が古びることなどあってはたまらないのだが、しかしやはり時代は去った。だから、たまらない。

  • 半年かけてやっと5巻読み終わった。ある講演会で「ハリー・ポッター」は二流で、こちらが一流の児童文学であるという話を聞いて読み始めた。(だいたい権威に弱いのだ。)「ハリー・・・」がどうだかは読んでいないので分からない。映画を見る限りではおもしろいと思うが、それはたぶん娯楽としてのおもしろさで(それで何が悪いと言われればそれまでだけど)、「ゲド・・・」の方が文学としてはきっと上なんだろうと思う。上下なんてどうでもいいのだけど。それで自分で読んでみてどうだったか。確かにおもしろい。かなり長期にわたって読んでいたにもかかわらず、一つ一つの場面が思い出される。最後の方では、まだ終わらないでほしいと思えるくらいだった。(こんな風に思える本はそう多くはない。)人によっては少し退屈に感じるかも知れない。特に第2巻などは、いつになったら場面が変わるのかと思うほど先に進まない。しかも主人公のゲドが現れない。僕は個人的には第3巻が一番おもしろかった。特にいかだに乗って生活している人々との出会いのあたり。自分がそんな生活をすることになったら、なんて想像すると身がすくむのだけど。それから最後に生と死の世界の間をさまようところ。ハラハラドキドキさせられる。この5冊の本は著者が何十年にもわたって書き続けてきたものです。おそらく著者はこの期間の世の中のいろいろな動きを見て、さらにさらにと突き動かされるように書いてこられたのではないかと想像します。その思いをぜひ読みとっていきたいものです。単行本しかないので、私は全部図書館で借りて読みました。(その後、単行本のセットを購入。そして、さらにその後、ソフトカバーも登場。それまで、買うのを待てばよかった。かさばってしょうがない。何のために買ったか。子どもに読ませるため。しかし子どもは読まない・・・)

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