鏡のなかの鏡―迷宮 (同時代ライブラリー)

  • 岩波書店 (1990年1月1日発売)
3.65
  • (12)
  • (13)
  • (24)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 169
感想 : 23
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784002600031

みんなの感想まとめ

夢と現実が交錯する幻想的な世界を舞台に、30篇の短編が織りなす物語が展開されます。それぞれの物語は独立しているようでありながら、微妙に繋がりを持ち、読者を迷宮のような不安や孤独に誘います。エンデの独特...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • どこともわからない場所で夢のような悪夢のような時間が過ぎる。エンデの大人夢絵ファンタジー掌編集。
    ------------------
    ずっと前から知ってはいたけどやっと読んだ。面白かったです。
    どのお話も悪夢の中で進むようなストーリー。エンデの父による挿絵も不気味な世界観を盛り上げます。押井守の映画を観ているような、夢見心地で暗い迷路に閉じ込められているような30編、本当に夢に出てきそう。しかしそれはそのはずで、読んだ時は必ず寝落ちしていたのでした。夢現で読むこの本は最高です。

  • 全30篇の連作短編集。作者のセンスが遺憾無く発揮された想像世界の集まりで、彼の世界観が好きな人は必読。
    情景描写や難解な言い回しについていくのが意外と大変で、少し疲れたが、内容は興味深かった。各話は繋がっていないようで、繋がっている。
    全てが比喩なので解釈は人それぞれ。
    自分の殻に閉じ込められている者、客観視の足りない者、解決策が見つからずもがく者、世界の在り方に疑問を抱く者、世界の大きな流れに逆らえない者、自分を貫く者、偶然に意味を見いだす者...そんな人々の有様を描いてるのだと私は受け取った。


  • 『鏡のなかの鏡 迷宮』
    ミヒャエル・エンデ

    『鏡のなかの鏡 迷宮』は、30の短い物語がゆるやかにつながりながら、夢と現実の境界が溶けた世界をさまようように読者を導く幻想的な短篇集。登場人物やモチーフが姿を変えて繰り返し現れ、出口のない迷宮のような不安や孤独が漂う一方で、読み進めるほどに断片同士が響き合い、読者自身の内面を映し返す“鏡”のような読書体験を生み出す。

    もう少し象徴的にまとめると、
    「終わりのない夢の迷宮を歩きながら、自分自身の影と向き合う本」
    という印象に近いかもしれない。

  • 今日はちょっと古いこんな本。


    『鏡の中の鏡━迷宮━』 ミヒャエル・エンデ 丘沢静也 訳 (岩波同時代ライブラリー)


    奥付を見ると、1992年の第八版だった。
    なんと、この時はまだエンデは存命だったんですね。

    ミヒャエル・エンデは、『モモ』や『はてしない物語』など、児童文学作家として有名だが、本書はそんなファンタジーの中で描かれる“夢”の、ちょうど裏側を覗いてしまったような、どこか歪んだ夢物語だ。

    この作品を、作者自身は「意識の迷宮」と呼んでいるそうだが、潜在意識や深層心理のような精神世界にためらいなく踏み込んでいく、エンデの内的世界がそのまま現れた作品になっている。

    30の物語からなる連作短編は、まるで毎日見る夢の断片を繋げたようで、辻褄の合わない理解不能なことだらけだ。
    読むのはかなり疲れるが、これがなぜかものすごく後を引く。
    鮮烈な残像がいつまでも残る。
    もう一度読みたくなる。
    内容もだが、挿絵も結構グロテスクだ。
    挿絵は、エンデの父で、シュールレアリスム画家のエドガー・エンデの作である。

    訳者あとがきによると、『はてしない物語』の執筆中にエンデは、その想像の国に時限爆弾やお金など、“現代”が欠けていることに気付き、その結果、メルヘンからは遠ざかり、父エドガーの描くシュールレアリスムの世界へと近づいていったそうだ。

    確かにエドガーの陰気で不気味なこの19点の絵は、児童文学とは最も遠い世界のもののようにも思えるが、この独特の異彩を放ったこれらの絵は、まさに初めにこれありき、と言えるようなキラキラした存在感をもって、この不思議な作品たちをを飾っている。
    物語に絵が添えられているというより、絵が物語を語らせている。そんな感じ。


    “悪夢”と言ってしまっていいと思うが、どこかこの世のものではないようなおかしな夢がどんどん現れては消えてゆく。
    一つ一つは一見無関係のようだが、同じモチーフが何度も出てきたり、同じ人物が再び登場したりする。
    はっきりとこれがこう、とは言えないけれど、お互いに少しずつリンクしていて、最後の話と最初の話は明らかに繋がっているのがわかる。


    爆弾。箱型大時計(グランドファーザークロック)。蝋燭。
    永遠に到着しない道程や、幕が上がらない舞台。
    駅カテドラルで火を消せなかった消防士。
    勉強中に眠ってしまった大学生。
    紙の王冠や401号などもそうかもしれない。


    特に印象に残ったのは、蒼ざめた天使の話だ。

    名前を持たない人が肉体化を要求している、という裁判の証人席に天使がいて、その前で残酷な光景が繰り広げられるという。
    何でそんなことになっているのか、理由は分からない…


    もう一つは砂漠の話。

    花婿が、すぐそこに見える花嫁が待つ扉に、いくら歩いても到着できない。
    人生の終わりが迫り、若さも希望もなくなってしまった頃、やっと到着する。
    花婿と花嫁が永遠にそれを繰り返す、というちょっとゾッとする話。

    「自分の存在を放棄する権利はあなたにはない」

    人生を考えさせられる言葉だ。


    二人の登場人物の名前が「ミヒャエル」と「エンデ」という話もあった。
    二人が一緒に住める新しい世界を探したい、というのは作者の心理の表れなのか?


    完成していない橋を人々が渡っていく話も、“自分は誰でもない”とか、“自分は存在していない”とか禅問答のようだし、とても難しいけれど心のどこかに何かが残る話だった。


    ドイツ語が読めたら是非原書で読んでみたいですねぇ。
    (英語もできないのに何を言ってるんでしょう 笑)

    エンデの奥さんは日本人なのだそうだ。
    知らなかった。
    日本に縁がある人だったんだ。
    経歴を見ると、結構したたかな人だったようだが、ためらわず方向転換したり、自分の心の黒い部分をさらけ出せる素直さも持っている人だったのだと思う。

  • 最初読んだときはあまりにつかみどころがなくびっくりでしたが、何度か読み返すうちエンデの作品の中で一番好きになりました。
    シュールレアリズムの絵を文章にしたような、夢の中にいるような感覚。

  • ↓利用状況はこちらから↓
    https://mlib3.nit.ac.jp/webopac/JP90031225

  • 今まで読んできた中でいちばん好きな本。
    延々と不条理な目覚めの来ない悪夢の中を彷徨う感覚が心地良い。
    不気味で救いのない話もあれば不意に爽やかさや美しさを感じる話もあり、イメージの濁流に翻弄されるもよし、自らの鏡とし内なる世界の声を聴くもよし、様々な隠喩と捉え考察するもよし。

  • 原題:Spiegel im Spiegel: Ein Labyrinth(1984)
    著者:Michael Ende(1929-1995)
    訳者:丘沢静也

    ※復刊→ https://www.iwanami.co.jp/smp/book/b256004.html

    【書誌情報】
    刊行日:1990/03/09
    9784002600031
    その他・規格外 並製 カバー 360ページ
    品切れ
    https://www.iwanami.co.jp/smp/book/b269924.html


    【目次】
    目次 [iii-vi]
    献辞 [vii]

    1 許して、ぼくはこれより大きな声でしゃべれない。 001
    2 息子は父親でもある師匠〔マイスター〕の優れた指導のもとで…… 008
    3 屋根裏部屋は空色だ。 016
    4 駅カテドラルは、灰青色の岩石からなる…… 034
    5 ずっしりした黒布が、垂直のひだをつけて…… 057
    6 貴婦人は馬車の窓の黒いカーテンをひいて、たずねた。 063
    7 証人が報告している。――夜の草地に…… 070
    8 大理石のように蒼ざめた天使が 074
    9 湿地のように暗いのは母の顔だ。 088
    10 惑星の回転のようにゆっくりと 090
    11 眼をとじる。顔の内部。ほかには…… 101
    12 すでに何世紀も何世紀も以前より…… 113
    13 ここは部屋である。と同時に…… 117
    14 婚礼の客は踊る炎でした。 134
    15 灰色にひろがる空の平面上を…… 138
    16 この紳士は文字だけからできている 141
    17 そもそもは羊が問題でした。だが…… 144
    18 夫と妻が展覧会にでかけようと思う。 153
    19 青年医師は、治療室のすみに陣取って…… 168
    20 事務所がひけて、魚の眼をした男は…… 178
    21 山のうえの売春宮殿は、今夜…… 191
    22 世界旅行者は、この港都市〔まち〕の…… 209
    23 この日の夕暮れ、老船乗りは吹きやまぬ風に…… 221
    24 黒い空のした、ひとの住めない国が…… 228
    25 手に手をとって、ふたりが道を…… 237
    26 教室では雨がたえまなく降っていた 259
    27 俳優たちの廊下で私たちは…… 274
    28 あらためて火ぶたがきられた 281
    29 サーカスが燃えている 298
    30 冬の夕暮れ、雪におおわれた境界〔はてし〕ない…… 325

    訳者あとがき(一九八五年四月/一九九〇年一月 丘沢静也) [345-347]

  • 中学生のときに読んで、意味不明だと思ったのは覚えていた。いま読み返すとさらに意味不明なように感じる。
    これは原文で読んだら面白いのかもしれないな・・・

  • 再読。30の連鎖する短篇。ラストで1話目に繋がる循環エンドレス形式はまさに尻尾を噛んだ蛇が繋がるウロボロス仕様。 迷宮、とサブタイトルにあるように、唯一名前を持つ1話目の登場人物ホルは謎めいた建物の中に閉じ込められているミノタウロスのよう。 それを象徴するように、2話目にはイカロスとダイダロス父子を思わせるエピソードが展開される。 それぞれの登場人物に関連性はないけれど、自分自身の夢、あるいは誰かの夢から抜け出せないような悪夢感が常につきまとい、29話目にしてサーカスの道化がそれをはっきり言語化する。 ファンタジーというよりは哲学。

  • 鏡がうつしだすのは、夢。思い煩う、徒然夢日記。うーん、別翻訳をだれかしてくれないかなぁ…

  • 2014年58冊目。

    次の話が前の話の何かを引きずり、最後の放しが最初の話に繋がる、不思議な短編集。
    それぞれはとてもシュールレアリスティックで、意味を追い求めようとしたら大変なことになる。
    なんとなく、登場人物たちが来ることのない何かを「待っている」ことが多かった気がする。

    「この扉を通ったら、そのあと―どこへ?」
    「それを決めるのは次のこと」

    僕らは、次へ進み続けなければいけない。

    時間をおいてもう一度読んでみたい作品。

  • 2004年初読。印象的だったのは、たしか、挿絵をエンデのお父さんが描いていて、その絵と、連作の短編がつながりを持っていたような気がする。絵と物語ってこんなふうにリンクしていくことができるのか、と思ったような…。

    難しい話も多かった記憶があるけど…。

    また読み直してみたい。

  • 不思議な手ざわりをした30の短編で綴られる連作。ひとうひとつは繋がっているが、最後まで読み通しても全体像には霞がかったまま。調和すれすれ、ギリギリのところをかすめて鳴り続ける不協和のよう。

    決して調和できない、混沌とした、それでいてまるで予定調和の夢を見ているような人々の群像。それ自体が、エンデが感じた社会そのものの暗喩なのかもしれない。語り尽くせないものを語るために定型の文学の枠組みを超越した感じ。すごい。

    29篇目の「サーカスが燃えている」に登場する道化が、一番感情移入した。

    「問題は目覚めることだ。それが、ただひとつの問題だ」(p.318)

  • 読み返す。
    ボクの名前はホル。

  • 子供向けではないかもしれませんが。

  • 初めて読んだ時、世界が揺らいでしまうのを感じた。殆ど恐怖に近い感覚だった。大人になって何度も読み返し、一元的でない解釈ができるようになってきて、まるで眠る前に 聖書を読むように、時々思い出しては読み返している。
    世界旅行者の話、ホルの話、扉の前の勇者と姫の話、娼婦の女王の話、貴婦人とパレードの話が好きだ。…しかしこうしてみると自分に今何が必要か(何が足りていないか)わかる気もしてくる。

  • 己、これ大好きなんですよね。ミヒャエルエンデさんの作品で。

  • 時々むしょうに読み返したくなる1冊。短編集でいながら、次々にイメージが連なって、最後に最初へ戻るメビウスな小説。なぜだか、消防士とロウソクまみれの聖堂の話がいつでも印象に残っています。

  • エンデ=童話作家 だった私のイメージを打ち壊し、今まで知らなかった世界を開いてくれた作品です。(でも最初は途中で辛くなって読む事ができませんでした…)<br>この合わせ鏡の迷宮に迷い込んだかのような短編の連なりには、ただただ幻惑されるばかりです。

全20件中 1 - 20件を表示

著者プロフィール

文:ミヒャエル・エンデ(Michael Ende)
1929–1995年。ドイツのガルミッシュ生まれ。作家。小説、絵本、戯曲、詩などの文芸作品がある。愛をもって社会を見つめ、深い思索のもと生まれた作品は、世界中の多くの読者に読み継がれている。1960年『ジム・ボタンの機関車大旅行』(邦訳版1986年/岩波書店)で作家としてデビューし、ドイツ児童文学賞を受賞。以降、執筆活動を続け数々の国際的な文学賞を受賞。主な邦訳作品に『ジム・ボタンと13人の海賊』『モモ』『はてしない物語』『鏡のなかの鏡—迷宮—』『魔法のカクテル』『魔法の学校—エンデのメルヒェン集』(以上すべて岩波書店)などがある。『モモ』の装画・挿絵はエンデ自身が描いたもの。長野県の信濃町黒姫童話館に、原稿や草稿、ノート、写真、書簡、自筆原画、愛用品などのエンデの関連資料が多く所蔵され、一部が常設展示されている。

「2026年 『影の縫製機』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ミヒャエル・エンデの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×