- Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
- / ISBN・EAN: 9784002601397
作品紹介・あらすじ
急がば回れ、古典を味わう精読術。新刊を数でこなす速読術。臨機応変、読まずにすます読書術。原書に挑み、原語に触れる解読術。新聞・雑誌の看破術。難解な本をとりこむ読破術。-書物の裏表を知りつくした著者が読書の極意を明快・軽快に指南する。外国での読書術、読書の無限の愉しみを新たに加筆。読書と共にある人生のよろこびを語る。
感想・レビュー・書評
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小谷野敦の勉強法本に記載のあったので読んでみた
熟読、精読、速読など今では標準的に語られるいろいろな読書法が記載されている
が、本書は1962年刊行ということもあり、当時としては珍しいものであったのだと思われる
そのためか、それぞれについてきちんと説明してあり、わかりやすくいい内容でした
また、書籍の選び方について、
・日本は良質な図書が多くあるので難しい本に手を出さずとも適切なレベルの本でも十分である
・外国語の文章についてはどうしても読む必要があるもの以外は翻訳で読んだほうがよい
という点が特に参考になった
【なるほどな点】
・「繰り返し読むことのできないような小説ならば、はじめから読む必要がない。」「およそ本を読むのにノートをとる必要はない。ノートをとらなければ忘れてしまうようなことは、忘れてしまったほうが衛生的である。忘れられないようなことならば、わざわざ紙に書きつけるには及ばない。」(アラン)(P40)
・よい技術者になるためには、一般によくできているという評判の教科書五、六冊のなかから、任意の一冊を抜いて、その一冊を繰り返し読んで、暗記しないまでも、ほとんどそれに近い程度まで知り尽くせば、それで十分でしょう。(P60)
・(とばし読みについては)とばし読みをしながら、全体のしかけをはやくつかむ。全体のしかけをつかんでしまってから読みたい部分を読むので、いきなり部分に没頭しないことです。(P78)
・読み通すことがむずかしい本であればあるほど、一日に少しずつ読む工夫をたてる必要があります。(P86)
・同じ時代に住む著者の作品から文学を読み始めるのは、(私たちの知っている場所で、知っている話題をめぐって展開してくれほうが、わかりやすく、おもしろいはずだろうと思われるので)自然である。(P87)
・そういう本(専門書)や印刷物の大部分は、ことに英語国では、比較的カンタンでわかり易い文章で書かれています。また使われている語彙も、それぞれの専門的な用語を覚えれば、それほど多いものではありません。(P132)
・専門家には専門家の必要があり、一般読者には一般読者の必要があって、どうしても外国語の文研や本を読みたいということがあります。必要のない人は外国語の本を読まないほうがよい。(中略)外国語を習うのに一番好都合な教科書は、私たちが一番必要としている本以外にないと思います。(P138)
・新聞が事実を選び出すということ、選び出す事実は新聞によって違うだろうということから、読者にできることの一つは、なるべく違った種類の二つの新聞を同時に読むことです。(P159)
・すべての本は言葉から出来上がっていて、すべての言葉は何かを意味します。その意味を捉えて、意味相互の間の関係を理解することが、本を読む法、つまり本をよくわかることでしょう。読むこととわかることとは切り離せません。(P175)
・だれが読んでもすぐに意味のはっきりしないような文章は下手だということになりましょう。(P176)
・そもそも本を読んでよくわかる工夫は、読者の側にもなければなりません。その読者の側の条件は、第一には言葉に関し、第二には経験に関していると言ってよいでしょう。(P184)
→この後「経験がないことはわからない」という話になりますが、本には疑似体験のためという一面もあるので、経験がないからわからない文章は下手な文章となると思うのです。
・文章を正確に理解するためには、まず単語の意味を正確に理解していなければなりません。(P185)
・できあいの一つの定義がない場合には、手間がかかっても、自分で仮の定義をこしらえて、その定義をもとにして、同じ言葉の多くの意味を整理することから出発します。(P192)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
・少なくとも一度や二度ゆっくり『論語』を読む
・教科書は一冊を繰り返し読んで、暗記に近い程度まで知り尽くす
・教科書をおそく読めば読むほど、そのほかの本をはやく読むことができる
・必要に応じて、前からも、後ろからも、中間からも読む
・ベン・ジョンソンの『ヴォルポーネ』を読めば、うまくやったと思うやつがとんだところで仇をとられる世の中の仕組み、また、モリエールの『人間嫌い』を読めば、正義人道の信念にこりかたまり、想像力のない人間が、どれほど厄介なものであるかという顛末が、手にとるごとくわかる
・『ペスト』
・アンナ・カレニーナ『セールスマンの死』
・読んだことのない本について誰かが話し出したら、間髪を入れず、「あれはおもしろい」といい、相槌を打ちつつ、本の内容をしゃべらせる。そうしていると、その本の内容がおよそ見当がつく。読まない本を読んだふりしているうちに、ほんとうに読む機会も増えてくる
・私にとってむずかしい本は、その本が悪い本であるか、不必要なほんであるか、どちらかである -
019-カト 000253708
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小手先のテクニックに頼ることもなく、「速読だ」「遅読だ」とどちらかに偏らないところが好きです。はやく読めるようになるためにも、「遅読」が大切だそうです。「急がば回れ」とはよく言ったものです。
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役立つも内容もあった事にはあったけれども、
常識的な事も多くこれがベストセラーになったとは
俄にはしんじられない。
でも読書はいいよ・・・ -
様々な読書術を紹介した本。
本を読むことの薦めではなく、読書術なので、精読や速読、読んだふり、難しい本を読む方法など内容は多岐に渡る。
だが、その根底には世の中には多様な本があり、それぞれが私たちに楽しさを与えてくれるという考えがあるように感じられて何だか読んでいるこちらも嬉しくなった。 -
全体的にまっとうな本。良心的とも言える。
早く読む方がより理解できる本もあるとか、知ったかぶりのスノビズムも開き直りのドーセバカイズムと比べたらずっといいとか、一般的な意見とは逆説的な考えも多く、著者が自身の頭で考えた意見のようで好感が持てる。 -
2011 10/30 まえがきと4章「はやく読む「速読術」」だけ読了。筑波大学図書館情報学図書館で借りた。
基本は眼球運動と文章の構造理解による飛ばし読みで構成されるアメリカ式速読術の紹介と、それを日本の本にどう応用するか(例えばトピックセンテンスが冒頭にないのにどう対応するか)という話+周辺的な雑談。
すべてアルファベットの英語よりも漢字・かな・カナの混じる日本語文の方が目についた単語からの意味理解はしやすいかもね、という指摘は面白い。 -
急がば回れ、古典を味わう精読術。新刊を数でこなす速読術。臨機応変、読まずにすます読書術。原書に挑み、原語に触れる解読術。新聞・雑誌の看破術。難解な本をとりこむ読破術。――書物の裏表を知りつくした著者が読書の極意を明快・軽快に指南する。外国での読書術、読書の無限の愉しみを新たに加筆。読書と共にある人生のよろこびを語る。
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読書…本を読むということを、色々な方面から分析して、総括してみた本…ですかね。
どんな本を読むか、どう読むか。
早く読むか、遅く読むか、何を読むか。
どんな言語の本を読むか。
特に、言語の違う本をどう読むかという情報は、なかなか得られないと思うので、貴重なのではないでしょうかね。
あと、重要なのは、あとがきまでしっかり読むこと。
あとがきまで含めないと、加藤さんの語る読書術は完結しないと思います。
いわゆる読書推進活動のための本とは違いますよ。
あくまで、自分が本をどう読むかということについて書かれた本です。
人に読ませることまでは考慮していません。
文字通り、読書術ですからね。