西田幾多郎: 人間の生涯ということ (同時代ライブラリー 243)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784002602431

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  • 西田幾多郎という人物の生涯を追っていくなかで、著者は「人間として生きる」こととは何なのかを考える。

    著者によれば、人間は一つの生で三つの事態を生きる。それは「人生」ということ、「歴史的社会的生」ということ、そして「境涯」ということである。著者のが「境涯」というものを提出しているところにオリジナリテがあると思う。それは西田の言葉で言う「絶対の無」。そこ「から」吹く風である。すなわち内的な「人格」や経験的な「人柄」、法的な「人権」とは違う、その人個人の「風格」である。
    こういった、定義不可能な言葉に向かう態度。また、同一律ではなく矛盾的自己同一という視野は、世界を豊かにするものだと感じた。

  • 名前はよく聞くが、よく知らなかった日本の哲学者・西田幾多郎の評伝。西田に傾倒している著者が、彼の人となりから「人生」や「生涯」とは何かを考え語ったもの。
    西田の哲学者としての思想そのものにはほとんど触れていないが、日清日露と二つの大戦を生きた哲学者の生き様から、自己(吾)と世界(人)との関係性や、それらの折り合いの付け方のヒントが示されている。
    挿し絵代わりに西田の書の筆跡(墨跡)が多数掲載されているが、どれも芯のある柔らかさが感じられて、とても良い味わい。

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