ラフカディオ・ハーンの耳 (同時代ライブラリー)

  • 岩波書店 (1998年4月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784002603407

みんなの感想まとめ

伝統的な日本文化とその受容に焦点を当てたこの作品は、ラフカディオ・ハーンの聴覚を通じたアプローチを考察しています。ハーンは松江市近郊の被差別部落での口承文芸に深い関心を示し、社会的マイノリティの芸能が...

感想・レビュー・書評

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  • ラフカディオ・ハーンが記載したものだと思っていたら全く異なり、西あラフカディオ・ハーンの書いたものに付いて評論を加えたものであった。朝日新聞での推薦図書とは異なる本かもしれない。被差別部落にラフカディオ・ハーンが行って黒舞台の音楽を聞いたことや、ハンセン病患者についての記載がない理由についてもこの本が参考となろう。ばけばけのNHKテレビドラマによりこの本も売れているのかもしれない。もとは岩波書店より単行本として発行されたものであった。

  • ラフカディオ・ハーンが伝統的な日本文化を受容した態度を、「耳」や「聴覚」といったテーマにそくして考察している本です。

    ハーンは、松江市近郊の被差別部落で聴いた口承文芸に多大な関心を示していました。彼は、日本における部落差別の存在についても知識をもっており、社会的マイノリティのもとではぐくまれた芸能が近代化の進展しつつある日本からやがてうしなわれてしまうことを悼む気持ちから、その芸術性を理解したいと考えていたのです。ここには、西洋近代の文化圏からやってきて非西洋の伝統文化を理解しようとしたハーンが、聴覚を通してアプローチを試みていたことが示されています。

    けっきょくハーンは、松江で触れることになった口承文芸のなかから高度な芸術性をつかみとる企図を放棄してしまいますが、ここに現われているモティーフが、かたちを変えてさまざまなしかたでハーンの活動のなかに見られることを、著者は明らかにします。そのうえで、『耳なし芳一』においてこの主題が文学的な結晶化を実現していることを示そうとしています。

    とりわけ、森鴎外との比較をおこなっている論考は興味深く読みました。日本の近代化の最前線に立つ鴎外は『舞姫』において、ドイツの貧民街に暮らす少女に魅かれるも、やがてそこでの生活に終止符を打ち、エリートとしての人生をあゆんでいきます。他方エリスは、鴎外との別れのあと「癲狂院」に送られます。著者はこうした鴎外のたどった道とハーンの足跡を対照的にえがき出しています。

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著者プロフィール

西成彦(にし・まさひこ)

 東京大学大学院人文科学研究科博士課程中途退学。
 立命館大学先端総合学術研究科名誉教授。
 専攻は比較文学、ポーランド文学、異文化接触論。
 主な著書に『カフカ、なまもの』(松籟社)、『ターミナルライフ─終末期の風景』『多言語的なアメリカ 移動文学論Ⅲ』『エクストラテリトリアル 移動文学論Ⅱ』(以上、作品社)、『ラフカディオ・ハーンの耳、語る女たち─声のざわめき』(洛北出版)などがある。

「2026年 『『変身』とケアの現場』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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