いのちの選択――今、考えたい脳死・臓器移植 (岩波ブックレット 782)

著者 : 小松美彦
制作 : 小松 美彦  市野川 容孝  田中 智彦 
  • 岩波書店 (2010年5月8日発売)
4.14
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  • 本棚登録 :83
  • レビュー :20
  • Amazon.co.jp ・本 (80ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784002707822

作品紹介・あらすじ

日本の社会では今、「いのち」はどこに向かっているのだろうか。臓器移植法の改定により「脳死」が「人の死」とされ、家族の承諾だけでも全年齢で臓器提供が可能になった。本格施行を控え、多くの人が遭遇しうる「ご家族の臓器を提供しますか」という問いに対し、知っておきたい事実や脳死・臓器移植をめぐるさまざまな声を伝える。

いのちの選択――今、考えたい脳死・臓器移植 (岩波ブックレット 782)の感想・レビュー・書評

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  • この本は、脳死による臓器移植に反対の視点で書かれた本です。医者や哲学者、歴史学者、様々な人たちによる、脳死による臓器移植についての論文が読め、いのちの尊厳や民主主義の限界などにも言及されていて、とても勉強になりました。

    脳死判定がかなり適当であることと、自分が脳死宣告された時のことを考えると、臓器提供って怖いなと思います。
    精神障害や重度障害者は臓器提供者になるべきだとかいう考えが世の中にあることにも絶句。
    痴呆老人の内臓もとってしまったらどうか、とかよく考えられるよな。怖いよ。

    だからって、臓器移植でしか助からない人に、限りある命だからあきらめなさいとは言えないよな。実際自分とか、家族にそういう人が出たら全力で移植してくれる人探すと思うし。

    内臓や命が切り売りされる世の中になったんですね。考えるとなんて恐ろしい現代社会。
    ポストモダンの問題がここにも。
    「わたしをはなさないで」の世界が、このままでは現実に起こりうるかも。

    一章の〈9〉(10)とか得に熱心に読んでしまった。親から虐待を受けて脳死になった子供は、誰が臓器提供の判断を下すのか。親から暴力を振るわれて脳死判定を受けた子供は、何も言えないまま、誰かの判断によって内臓を摘出されて肉体的にも死んでしまう。二回も殺されないといけないなんて、その子が何をしたんや・・・。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「その子が何をしたんや・・・」
      国会図書館の調査と情報-Issue Brief-No.440「子どもの脳死と臓器移植」を読んで愕然としました。本当に怖い世の中です。
      http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/issue2004.html
      それと、ちくまの教科書 国語通信 第四章 評論に載っている木田元の「技術の正体」も本質を暴いていると思います。
      http://www.chikumashobo.co.jp/kyoukasho/tsuushin/rensai/jugyou/004-02-01.html
      2012/10/24
    • moji茶さん
      >nyancomaruさん
      コメントありがとうございます。この本は倫理面から臓器移植に問題をなげかけていたと記憶していますが、現在は脳死移植が認められてしまいましたね。移植を待っている方々には朗報なので、私もなんとも言えませんが…。面白そうなお話を勧めてくださり、ありがとうございます。教科書会社が扱ってる評論みたいですね。これを読んで、生徒さんはどんな感想を抱くんでしょう。
      2012/10/26
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「生徒さんはどんな感想を抱くんでしょう」
      うーーーん、どうでしょう?自分が若い頃だったら、ツッパル材料にしたかな。。。
      池田まき子が書いた。「もっと生きたい!臓器移植でよみがえった命」(ノンフィクション・生きるチカラ14)と言う子ども向けの本が、岩崎書店出るので、どんな内容になるか気になります。
      2012/11/02
  • 2010/06/25
    脳死患者からの臓器の摘出を「承諾」できる仕組みが、「人体をその人のものではなく、社会のものにする」仕組み、つまり「人体の公有化」の仕組みになるというのに、恐怖感を抱いた。民主主義の「暴走」を止めるブレーキは、民主主義それ自体にはついていないということ。これから先、尊厳死や高齢者等への医療についても、誤った道を進まぬよう見ていかなければと、強く感じた。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「摘出を「承諾」できる仕組み」
      若い頃は何も考えていなくて、私の身体が役に立つならと安易に思っていましたが、実際はそんな単純じゃないと判り。悩む」ばかりです。。。
      小さな子どもに、助かる道があるなら、と言う思いと、人として正しい判断なのかと言う迷いで揺れています。
      でも臓器移植医療が今以上に発達すれば、もっとミッシングチャイルドが増えるだろうと思う、それが怖くて仕方ない。。。
      2014/05/22
  • おすすめ資料 第116回 人の"死"とは?(2010.10.8)
     
    2009年7月「臓器移植法」が改正されました。
    改正後は、本人の同意がなくても、家族の承認での移植が可能となりました。
    2010年7月の施行後1ヶ月で初の家族同意での移植がなされたとの報道があり、その後堰をきったように本人の同意のない移植が相次ぎました。
    子供からの移植も可能となり、法律上は「脳死」が人の死として定義されたことになります。

    人は死とは無関係でいることはできません。

    「脳死」=死との定義は、日本で生きるすべての人に「死」とは何かという問いをつきつけています。
    また、家族の「死」について選択をせまられることも十分に考えられます。
    あなたは人の死・いのちについて、自分の意見を持っているでしょうか。

    本書は、現在の移植法のあり方に反対する立場から、コンパクトに脳死、臓器移植をめぐる問題をまとめています。
    もちろん、反対がイコール正しいというわけではありません。
    少なくとも「死」「いのち」については、マスコミや他人の意見ではなく「自分の意見・考え」を持つための不断の思索は必要であると思われます。

    「無関心」や「無知」が許される状況ではないことを認識する意味でも、一読をおすすめします。

  • 8月新着

  • 脳死、臓器移植について深く考えさせられた気がします。賛成派反対派それぞれにちゃんと言い分があってどちらも納得できるものです。自分の無知さに恥ずかしくなったりはしましたが、これを機にもっと深く勉強してみるのもいいかもしれません。

  • 素晴らしい。
    そして自分が如何に無知であるかを改めて知った。
    世の中には知らないことが多すぎる。

    「死」ひいては「生」を改めて考える非常に良いきっかけとなる本

  • 結構衝撃を受けた本。

    脳死・臓器移植反対の立場から書かれたことを考慮しても、納得させられてしまう。
    脳死したら、その体は動かないと思っていたが、そんなことはない。
    脳死患者にラザロ徴候(刺激を与えていないのに、体が勝手に動く)が起こっている時に人工呼吸を外そうとすると、チューブに手が伸びるそうです。メスを入れるときには暴れだす。そのために麻酔や筋肉弛緩剤を投与する。
    背が伸びたり、体重が増えたり、妊娠をしたりもするそうだ。
    このようなことが起こっている中に「あなたの子どもは脳死です。法律的に死にました。臓器をください。」と言われたらどうするか。自分の子どもではなくても死んだとは思えないだろう。

    また、脳死=人の全身的な死の科学的理論「有機的統合性」と「ドライブ論」。これについても批判されていて、なるほどなーと納得させられてしまう。

    そして、臓器移植をした後の生存率も思った以上に高くはない。

    などなど、いろいろと考えさせられる内容がある。
    これについて議論したいなー。
    是非一読を!!

    (まっちー)

  • 川瀬七緒『シンクロニシティ 法医昆虫学捜査官』参考文献

  • 共同図書 490.15/Ko61

  • 脳死、臓器移植について考えさせられました。脳死判定が必ずしも確かではない事を考えると、臓器移植が人を殺す事になると思う。様々な人の意見が記されていて非常に興味深い内容でした。

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