原発は不良債権である (岩波ブックレット)

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  • Amazon.co.jp ・本 (64ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784002708362

作品紹介・あらすじ

なぜ原発は停止していると赤字を生み続けるのか。老朽原発を稼働したがるのはなぜか。電力債とは何か。なぜ東電の電力値上げに反対する必要があるのか。国に、東電に、怒り続ける著者が、原発の経済問題をえぐり出し、私たちが考えるべきことをわかりやすく提示し、被災地支援のためのとるべき道を示唆する。

感想・レビュー・書評

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  • 岩波ブックレット・シリーズの1冊。筆者は、慶応義塾大学経済学部教授でサンデーモーニングのコメンテーターとしてもおなじみの金子 勝氏。テーマを絞ったスリムな冊子で手軽で読みやすい。原発が多額な負債を生み出す構造や、事実とかい離した情報発信、電気料金値上げのからくりなどが、数字をもとに語られる。何も生み出すこともなく、冷却費用だけでも1日5500万円という巨額な出費を出し続ける高速増殖炉もんじゅ、先の見えない六ヶ所村の再処理事業などの、驚くべき時間と金の無駄遣いぶりを改めて確認することができる。

  • 今年7月、柏崎刈羽原発の安全審査申請における泉田新潟県知事への説明時に廣瀬東京電力社長が自ら打ち明けた通り(http://iwj.co.jp/wj/open/archives/89011)、原発の再稼働問題は電力不足への対応ではなく電力会社の経営の問題である。この事実を以前より主張していた著者による、1年前の著作。
    日本の原子力政策の根幹をなす「核燃料サイクル事業」の破綻っぷり、そして福島原発事故の対応といい、誰も責任を取らず問題を先送りしているだけの日本は、さらなる「失われた30年」に向かうのだろうか?

  • 「原発を再稼働しないと、電気料金大幅な値上げ」とはよく聞きますが、原発の維持、補修、事故の際のコスト、使用済み核燃料の処理等に税金、電気料金がいくらかかってるいるかは中々見えてきません。国民の知らないところで巨額の費用がかかっていることは間違いないです。

  • 原発が国民にとっての不良債権であることは、官僚機構と現民主党執行部の原発に関連した施策の進め方を見ていれば一目瞭然。

    この本は決算処理や不明朗な情報開示などからそれを数字で説明されている前半は役に立った。

    結局、ツケは国民負担。だったら、すぐさま膿を出した方がよいのも自明なのですが、自民党、民主党+公明党が結託してこのまま原発を維持しようとする状況は狂気の沙汰でしかない。

  • 昨年(2011)あれほど節電と騒いだのですが、今年は昨年より暑いような気がしますが節電の運動は今年は低調のようですね。昨日(8/3)のお昼頃の電力需要量は90%に達していなかったので、原発なしでも十分に電力が賄える事実が浮き彫りになってきているようです。

    一般家庭まで電気料金の値上げが決まったようですが、その本当の理由は何なのでしょうか。節電のせいで電力使用量(売上高)が減少して利益がでなくなったのではと思ってしまうこともあります。

    このブックレットは、日本の発電は今後どのように取り組むべきかについて金子氏が解説しています。そろそろ原発に代わる新しいエネルギーに対して取り組む時期がきていると、この本を読んで感じました。

    以下は気になったポイントです。

    ・燃料費の上昇が赤字の原因と言われているが、原子力発電所をもたない沖縄電力が減益とはいえ、黒字を出している(p3)

    ・総括原価主義の下では、電力会社は燃料費が上昇しても、その分が三か月ごとに計算させて、申請すると電力料金に上乗せ可能、燃料調整額という形で経済産業省令ひとつで自動的に料金が引き上げられた(p4)

    ・燃料費値上げで問題になるのは、建前上「自由化」されている企業など大口利用者分のみ(p4)

    ・2003.11に電力の一部自由化によって、日本卸売電力取引所が設立されたが、送配電を監視する電力系統利用協議会も、取引所も大手電力会社の出身者で占められていて、接続料を高くして電力売買を妨げてきた(p6)

    ・原発再稼働を急ぐ理由は、1つには、地域独占と総括原価主義という既得権益を守るため、2つには、夏に原発が動かないで電力が足りてしまうと、電力会社が困ってしまうから(p7)

    ・ストレステストはシミュレーションに基づくもの、シミュレーションは普通の人には分かりにくいうえに、仮定の数値を少し変えるだけで、かなり違った結果が出せる(p10)

    ・原発が不良債権化すると、原発からの収益に依存する電力会社ほど経営が悪化する、東京・関西・九州電力がそうなる(p14)

    ・原発稼働がなく、電気料金の値上げがない場合には、2020年までに必要とする額は8.84兆億円となる(p14)

    ・東電が値上げするのは、燃料費上昇というよりも、当面の債務超過を避けるため、事故の処理費用を利用者に負担させるもの(p16)

    ・東京電力の責任回避と賠償費用を削減するために、数十年と続けてきた安全基準をいとも簡単に緩和した(p17)

    ・原発の廃炉費用は1基あたり600億円が積立てられているが、第1第2の合計10基をあわせても、廃炉費用(1.2兆円)には足りない、残りは自己資本から調達する必要あり(p20)

    ・高速増殖炉もんじゅは、2010.5に再開(1995.12漏えい事故により停止)したもの、再び事故を起こして停止、いままでに1兆円使ったが何も生み出していない、冷却費用は年間200億円(p22)

    ・高レベル放射性廃棄物は高知県東洋町で受け入れ予定となったが、その町長がリコールされて白紙撤回、現在は3万トン近くが原発の建屋内、敷地内に置かれたまま(p23)

    ・六ヶ所村の再処理施設に対して、電力会社が債務保証や出資をしているので、それを運営する日本原燃がつぶれると、電力会社も潰れてしまう(p31)

    2012年8月4日作成

  • 分かりやすく解説されていた。そして、ニュースで言われていたり、自分が思っていたことが書かれていた。やはり、再稼動を急ぎたくなるんだな、と苛立ちとむなしさがこみあげます。
    「福島から始まる再生」、是非これを実現して欲しい!つくづく、そう思います。

  • そうだよねぇ、、、目次あるとおり「福島から始める日本再生」しなきゃ!

    岩波書店のPR
    「なぜ原発は停止していると赤字を生み続けるのか。なぜ老朽原発を稼働したがるのか。電力債とは何か。なぜ東電の電気料金値上げに反対する必要があるのか。国に東電に、怒り続ける著者が、原発の経済問題をえぐり出し、私たちが考えるべきことをわかりやすく提示する。被災地支援のための枠組みとしてとるべき道とは。」
    http://www.iwanami.co.jp/cgi-bin/isearch?isbn=ISBN978-4-00-270836-2

  • 運転しない原発は、利益を生まない一方で、費用返済とメンテナンス費だけがかさむ(電力会社から見れば)不良資産である。最近の電力料金値上げの本質は、燃料費の上昇というよりも、むしろ、原発停止による、原発の不良資産化であると著者は言います。(p4-5

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