ひきこもりのライフプラン――「親亡き後」をどうするか (岩波ブックレット)

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本棚登録 : 109
レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (96ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784002708386

作品紹介・あらすじ

ひきこもり状態にある人たちの平均年齢は今や30歳を超えている。大半は親の経済的支援のもとで暮らしているが、親の死亡に伴う、長期のひきこもりの人たちの貧困化が懸念される。ひきこもりが一生続いたとしても、親の現在の資産を最大限に活用して、子を生涯支えられるライフプランの作り方をアドバイスする。

感想・レビュー・書評

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  •  ひきこもりの子供に対する親の理解と対応、さらに保険や遺産相続にまでわたるライフプランの紹介と、中身の濃い一冊。
     マズローの欲求段階説をベースに、承認欲求→就労意欲、の前段階として、親は子に対して、(特に家庭内での)安全欲求を満たし、関係欲求を構築し直すことから始めるべきである。また、引きこもり治療においては「複数の親密な仲間関係を持つこと」をゴールとする、など、理路整然としていてとてもわかりやすい。
     
     面白かったのは、ひきこもってると「自分の欲望がわからなくなる」ということ。欲望は他人から貰うもの、他者との接点なくして自分の欲望は理解できないという。そのため、ひきこもりが長期化すると欲望そのものが減退し、ますます自己実現欲求から遠く後退してしまうのだ。
     人は、他者と接することで自分の欲望を再発見し、動機づけが生まれる。承認欲求に関してはよくわかるけど、逆説的にはあまり考えたことがなかった。

     そして、筆者が引用している中井久夫さんの言葉が素晴らしい。

    「『人間の中にはそれほど有害でなく強引でもなく限度内であなたの役に立とうとしている者がある』ことを強制性なしに伝達することが大切なのだ」 
     これは、覚えておきたい素敵な言葉だ。

     ひきこもりはグループホームや保健師による在宅訪問などが制度的に徐々に整備されてきているようだが、同じやり方が適応できそうな「不登校」は「学校という社会に属している」ということが足枷になっているところがあると思う。不登校児のフリースクールは共助の精神を学ぶにはあまりにも貧弱と言わざるを得ないし、親も学校も、今ある社会にどう復帰するか、という型に捉われすぎていて支援が進まない部分があると思う。
     
    何はともあれ、大変参考になる一冊だった。

  • こうやって計算してみると、死んでいるみたいに生きるのもお金がかかるもんだナァ…

  • 社会から排除された青年は、同居率が高ければひきこもり、低ければホームレスになる。第三者の適切な介入がなければ変わらない。まず承認し安心させること。働けない前提で、生涯資産・収支をシュミレーションし、サバイバルプランを立てる。

    一世代のライフプランでも難しそうなのに、二世代分が可能になるというのはすごい。プランは重要だ。

  • これより前に出ていたパンフ版?でも読んでいましたが、今回は後半の方のみをざっと読みで……。何より難題なのは「ライフプランを立てる」その入口に立つこと。ひきこもりのある家庭でなくても、遺産相続の話とか生きとる間に葬式の話とか敬遠するものですから。しかし遺産相続なんてどこの家庭でもあり得る話、と割り切れればいいのかしら?私は資産運用とかとことん知らないもんで、リバースモーゲージなんて方法初めて知りました。そして年金はぜひ皆さん収めましょう(^q^)

  • ひきこもり支援のエッセンスを簡潔にまとめてあります。

    ページ数が少ないですし、できるだけ簡単な言葉で書いてあるので、ご家族の方でも時間をかけずに読めるのでは。

    お金の面からのライフプランは目から鱗の提案がいっぱいです。

  • 【今日の一冊】371.4||S15

    ひきこもり状態にある人の大半は,親の経済的支援で暮らしているが…
    もし親が亡くなってしまったら…
    そんな悩みを真剣に考えた,ひきこもりのライフプランを紹介。

    http://www.auelib.aichi-edu.ac.jp/webopac/catdbl.do?pkey=BB00596386&initFlg=_RESULT_SET_NOTBIB

  • リタイア後の生活の参考になると思って読みました。
    えらく重い本だった・・・

  • 斉藤環氏が、ひきこもっている子どもに対して、周囲がどのような対応ができるのか、畠中昌子氏が、引きこもっている子どもが親なき後を活きるための経済的なプランを提示している。
    当事者家族の方にとって、有益な情報だと思う。

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プロフィール

1961年岩手県生まれ。医学博士。筑波大学医学医療系社会精神保健学教授。専門は思春期・青年期の精神病理学、病跡学など。

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