憲法は誰のもの?――自民党改憲案の検証 (岩波ブックレット)

著者 :
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レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (64ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784002708782

作品紹介・あらすじ

私たちの自由や人権を守るため、主権者が為政者を縛る道具として存在する最高法規、憲法。2012年4月に公表された自民党の改憲案は、そうした立憲主義の本質から逸脱し、平和主義や基本的人権の尊重、国民主権という現在の日本国憲法の原則を壊してしまう「壊憲」案にほかならないのではないか。立憲主義を見失った改憲論議は、危うい。

感想・レビュー・書評

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  • 安保法制を強行採決(個人的には、あの混乱の中で採決が成立しているとは思えませんが)され、次は憲法改正、なんてニュースも聞こえてくるこの頃。

    憲法改正には国民投票が必要ですが、賛成するにしても反対するにしても、まずは憲法に対する理解、そして現在の日本国憲法の内容と自民党の改憲案を知らないと、正しく判断し、票を投じることはできません。

    で、自民党改憲案を知らない方には、この本をオススメ。安いし、薄いし。

    さすがに、内容が内容なので、気軽に読めるって感じではありませんが、でもやっぱり、面倒でもチャンと自民党改憲案は知らないと。なので、これ位は我慢して読んで欲しいです。

    現在の日本国憲法を読んだことが無い方には、併せてそちらも呼んでいただいて、内容を比較して欲しいです。日本国憲法の本は、子供向けのものなども出ているので読みやすい本が見つかる筈。


    この本を読んで、自民党改憲案の、想像以上の前時代的内容にビックリさせられました。憲法を改正ってのは、その言葉の通り、『正しく改める』わけですが、この自民党改憲案は、『改悪』としか言いようがありません。


    というか、今の日本国憲法って、とても先進的で素晴らしい内容なので、この憲法を『改正』する改憲案なんて、今の私には思いつかないです。


    もしも、自民党改憲案が新しい憲法として成立してしまったら、子孫に対して顔向けできないだけではなく、海外に対しても顔向けできない。

    それ位、ヒドイ内容の改憲案です。
    内容知らない方は、この本じゃなくても何でも良いので、是非、自民党改憲案の内容を、早急にチェックしてみてください。

    本当に憲法が改正されてしまったら、今の日本を取り戻すことはとてつもなく難しくなってしまいます。

  • うーん。わかりやすいし、60頁ほどなので、じっくり読んでも2〜3時間ほどで終わります。改正草案と現行憲法の対照表など読んでる時間がない人は、特にオススメです。

    私はこの年末年始にでも、じっくり対照表。自民が出している改正草案のQ&Aを読んでみたいと思うようになりました。

  • 「伊藤真」といえば、法曹界を志す者(あるいは志した者)であれば一度は耳にしたことがある名前だろう。弁護士であり、かの有名な「伊藤塾」の塾長である、あの「伊藤真」である。

    本書は、「立憲主義」の立場をとりながら、自民党の「日本国憲法改正草案」に対して、伊藤氏が多角的に批判を加えるものである。

    憲法は主権者である国民が、権力機構である政府に対して、その権力の及ぶ範囲を制限するものである。憲法は、法律とは違い、国民が権力の側に命令をするものである。権力とは、放っておけば暴走をするものであり、憲法は、その暴走する狂犬(ホッボズの比喩を引けば「リヴァイアサン=怪物」)をおさえこむためにつける鎖のようなもの。このような憲法の大原則は、法学素人の私でも知っている近代立憲主義の大原則である。少なくともこうしたことは、法学徒や司法試験を受験するものにとっては常識であるし、大学で「日本国憲法」を履修した者(教職課程では必修)も知っていなければならないものだろう。

    そうした「立憲主義」の「そもそも論」を展開しながら、「日本国憲法改正草案」を批判するところに好感をもてたし、批判の論拠も一貫して立憲主義に依拠しているため、筋が通っていて、また理に適っていてわかりやすい。司法試験講座の名講師だけあって、というよりさすが弁護士だけあって、解説も理路整然としている。この本を読んで自民党の「日本国憲法改正草案」がいかに「立憲主義」という憲法の大原則から逸れているものか、いかに「平和主義」や「人権尊重」の立場から遠のいたものであるかが理解できた。

    ここ10年ぐらい、憲法改正は政界、言論界などで何度も熱い議論が重ねられている。こういう時代的文脈の中にあって、いつ国民投票が行われてもおかしくない状況下なので、いざと言う時に自分の意志を明確に示せるよう、こういう話題についてはしっかりアンテナを張っていたい。(にしても、憲法起草委員会の事務局長で、東大法学部卒の某議員が「立憲主義」の原則に無知であることには驚いた。)

  • 自殺者が増えるんじゃないだろうか……自民党の改憲案を認めたら。読後、まず思ったのがそれ。次に、国の上層部がナチス発言なんかを繰り出してしまっていたことを思い出し、そういう人たちが改憲しようと言うのだから、すでにこの国は終わっているのではないかと思ってしまった。それに、改憲案だと、要は国益を守るために人民を生け贄に捧げるということになるらしいから。というのは、平和主義の放棄及び軍事費拡大に伴う人権保障枠の縮小及び社会保障費縮小が考えられるというようなことが書かれていたようなので……ところで、投票率が低い状態で国民投票なんかしても、一部の人だけの意見で憲法がころころ変更してしまうらしい。要は総理大臣がころころ変わるように……投票率60パーセントの場合、有権者の30パーセントの賛成で改憲。さらに投票率が低ければ、当然賛成数が少なくても改憲……そんな政府の身勝手な話あるかー……なんてことを改憲後に書けば、規制対象。そういう社会って、どうなんだろう……

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著者プロフィール

1981年、大学在学中に1年半の受験勉強で司法試験に短期合格。同時に司法試験受験指導を開始する。1982年、東京大学法学部卒業。1984年、弁護士として活動しつつ受験指導を続け、法律の体系や全体構造を重視した学習方法を構築し、短期合格者の輩出数、全国ナンバー1の実績を不動のものとする。1995年、憲法の理念をできるだけ多くの人々に伝えたいとの思いのもとに15年間培った受験指導のキャリアを生かし、伊藤メソッドの司法試験塾をスタートする。現在は、予備試験を含む司法試験や法科大学院入試のみならず、法律科目のある資格試験や公務員試験をめざす人たちの受験指導をしつつ、一人一票実現国民会議の事務局長として一票の価値実現をめざす等、社会的問題にも積極的に取り組んでいる。

「2018年 『債権総論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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