〈愛国心〉に気をつけろ! (岩波ブックレット)

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  • Amazon.co.jp ・本 (72ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784002709512

作品紹介・あらすじ

日本への愛を汚れた義務にするな!「愛国運動」に身を投じてきた著者が、排外主義が高まる現代に覚悟をもって挑む。

感想・レビュー・書評

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  • 第624回:追悼・「愛される右翼」鈴木邦男。の巻(雨宮処凛) | マガジン9
    https://maga9.jp/230201-2/

    〈愛国心〉に気をつけろ! (岩波ブックレット) | ダ・ヴィンチWeb
    https://ddnavi.com/book/4002709515/

    〈愛国心〉に気をつけろ! - 岩波書店
    https://www.iwanami.co.jp/book/b243802.html

  • 引用されていた、三島由紀夫の言葉が印象に残った。

    「愛国心の「愛」の字が私はきらいである。自分がのがれようもなく国の内部にいて、国の一員であるにもかかわらず、その国というものを向う側に対象に置いて、わざわざそれを愛するというのが、わざとらしくてきらいである。」

    「もしキリスト教的愛であるなら、その愛は無限定無条件でなければならない。従って、「人類愛」というのなら多少筋が通るが、「愛国心」というのは筋が通らない。なぜなら愛国心とは、国家を以て閉ざされた愛だからである。」

  • 著者は自身を愛国者と称し、改憲派の立場を示しているが、排外主義性を帯びた愛国心や自由が制限されうる自民党の憲法改正草案に警鐘を鳴らす。愛国心はしばしば都合よく解釈されたり、国民は常に愛国者でなければならないと美化される。昨今のナショナリズム的な実態は本書で何度も指摘されており、真の"右翼"とは何か考え直すきっかけにもなった。

  • 愛国心をめぐる政府、右翼の考えを知るにはとてもいい本である。憲法改正を目指す自民党の考えもよくわかる。

  • 憲法があって、国民があるのではない。
    国民があってこそ、憲法があるのだ。
    国民のために憲法を変えるのならいい。
    しかし、国民を縛るために憲法を変えるのは本末転倒だ。

  • 著者の半生を振り返りながら、著者の持つ現在の「愛国心」や「憲法」に対する考え方がまとめられている。「不自由な自主憲法」より「自由な押しつけ憲法」にこの国の未来をかけたいと記述し、最終章では「愛国心」についてまとめている。安保法制により三島由紀夫が70年代に懸念した自衛隊が「魂の死んだ武器庫になる」「アメリカの傭兵として終わる」が現実的になってきた今、「憲法」と「愛国」について考えるための一冊。

  • 右翼活動家として愛国運動に身を投じて50年以上。そんな著者が
    「愛国心に気をつけろ」と言う。これは読むしかないでしょう。

    驚いたわ。著者に対してさえ「鈴木は転向した」だの、「売国奴」だの、
    「非国民」だのとの言葉が投げかけられているなんて。

    右翼活動家であり、改憲論者でもある著者だが、自民党が発表した
    改憲草案には警鐘を鳴らし、「自由のない自主憲法」よりも「自由の
    ある押し付け憲法」でいいのではないかと書いている。

    「<愛国心>は人間として自然で、当然の感情であるはずなのに、
    為政者などに利用され、エスカレートする危険性がある。外国への
    憎しみを煽って、外国人を排除し、戦争を讃美する道具にもなって
    しまう。国をとりまく環境が不安定になると、『愛国心があるなら、
    国を守るために戦争も辞さずの覚悟をもて!』などとも言われる」

    安倍政権が掲げる「日本を取り戻す」のスローガンなんて、まさに
    為政者が押し付ける「愛国心」ではないだろうか。一体、何から
    取り戻すと言うんだろうかね。

    ノンポリとしては著者の愛国運動に共鳴は出来ないのだけれど、
    「愛国心」に対しての捉え方には「なるほど」と感じる部分が多い。

    やっぱりさ、安倍政権に多大な影響力を持っている日本会議とか
    は右派でも保守でもないんだよな。単に戦前回帰したいだけ。
    国民をコントロールしたいだけ。「日本国憲法が悪いから国民が
    ダメになった」っておかしいじゃん。そんなことを言っている人たち
    だって、みんな、日本国憲法の下で育って来たのでしょうにね。

    右翼活動家でさえ「愛国心」を免罪符のように利用する昨今の風潮
    に危機感を抱いているってことは、相当に危険なんじゃないか。

    まっとうな右翼は、日本からいなくなってしまったのだろうか。
    ネトウヨばかりが大きな声を上げているのって不気味だわ。

  • 新右翼として活動してきた著者が最近の「愛国」感にもの申す。そして、今の改憲に向かおうとする輩に釘をさす。
    自分もたぶん、改憲にまったく反対するわけではない。だけど、この浅薄な勢いのなかや安倍くんによってなし崩し的に進められることが嫌だし、危惧を覚えている。先日読んだ同じ著者の本はあまり響くところがなかったけど、この本はうなずけるところが多々あった。それにしても、こうして考えてしまうことの弱さもまた感じるところ。いっそ、何の考えもなく「憲法変えろ!」とか「日本人なんだから日本が好きで当たり前」って信じられれば、どれほど行動しやすいことか。
    でも、人間は考える葦だもの。そうなってはやっぱりいけないのだ。憲法第12条には「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない」とか。これは憲法が絶対だというわけではないことを示しているし、だからこそ一人一人が考え、もてる権利をもち続ける努力をしなければいけない。著者との対談で映画作家の森達也さんが言っていた「主語が複数になると述語が暴走する」というのは至言。一人一人が自ら考えることが必要なのだ。

  • 風土や文化、そこに暮らす人間を愛することが愛国心なのだろう。
    日本の中にいる事が自明である人間は外からの思考を停止する。
    何故多民族を尊重できない?恐いから嫌悪して排除するのだろう。
    国家が人民を大切にするとは限らない。国家の誤りを抑制するために憲法がある。国民を縛るためではない。
    理想主義の平和憲法は努力目標であり、押し付けであっても戦争から生き延びた国民に歓迎された。
    それなら国民を守るためにアメリカと対等に対峙して独立するべきだ。
    安全保障は戦力だけでなく、経済関係、外交、人民交流によってなされる。
    鈴木邦男の評価は彼の開かれた姿勢にある。

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著者プロフィール

1943年福島県郡山市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。72年「一水会」を結成。

「2020年 『彼女たちの好きな鈴木邦男』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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