相模原事件とヘイトクライム (岩波ブックレット)

著者 :
  • 岩波書店
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本棚登録 : 71
レビュー : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (64ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784002709598

作品紹介・あらすじ

2016年7月26日に起こった相模原事件は、重度の知的障害者19人が亡くなり、27人が負傷するという戦後最悪の被害を出した。怒りと悲しみが渦巻くなかで、加害者の障害者抹殺論に共感する声も聞かれている。ナチス・ドイツによる障害者「安楽死」計画の歴史を振り返るとともに、未来に向かって、障害者に対するヘイトクライムの根を断つ方途を考える。

感想・レビュー・書評

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  • 世田谷区長の保坂氏の著述。岩波ブックレットは初めて
    読みました。
    去年の相模原事件の破門や、報道のされ方。ナチスのT4
    作戦など。心が震えるような話もありました。
    被害者の家族のうち、匿名を希望される家族も少なくなかったとか。
    いろいろな事情があるのであろうから、一概には当然
    言えないし、言ってはいけないことだと思います。
    優生思想が復活してきそうな風潮のなか、本当に奪っていい
    命など存在しない。
    何をいうべきかわかりませんが。みんなに考えてほしい。
    自分ももっと考えるべきだと思います。
    障害者(あえてそう書きますが)の方々は社会のセンサー
    だと思っています。彼らが暮らしにくいということは、
    社会がおかしくなっているということ。
    手帳はとっていませんが、非常に軽度な高機能広汎性発達障害と
    言われている私の息子は、本当に宝物です。
    自分自身ももしかしたらADHD系ではないかと思うところもありますし、
    彼の友達や、自閉傾向のある仲間のみんなは、
    私たちにとっても、かわいい仲間なのに、家族にとっては
    本当に宝物のはず。
    もしこの子達が、優生思想のもとで、だれかに非難される
    ことがもしあれば、頭がおかしくなりそうです。

  • 社会に蔓延していて、それを公言することをはばからなくなってしまった「ヘイト」の渦。
    それはどこから生まれるのか。
    それは醜い「ルサンチマン」から来るのではないか。
    自分の中にもルサンチマンは、ある。それをどう乗り越えるか。

  • 岩波ブックレットは初めて読んだ。
    容疑者の掲げる障害者抹殺論に背筋が震える思いがした。だがそれ以上に、彼の思想に多少なりとも共感してしまう民衆達に、ナチスの惨劇の再来を予感する。
    完璧に健康な人間など存在せず、この世のすべての人間は病みながら生きる存在である。まさに障害者抹殺論は筆者が述べたように「自滅の論理」であり、重大な視点が欠落している。
    障害者が生きづらさを抱える社会は、我々健常者にとっても生きづらい社会であろう。このような社会がいつまでも続けば、再び相模原事件のような悲劇が起こりかねない。福祉を学んでいる人間として、「障害」にどのように向き合っていくべきかを深く考えさせる一冊。

  • ドイツのT4作戦についてはNHKで放送されたものをなぞっただけなので、ちょっと物足らない。


    「障害当事者の人々が真っ先に表明したのは施設の問題でした。私は、事件の特異性が成立する条件として、多くの障害者が施設に入所しているという点にすぐに気づきませんでした」
     ここは重要だ。この点についてもっと詳しく知りたかった。
     重度障害者の多くが施設でなく地域で生活していれば、事件は起きなかったのだろうか。

    「事件の特異性にとらわれるだけでなく、事件なき日常性を考え直していくこと」
     

  • 相模原事件のマスコミなどの報道の仕方に違和感を持っていたが、この本を読んでこれが私の感じていた違和感の正体だったんだと気付かされた。
    ドイツの障害者抹殺計画(T4)については、全然知らなかった。

  • 368.61 / 殺人-相模原市 社会的差別 障害者 /

  • SIGHTで著者の語る言葉に共感してたのと、「バリアバリュー」を読んだ後だったので読んでみた。相模原事件の背後にあって、あまり語られていない重要事項についての注意喚起と徹底してそこに対峙すべきとの決意。ナチス犯罪についての部分、知らなかったので衝撃だった。

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784002709598

  • 烏兎の庭 第五部 書評 11.13.16
    http://www5e.biglobe.ne.jp/~utouto/uto05/bunsho/hosaka.html

  • 「特異な事件」「日常とは関わりのない出来事」として切り離し、日々起こっている「これくらいのこと…」に無関心であり続けることが、優生思想を肥大化させ、歯止めを効かなくさせる。福祉そのものの前提を改めて問いながら、子どもたちにどう伝えていくか。優しさと思いやりの押しつけだけの人権教育では、むしろ偏見差別を助長させる。来年度のテーマとしても。

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著者プロフィール

1955年、宮城県仙台市生まれ。世田谷区長。高校進学時の内申書をめぐり16年間の内申書裁判をたたかう。新宿高校定時制中退後、数十種類の仕事を経て教育問題を中心に追うジャーナリストに。子どもたちの間で広がった「元気印」は流行語に。1980〜90年代、世田谷区を拠点に教育問題に取り組むプロジェクトを展開。1996年衆議院初当選。衆議院議員を3期11年務め、総務省顧問を経て、2011年、世田谷区長となる。著書多数。

「2018年 『親子が幸せになる 子どもの学び大革命』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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