安楽死・尊厳死を語る前に知っておきたいこと (岩波ブックレット)

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レビュー : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (62ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784002710068

作品紹介・あらすじ

安楽死や尊厳死をめぐる議論はなぜ混乱するのか? 知っておくべき歴史や背景,言葉のからくりを指摘し,「死の自己決定権」「延命治療」といった言葉も吟味し直しながら,その議論が陥りやすい落とし穴を明らかにする.「よい死」を語る前に私たちが真に議論すべきことは何か.人間らしい尊厳ある生き方を求めて,医療文化,社会のあり方を問い直す.

感想・レビュー・書評

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  • 生命倫理に片足を突っ込んでいる人間としては「安楽死・尊厳死」ほど使いにくい言葉はない。本書はその気分をなるべく忠実に表現しようとしている。法制化自体は善でも悪でもないが、それによって倫理的な思考が停止してしまいそうなのが怖い。社会としてやらなければらなないことは、➀しかるべき手続きを踏んで治療の差し控えや中止をした医師が係争に巻き込まれないようにすること、②議論のフレーミングが埋め込まれたYes/Noクエスチョンではなくオープンクエスチョンで人生の終わり方を話せるようになること、の2つだと考える。

  • 著者は冒頭にナチスの安楽死法案を挙げ、現在の「安楽死法案を求める人々の基本的な考え方に似ている」と決めつける。「本人の明確な意思に基づく自己決定としての死」であり、「死ぬ権利を認めても死なない権利を侵害しない」という反論についても、「少し極端な例」を挙げてこれを否定する。
    著者は言う。死ぬ権利を認めるということは、社会が「死ぬほうがその人のためだ」という価値判断を共有しているからだと。もちろん、社会の中にはそのように極端な個人はいるかもしれないが、極端な例が一般社会の価値判断を一義的に決定するとは言えない。どの社会にも価値観の相剋は存在するものだ。
    確かに、津久井やまゆり園事件では加害者が「安楽死」や「ヒトラーの思想」に言及し、ネット上は様々な言説に溢れた。しかし、彼のいう「安楽死」は現在安楽死法案を求める人々のいう「安楽死」ではないし、何より日本社会はその彼を殺人者として裁いているのである。それこそ、日本社会が著者のいう価値判断を共有していない証左ではないか。
    私も「尊厳のない生」の代わりは「尊厳のある生」であってほしい。しかし、価値観の転換だけでは如何ともし難い場面もあるはずで、著者も死への誘導を懸念して「法制化には反対」するが「ケースバイケース」という立場だ。脳死臨調と同様に賛成派と反対派が公開の場で対話を行い、厳格な条件の下で法制化を進めるべきだろう。

  • 配置場所:摂枚普通図書
    請求記号:490.154||A
    資料ID:95190789

    尊厳死とはどの様なことでしょう?
    死の自己決定権についても考えてみましょう。
    (統合薬学分野研究室 岩崎綾乃先生推薦)

  • 安楽死や尊厳死をめぐる議論はなぜ混乱するのか? 知っておくべき歴史や背景、言葉のからくりを指摘し、「死の自己決定権」「延命治療」といった言葉も吟味し直しながら、その議論が陥りやすい落とし穴を明らかにする。「よい死」を語る前に私たちが真に議論すべきことは何か。人間らしい尊厳ある生き方を求めて、医療文化、社会のあり方を問い直す。

  • 「安楽死」にしても「尊厳死」にしても,言葉そのものに価値判断が含まれているという点は言われて気付きました。

  • <図書館の所在、貸出状況はこちらから確認できます>
    https://libipu.iwate-pu.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=342277

  • 「こんな生きかたをしているくらいなら死んだほうがまし」と思わせているものは何か(自分で言う場合でも他人が言う場合でも)。その人を生きにくくしている問題を解決するのが筋でその人を死にやすくすることは答えじゃないんじゃないか。
    生きやすさと引き換えに死にやすさが得られる社会ってなんなんだろ。

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著者プロフィール

1961年生まれ。鳥取大学医学部准教授。専門は宗教学、生命倫理、死生学。京都大学文学部哲学科卒業、同大学院文学研究科博士課程後期課程修了。日本学術会議連携会員・日本生命倫理学会理事・日本宗教学会理事。著書に『「いのちの思想」を掘り起こす‐生命倫理の再生に向けて』など。

「2018年 『宗教と生命 激動する世界と宗教』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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