加害者家族を支援する 支援の網の目からこぼれる人々 (岩波ブックレット 1027)

  • 岩波書店 (2020年6月9日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (72ページ) / ISBN・EAN: 9784002710273

作品紹介・あらすじ

軽微な犯罪から重大事件まで、被害者と加害者が生まれる狭間で、時にバッシングの矢面に立ち、助けもなく放置される「加害者家族」。家族ゆえに連帯責任を問われることも多い。支援団体を設立し10年になる著者が、豊富な実例に基づき、かれらの置かれる苦境やプライバシー問題など、海外との比較を踏まえ、支援の必要性を訴える。

感想・レビュー・書評

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  • 故意の犯罪でなく交通事故などでも、ある日突然加害者家族になってしまうことがある。
    故意の犯罪でも家族は気づかないことが多く、普通に暮らしていたのにある日それが突然崩壊する。
    被疑者となった家族とは面会はできても事件のことについて話すことは許されず、家族は原因がわからないまま世間にさらされる。
    そしてその度合いはマスコミの報道によって変わってしまう。
    被害者やその家族が守られるのは当然のことだ。しかしその中で取り残されてしまう加害者家族。
    「誰も守ってくれない」「望み」など映画の題材となることも多い。
    正直自分がその立場になったら、または周りの人がそうなってしまったらどうするのかはわからない。
    このような支援団体があることを心に留めておきたい。

  • 加害者家族に焦点を当てた小説を何作か読んだことがあるが、それよりもこの薄いブックレットを読むほうが何倍も有意義だと思った。フィクションの主人公として描かれる加害者家族は、読者が共感を抱きやすい「理想的な加害者家族」であることが多い。しかし、社会的に追い詰められ、支援が必要なのは、共感できない加害者家族も同様である。共感は相手に寄りそうことのように見えるが、共感できる/できないと判断している時点で主観だ。それも感情的な。本書の意図とは外れるが、小説を読むことの弊害について考えてしまった。

    メモ。
    NPO法人 World Open Heart。

  • 加害者家族とメディア報道についての基準が曖昧で、何のために報道されるのかその目的を明確にしたものはあるのか調べてみたい。
    被害者支援も最近になってようやく制度の見直しが始まっているが、加害者家族支援は網の目からこぼれている。加害者家族には精神的支援はもちろんのこと、法的責任がともなっており、支援の仕組みが被害者や被害者家族とともに必要に感じるが、現状ない。民間団体や弁護士に頼っており、弁護士も加害者主体で関わるため、十分でない。
    加害者家族を支援することで、再犯防止効果が期待されるのか、効果検証をし、国民の理解を得ることがなければ変わることはないのではないか。
    欧米諸国は進んでいる。

  • 事件や事故が起きた際、実名で報道される場合と匿名の場合がある。実名報道された事件はインターネットに逮捕記事が残るため、将来の可能性までも制限する「デジタルタトゥー」となってしまう。
    実名報道は社会的制裁のひとつとなっていて、その制裁は、社会から隔離された加害者よりも、社会で生活する加害者家族のほうに及んでいる。
    (スウェーデンは原則匿名報道らしい。そういう国もあるのだ)

    「隠された被害者(Hidden Victim)」と加害者家族を表現することがあるそうだ。罪を犯したわけではないのに差別や批判に晒され、社会的制裁を受ける加害者家族。

    そもそも社会が勝手に制裁を与えるべきではない。
    法に則った罰を、罪を犯した人が受けるべきなのであって、どんなにわるい人であっても勝手に罰を与えてはいけない。
    過剰な正義感はもはや正義ではない。暴力だ。

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著者プロフィール

阿部恭子(あべ・きょうこ)
NPO法人World Open Heart理事長。2008年大学院在学中、日本で初めて犯罪加害者家族を対象とした支援組織を設立。全国の加害者家族からの相談に対応しながら講演や執筆活動を展開。今まで支援してきた加害者家族は2,000件以上に及ぶ。2021
著書に『家族間殺人』『家族という呪い:加害者と暮らし続けるということ』『息子が人を殺しました:加害者家族の真実』(すべて幻冬舎)『加害者家族を支援する:支援の網の目からこぼれる人々』(岩波書店)など。

「2022年 『家族が誰かを殺しても』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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