和泉式部集・和泉式部続集 (岩波文庫 黄 17-2)

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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003001721

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  • 今昔秀歌百選35,もの思へば澤のほたるもわが身よりあくがれ出づるたまかとぞ見る,和泉式部,後拾遺歌集巻二十,選者:高池勝彦(辯護士)

    後拾遺歌集67首の採用で最も多いとのこと。

    奥山にたぎりておつるたきつ瀬の魂ちるばかり物なおもひそ

  • 和泉式部の代表的な歌集。解説によれば、「続」の方が先に成立したと考えられる。
    重複、語句の異同が非常に多い。素人目には「こちらの方が意味が通るから正しいのでは」等と直したくなるが、過去の人々がそういうさかしらをしたためにややこしくなっている部分もあるのだろう。
    当のテキストが原文どおりでないとしたら、言葉遣いや歌想におけるオリジナリティの判断だっておかしくなる。本文校訂という作業の大切さが思われる。

    人はゆき霧はまがきに立ちとまりさも中空に眺めつるかな(182)

  • 他人といふ存在をこれほど焦がれたひとがあつただらうか。
    どこまでも渇ききつてゐる。他人の中でしか満たされない渇き。
    迷ひながら生きて考へ、そして自分といふ存在に出会ふ。さうして彼女は、出家することも自ら命を絶つこともまたできないことを知つた。出家をしてもしなくても、彼女は自分が自分であること、それ以上でも以下でもないことを知つてしまつたのだ。
    さうした中で、誰かに出会ひ、惹かれてゆく。ご縁とはもはや自分の力ではとうにもならぬ。そのご縁の中で自分にできることは、今目の前にゐるひとを大切に思ひ、愛すること。他人がゐないことには、愛することはできない。誰かの存在なしに、彼女は生きていけない。これ以上はみ出ることのできない自分といふものを痛いほど知つてゐる。
    かうした自分の心の動きに「苦しさ」「悲しさ」といつたことばを与へられたところに彼女のもつ天性の詩人としての力がある。日々の生活の中に漂ふどことない不安。時の流れの中で流され、また動くことのない真実。他人の中で育まれる時間とその裏に張り付く死の足音。
    死など、目の前で幾度となく繰り返され、自分もそこに辿りつくことを知つてゐる。その一方で、どこまでも汚れのない、極楽を願はずにはゐられない。失ふことを何度絶えてきても、少しも強くなれなくて。
    さうした狭間の中で、目に見えない心といふものにことばで名づける。それは誰に伝へるでもない独り言であつたり、親しいひと、大切に想つてきたひとであつたり。あるひは、千年の時を越えた先に。彼女の生命は変らず、再びここで息を吹き返す。

  • 校注:清水文雄

  • 恋多き女性でもあったが、別れの悲しみも多かった。

    2017.5.26~7・10

  • 冥きより冥き道にぞ入りぬべきはるかに照らせ山の端の月

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