保元物語 (岩波文庫 黄108-1)

  • 岩波書店 (1934年11月15日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (120ページ) / ISBN・EAN: 9784003010815

感想・レビュー・書評

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  • 薄い。頁数にして100とちょっと。これを他との抱き合わせでない1冊として出してくれる岩波文庫が好き。
    カバーと本体が同じデザインなところに復刊前の時代を感じる。旧字そのままのところにも。

    鎮西八郎こと源為朝が主人公であるかのような袖の文言には首をかしげた。抜きんでた豪傑と描写されているものの、全編を「英雄譚」とするのは違う気がする。『義経記』ではなく『平家物語』寄りだよね。軍記物。
    どちらかというと素朴で、美文を追求する風は薄いのかもしれないけど、ところどころに目を惹くものがある。為朝の描写もそのひとつ。強弓はもとより、「あたら兵をたすけておけ」の風格よ。義朝との問答の鋭さも。忠実の嘆きのような、古典らしい涙の述懐も好き。左大臣の面会を跳ねつけたくせに、と思うのとはまた別に。
    早々に終わった乱の後こそ人死には夥しく、それをまとめる形で父子、兄弟、君臣の分裂を招いた君主の不徳が糾弾されていたりする。末世の始まりという感じで、平治、平家と読んでいきたくなって仕方ない。

  • 物語といっても小説ではない。
    わかりやすく言えば『実録・保元の乱』ってところでしょうか。
    年中行事について細かく記録したのが貴族の日記とすれば、大きな出来事についての記録となっています。

    いや、ほんと、記録なんですよ、これ。
    だから、何日に誰が何をした、だれだれに付き従ったのは○○、△△、××…と、非常に細かく記載されています。
    彼らの子孫がのちに自分の家系の由緒とするためにも、ここははっきりとしつこく書いてありますが、読んでいて眠くなること請け合い。

    本当に面白いのは、乱に至るまでの経緯なんですよね。
    鳥羽法皇に愛されなかった崇徳上皇が、それでも父の言うことを聞いて、我が子を皇太子にすることもできず、愛され弟を養子にまで迎えて皇太子にする。
    だけでも屈辱なのに、ふたを開けてみれば皇太子ではなく皇太弟。
    これでは譲位をしても院政も敷けないではないか。

    それでも父ちゃん(鳥羽法皇)が死ぬまでは我慢した。
    いや、死んだ後も、武士を集めてぐちぐち言ってるだけで満足したかもしれない。
    だけど、愛され弟(後白河天皇)は、若いころから曲者だった。

    外堀を埋め、兄ちゃんを煽り、放棄するしかないところに追いつめた。
    ついでにうるさい関白も兄ちゃんのもとに走るよう仕向けて、自分の周りは優秀な人材を集めた。

    挑発に乗って蜂起したところで勝てるわけがない。
    「夜討ちなんて野蛮なことを!」などというような雅な人が、武士の戦いを指揮しようとしても無理に決まっている。
    為朝の不幸は、指揮を取らせてもらえなかったことだ。

    っていうことをご存じの、同時代人に向けて書かれている記録書なので、どうでもいい人名はしつこく書いているくせに、肝心な人名は恐れ多くて遠回しにしか書いてくれていない。
    『保元物語』は、児童書かマンガで読んだ方が絶対面白いと、今回原書で読んで思いました。誰か書いて。

    『保元物語』は摂関政治から天皇親政への流れを
    『平治物語』は平家の台頭を
    『平家物語』は平家の栄枯盛衰を
    知っていたほうが面白く読めます。

    ”すべて今度の合戦は、前代未聞と申(もうす)にや。主上、上皇御連枝なり、関白、左府も御兄弟、武士の大将為義、義朝も父子なり。此(この)兵乱の源も只故院、后(きさき)の御すすめによて、不義の御受禅(ごじゅぜん)共ありし故也。”
    これが書かれた時代に、すでに崇徳天皇から後白河天皇への禅譲は不義であると明記されているところにびっくり。
    不敬罪にはならないんだ。

    奈良時代、平安時代はこういうどろどろした権力争いが多いからなあ…と常々思っていましたが、よく考えたら、天皇家のどろどろはこの時代の天皇の権力が大きかったからで、鎌倉時代は将軍家や得宗家の、室町時代はそれぞれの家での跡継ぎをめぐる争いはずっと行われていたわけで、それがなくなったのは徳川家康が「跡継ぎは長子」と決めたからなんだなあと気づく。

  • ルビは多く振ってあるが旧漢字の使用も多く、版が古くて印字に欠けがあったりもして、かなり読みづらい。それでも、どうせ古文なんだからと我慢して読んでいくと、やはり、歴史のフィルターを潜り抜けてきた古典だけあって、味わい深い。戦闘シーンは生々しく、また、破れた上皇方の源為義の幼い子供たちが処刑される場面は涙が出るほど痛ましい。
    現代語訳は付いていないが、鎌倉時代以降の古典は、少し頑張れば原文で大体読める。もっとも、岩波文庫版の平家物語など、原文と現代語訳が対照しているものを一冊くらい読んで若干の経験を積んでおく方がよいだろう。

  •  大河により復刊。それだけでも大河には感謝しなくては!
     復刊だけに、本当に往時のままです。個人的には、旧字体も原文も注釈なしでも一向に構わないけれど、ただ一つ、あの印字の掠れ具合だけはどうにかならぬのか…。
     これは他の復刊本にも言えることで、発刊された時代が時代な上に、「復刊」と謳うからには往時そのものの再現が必要ということであればどうしようもないけれど、せめて新訂版として刷り直すことは出来ないのでしょうかね?
     まあ、もはや岩波文庫も万人向けの書籍ではなくなりつつあるだけに難しいのかも?

     同時代の軍記物以外の史料として『保元』と併せて読むなら、『玉葉』『愚管抄』『吾妻鏡』『台記』辺りがお勧め。
     …ただし、後者はいささか難あり(…)

  • 勢いで一気に読めました。たしかに旧字体とフォントの小ささ、注釈一切なしにはいささか驚きましたが、雰囲気を掴めば大丈夫です。薄い本です。

    意外とビジュアル面の描写(どんな鎧を着ていたとか)がこと細かく、想像力を掻き立てられました。左府殿あっさり死んでせつない…。しかし為朝さんが主役扱い(?)なんですか?これまた意外な感じでした。

  • 2012年3月12日読み始め 2012年3月15日読了
    大河ドラマ「平清盛」を受けて復刊したようです。しかし文字は旧字体だし印刷荒いし字小さいし訳注無しだし、かなり辛い本ではあります…岩波文庫はこのへんの古典はもっと改良してもいいのでは。
    しかし、100pちょっとなので、なんとか読めないこともないです。雰囲気だけでも味わえてよかったです。

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