保元物語 (岩波文庫 黄 108-1)

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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (119ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003010815

感想・レビュー・書評

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  • 薄い。頁数にして100とちょっと。これを他との抱き合わせでない1冊として出してくれる岩波文庫が好き。
    カバーと本体が同じデザインなところに復刊前の時代を感じる。旧字そのままのところにも。

    鎮西八郎こと源為朝が主人公であるかのような袖の文言には首をかしげた。抜きんでた豪傑と描写されているものの、全編を「英雄譚」とするのは違う気がする。『義経記』ではなく『平家物語』寄りだよね。軍記物。
    どちらかというと素朴で、美文を追求する風は薄いのかもしれないけど、ところどころに目を惹くものがある。為朝の描写もそのひとつ。強弓はもとより、「あたら兵をたすけておけ」の風格よ。義朝との問答の鋭さも。忠実の嘆きのような、古典らしい涙の述懐も好き。左大臣の面会を跳ねつけたくせに、と思うのとはまた別に。
    早々に終わった乱の後こそ人死には夥しく、それをまとめる形で父子、兄弟、君臣の分裂を招いた君主の不徳が糾弾されていたりする。末世の始まりという感じで、平治、平家と読んでいきたくなって仕方ない。

  • ルビは多く振ってあるが旧漢字の使用も多く、版が古くて印字に欠けがあったりもして、かなり読みづらい。それでも、どうせ古文なんだからと我慢して読んでいくと、やはり、歴史のフィルターを潜り抜けてきた古典だけあって、味わい深い。戦闘シーンは生々しく、また、破れた上皇方の源為義の幼い子供たちが処刑される場面は涙が出るほど痛ましい。
    現代語訳は付いていないが、鎌倉時代以降の古典は、少し頑張れば原文で大体読める。もっとも、岩波文庫版の平家物語など、原文と現代語訳が対照しているものを一冊くらい読んで若干の経験を積んでおく方がよいだろう。

  •  大河により復刊。それだけでも大河には感謝しなくては!
     復刊だけに、本当に往時のままです。個人的には、旧字体も原文も注釈なしでも一向に構わないけれど、ただ一つ、あの印字の掠れ具合だけはどうにかならぬのか…。
     これは他の復刊本にも言えることで、発刊された時代が時代な上に、「復刊」と謳うからには往時そのものの再現が必要ということであればどうしようもないけれど、せめて新訂版として刷り直すことは出来ないのでしょうかね?
     まあ、もはや岩波文庫も万人向けの書籍ではなくなりつつあるだけに難しいのかも?

     同時代の軍記物以外の史料として『保元』と併せて読むなら、『玉葉』『愚管抄』『吾妻鏡』『台記』辺りがお勧め。
     …ただし、後者はいささか難あり(…)

  • 勢いで一気に読めました。たしかに旧字体とフォントの小ささ、注釈一切なしにはいささか驚きましたが、雰囲気を掴めば大丈夫です。薄い本です。

    意外とビジュアル面の描写(どんな鎧を着ていたとか)がこと細かく、想像力を掻き立てられました。左府殿あっさり死んでせつない…。しかし為朝さんが主役扱い(?)なんですか?これまた意外な感じでした。

  • 2012年3月12日読み始め 2012年3月15日読了
    大河ドラマ「平清盛」を受けて復刊したようです。しかし文字は旧字体だし印刷荒いし字小さいし訳注無しだし、かなり辛い本ではあります…岩波文庫はこのへんの古典はもっと改良してもいいのでは。
    しかし、100pちょっとなので、なんとか読めないこともないです。雰囲気だけでも味わえてよかったです。

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