平家物語 (3) (岩波文庫 黄 113-3)

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  • Amazon.co.jp ・本 (367ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003011331

作品紹介・あらすじ

木曾義仲、頼朝・義経、そして平家の三つ巴の戦いから源平合戦へと急激に転回する巻七から九を収録。木曾義仲が京に迫り、平家都落ち(巻七)、義仲と頼朝の対立が決定的に(巻八)、義経軍が義仲を破り、さらに一ノ谷に陣を敷く平家の大軍を急襲(巻九)。

感想・レビュー・書評

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  • 読めば読むほど辛くなってくるのだけれど、なんとか読んでいます。
    戦の描写では、高倉宮が討たれるところが今までだと印象に残っていたのだけど、今回は倶利伽羅と一ノ谷と大きな戦場面の描写がありありと浮かんでくる様で悲しかった、、源氏方きたないのキレ、、

    巻第七
    「忠度都落」「今は西海の浪の底にしづまば沈め、山野にかばねをさらさばさらせ。浮世に思ひおく事候はず。さらばいとま申て」とて、馬にうち乗り、甲の緒を締め、西をさいてぞあゆませ給ふ。
    泣きました

    巻第九
    「木曾最期」義仲が兼平と一緒に死にたい!って探しに行くの可愛すぎ。義仲の最期に比べ、兼平の壮絶な最期震えた

    「六ケ度軍」教経ーーーー!!!!!かっこよすぎ...
    ...能登殿、防屋射ける兵ものども百卅余人が頸切ッて、打手の交名しるいて福原へまゐらせらる...

    「三草勢揃」けふまでもあればあるかのわが身かは夢のうちにもゆめを見るかな 教盛卿......

    「老馬」教経ーーーー!!!かっこよすぎ(再び)
    いくたびでも候へ、こはからう方へは、教経うけ給はッてむかひ候はん

    「忠度最期」泣きました
    「知章最期」泣きました
    「小宰相身投げ」泣きました
    同じく巻第九の「老馬」にて、弟の教経にこんな時・所に北の方を連れてきて何いちゃついてんだ戦中だぞ(意訳)とブチギレられた通盛に好感を持っていたのですが、この段は涙なしには読めなかった。前半で「まどろめば夢に見え、さむればおもかげに立つぞし」と想い後を追う小宰相に心が揺さぶられて、、後半の馴れ初めで3年間も小宰相の方がつれなくしていたエピソードで、それが前半になったの?!と落とされ泣きました。一人だけ顔を赤くして何も言えない小宰相可愛すぎだし、この夫婦まじで可愛すぎる....
    そのほか、「などのちの世とちぎらざりけんと思ふさえこしかなしけれ」や「南無西方極楽世界教主弥陀如来、本願あやまたず浄土へみちびき給ひつつ、あかで別れしいもせのなからへ、必ずひとつはちすにむかへたまへ」がもうね、、、、、、はあ、、、、

  • 7巻は、まだ竹生島詣でをする余裕ある感じでスタートするが、平家の放浪の始まり。
    まずは、平家が内通者を得て、火打合戦で一勝を収めるものの、義仲が倶利伽羅落としで鮮やかに勝利。
    温情を示してくれた敵をだまし討ちする章が2つもあり、その内の1つが、7巻の篠原合戦。

    義仲が山門との争いを避けるために、平家より先じて、書状のやり取りで、味方につけ、ただの猪武者でないことを示す。そして、平家の都落ち。維盛の北の方との別れのシーンが情緒深く描かれているが、そもそもの平家の横暴の始まりが維盛なので、その印象が強くて、ちょっと戸惑う。

    8巻は、義仲の都入り。と部下の都での狼藉により、法王との関係悪化が前半。

    落ちた平家は屋島に落ち着き、中国・四国の支配権を回復。そして、水上の水島合戦で水軍の強さを発揮して、新しいヒーローの教経の誕生。

    命もはらず、他人を利用して、勝った方につこうとするせこいとこが見られ、読めば読むほど、後白河が嫌いになってくる。こいつが仕掛けなければ、むしろ、源平合戦自体起こらなかったのではという気にもなってくる。

    自分かわいさに、股肱の臣が飛ばされても、嘘っぽいスタンディングオベーションか?っていう涙をはらはらと流したまうだけ。こればっかりでうんざりだ。
    それに比べて、義仲は、敵でありながらあっぱれであったものを殺す時にも、残念だと言っており、心から言っているように聞こえる。そして、京都人。頭が悪いのではなく、文化の違いなのに、それを雅でないと馬鹿にして、京都人のくそいじの悪さがにじみ出る不愉快な巻

    9巻では、頼朝挙兵。源氏側のしょうもない先陣争いのエピソードがいくつかあってから、義仲の最後、河原合戦へと続く。後々、平家側は乳兄弟などに裏切られるエピソードが続出するが、義仲の場合は裏切られず、一緒に亡くなる。巴御前の話も出てくる。

    その後、義経も登場するが、私が印象に残ったのは、樋口被討伐の章。武家である頼朝側は命を嘆願した義仲側の武士を、安全なところにいるだけの、貴族が死刑にしてしまう。現場を知らないものほど、残酷だ。同じように、都落ちで、鵯越から落ちてきた鹿を、意味もなく殺生するのをいさめたり、武士の方が命を捨てる時、守る時をわきまえている気がした。

    この鹿の存在で、鵯越上の源氏の存在を疑っているのに、なぜか油断する平家。本当か?

    鵯越は、みなが怖気づくのを前に、義経自らがさきがけをする。そりゃ、頼朝より義経の方が人気出るよねって話。

    もう1つの卑怯なエピソードが越中前司最期。これも越中の方は敵に温情を示し、正々堂々としてたところを卑怯な源氏側に殺される。しかも、部下の手助けがあってようようなのに、部下に手柄を取られないように、いそいで首を上げて名乗りを上げる卑怯この上もない感じ。

    まだ、武士道が確立していない感じ。こんな薄汚い章で名前を残したところで、どうなるのか?



    平家は大分と回復し、教経が何度も勝利をおさめるが、ついに義経到着で、一の谷の戦いで、孫世代の大半が親世代を残して先になくなってしまう。

  • 1巻のレビューを参照してください。

  • カテゴリ:図書館企画展示
    2013年度第3回図書館企画展示
    「大学生に読んでほしい本」 第3弾!

    本学教員から本学学生の皆さんに「ぜひ学生時代に読んでほしい!」という図書の推薦に係る展示です。

    大塚美保教授(日本語日本文学科)からのおすすめ図書を展示しました。
            
    開催期間:2013年10月1日(火) ~2013年11月15日(金)【終了しました】
    開催場所:図書館第1ゲート入口すぐ、雑誌閲覧室前の展示スペース

    大学2年生の時、生まれて初めて古典に読みふける経験をし、通学電車で駅を乗り過ごしました。それほどエキサイティングだったのが『平家物語』。
    おかげで、古典文学は読みづらいという苦手意識が払拭されました。
    いちばん好きなのは、戦いに敗れ、命運つきた木曽(きそ)義(よし)仲(なか)が、一人だけ残った従者にもらす言葉。
    「日来(ひごろ)は何とも覚えぬ鎧(よろい)が、今日は重うなつたるぞや」
    涙なしには読めません。

  • 巻7~巻9を収めるが、このあたりはそのほとんどが闘いの場面だ。物語の趨勢は、ひとえに平家が没落へ向かっていく道筋を描くのだが、そこには「個」もまた明確な像を結んでいた。ここでは大勢の公達、また武将達が命を落としていくが、もっとも壮絶なのは今井四郎の最期だろう。四郎は「これ見たまへ、東国の殿原、日本一の剛の者の自害する手本」と叫びながら、太刀を口に含み馬からさかさまに飛び降りるのである。他にも、薩摩守忠教都落ちや、老武者の斉藤実盛のエピソードをはじめ、壮絶な戦いの中にも物語は優にもまた「あはれ」に描かれる。

  • 木曾義仲や平家の主立った面々がほとんどいなくなった。せつない場面の多い一冊だった。

  • 巻第九の後半では、立て続けに「越中前司最期」「忠教最期」「重衡生捕」「敦盛最期」「知章最期」「落足」「小宰相身投」と、追い詰められた平家方の公卿・女房それぞれの最期が克明に語られる。美談もあるし、見苦しい最期もあるし、情けない死もあるし、図らずも生き残ってしまう者もある。この配列はドラマチックですね。

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