平家物語 (4) (岩波文庫 黄 113-4)

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  • Amazon.co.jp ・本 (438ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003011348

感想・レビュー・書評

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  • 屋島→壇ノ浦と続き、維盛の息子六代の死によって「平家の子孫はながくたえにけれ」。最後に建礼門院の生涯を描いた灌頂巻が付され、全12巻の幕が閉じる。

    ちなみに、義経は傲岸不遜な一名将といった描き方で、しかも頼朝から追討されるところまでしか描かれない。平家物語はあくまでも平家の物語ということ。

  • 「灌頂巻」をもって『平家物語』は全巻を閉じる。冒頭の「祇園精舎」とみごとに呼応するのだが、物語の終りはすなわち綺羅の終りであり、王朝の終りでもあった。我々読者もまた、無常とあはれに呆然とするばかりだ。一方ここには物語全体の華ともいうべき「那須与一」も含まれている。衆人環視の中で与一は見事に扇の的を撃ち落とす。「おきには平家、ふなばたをたゝいて感じたり。陸には源氏、ゑびらをたゝいてどよめきけり」とあるが、この時代の戦を彷彿とさせるエピソードだ。秘曲「灌頂巻」とはまた別の意味で琵琶法師も力が入ったことだろう。

  • こんなにも面白いと思いませんでした平家物語。読めば読むほど平家に心が傾くのでだいぶキツかったですが...

    巻第十一
    「先帝身投」泣きました

    「能登殿最期」
    知盛の「能登殿、いたう罪なつくり給ひそ。さりとてよきかたきか」ジーン.....
    そして、「いざうれ、さらばおのれら、死途の山のともせよ」とて、生年廿六ぬて海へつッとぞ入り給ふ
    うわーーーーーーーーーーーーーーん

    この段の前半の教盛・経盛兄弟、よろひのうへにいかりを負ひ、手をとりくんで海へぞ入給ひけるシーンと、資盛、有盛、行盛の手に手をとりくんで、一所に沈み給ひけりところも悲しかったな...特に経盛教盛はおじいちゃん達&異母兄弟で手を取るのがよいよね、、、、

    あと特に印象に残ったのが「重衡被斬」の北の方が
    をめきさけぶ給ふ御声の...というところでしょうか。。。辛いですね

    巻第十二も灌頂巻もつらかった、、、けど面白かった、、、建礼門院右京大夫集読みます、、、

  • 重衡が、一番悪い訳ではないのに、奈良の寺院を焼いたということで、やたら責められだす。それは、気の毒な…。鎌倉への護送の様子と重衡の心の動きがメインの十巻。
    重衡は、特に平家の優雅さを体現している人物らしく、護送の途中で一晩語り合った千寿前と心が通じ合う。どうせ殺されるという気持ちになっていた重衡の湯あみの世話を裸に近い恰好で世話をするというよくわからない役目で登場するが、楽器や歌のやり取りで、消沈する重衡を慰める。平家花揃という平家の公達を花に例えるものがあるらしく、それでじゃ重衡は牡丹に例えられているらしい。

    請文では、平忠時が院からの使者の顔面に焼き印を押してしまう。使者に責任がないのはみんな分かっているのに、この人横暴だ。

    もう一人の主人公が維盛で、体調不良を理由に戦に赴かなかったことで、一の谷を生き延びたが、都に残した家族に一目会いたくてなぜか屋島を抜け出し熊野から高野山へと向かい入水する様子が描かれる。特に感想はなし。

    印象的だったのが、最後の章の大嘗祭之沙汰。今の馬鹿姉妹を擁する秋篠宮家の様な皇室の態度が浮かび上がる章。庶民には関係のない戦争で、収穫もままならない状況で控えるべきなのに、大嘗祭を行った皇室に庶民は迷惑極まりなかったとある。この章にも、義経が義仲よりは京都に慣れているが、平家の襟くずにも及ばないと、あくまでも見た目や、京都というたかだか一地方の風習に詳しくないというだけで、えらい言われようで、毎回の様に、そういったパートへは不愉快感を覚える。

    十一巻で、平家は実質的全滅。源氏側の厭らしさが目立つ巻となっている。頼朝の腰巾着の梶原がしょうもない理由で義経に反抗し、頼朝に言いつけたりと胸糞が悪くなる。かつ、壇ノ浦の段では、頼朝が大将だとはっきり名言しているのに、そういうことは告げず。有名な壇ノ浦や那須与一など義経の活躍が描かれると同時に、無益な折衝を好まなかったり(勝浦)、簡単に捕虜に同情してしまい救おうとしたりと、義経の心温かな性質も描かれる。これを受けて、私が最も悩んだのが、副将被斬の段。鎌倉へ連行するには及ばず、「あいはからえ」とのみ答える義経。やくざの始末しておけの意味も分かるが、これまでの義経の性格エピソードを考えると、頼朝のいる鎌倉まで連れていくと子供でも殺されるので、逃げたとでも殺したとでも何とでも答えようのある場所で意を組んで逃がしてやれを部下が組めなかったのでは?と思ったが、参考に読んでいる参考資料もどちらとでも取れる逃げた現代訳で結局わからなかった。これは、平家物語が多数の琵琶法師による口伝だから、エピソードによるキャラの性格の一致はしなくてもおかしくないのではないかとの意見もあり。

    能登殿最期が、お気に入り。能登殿は、盛下がり時期の平家にあり、武功をあげ盛り返した難しい時期での半ばのヒーローだ。そして、最後まで男らしい死にざまを選び、ほかのキャラクターより姿勢が一貫して変わらないところに魅力を感じる。

    那須与一のシーンの描き方は美しい。
    武士道に関しても一貫していないのか、あれ?これは卑怯とみなされないの?というシーンと武士道に則ったもののあはれなシーンが入り乱れて出てくる。
    一方、嘘くさくて、この平家物語を通して一番嫌いなキャラ、後白河も相変わらず。平家一門がさらし者にされている一門大路渡でも、見物にしゃしゃりでてくる始末。挙句の果てに、また見せかけだけのあはれに思う。馬鹿にしてんのか。

    そして、鎌倉への一歩手前で、大成果を上げた義経が面会拒否をされる。近くというのが、また頼朝のこぎたない性格を表しているようだ。頼朝に何度も誓紙を出すが無視される。そんな状態で、なお平家の最後の忠盛、重衡を処刑の場、京都へ送る役目を言いつけるのも信じられない。汚れ役をやらない嫌な奴だ。

    続いて、惰性の十二巻。義経が不和になる。判官都落の段の頼朝の厭らしさ。もう一人残った兄弟が、頼朝に協力した挙句に殺された義仲義経を思って、協力を拒否するとすかさず処罰。しかも、そのきっかけとなったセリフが「九朗の真似するなよ」どんだけ、性格が悪いんだ。
    朝(あした)にかはり夕(ゆうべ)に変ずる世間の不定こそ哀れなれ。本にも書いてある。みんなが、思っている。

    そして、最後の平家、六代が殺されるシーンが長々と描かれるが、六代エピソードにそれほど興味を覚えてないので、私としては、十一巻が最大の盛り上がりだった。

    その後の灌頂巻が最低。自分の孫の母親でもある平家の娘が落ちぶれており、救う手立てもなんもしなかったのに、のこのこと後白河が訪問してくる巻。人の気持ちを無視するにもほどがあろう。

    なぜ、平家物語なのだろうと考えていた。源氏物語という名でもいいのではないかと。まぁ、同じ名前の物語があるのでそれに近いという意味、かつ源氏が主役でもということだけど。源氏は、兄弟が意味もなく打たれ続けるので、主役とするには少し醜いからではないかと感じた。また、大きく因果応報の話だと感じた。頼朝は狭い料簡で、兄弟を殺してしまったので、結局詩集的に源氏の層が薄くなり、北条家にあっというまに乗っ取られてしまう。

    • おびのりさん
      4tamaさん
      おびのりです。フォローありがとうございました。
      平家物語は、いつか読もうと思っているのですが、たどり着いていません。
      充実し...
      4tamaさん
      おびのりです。フォローありがとうございました。
      平家物語は、いつか読もうと思っているのですが、たどり着いていません。
      充実したレビューで感心しています。
      よろしくお願いします。
      2022/06/15
  • 1巻のレビューを参照してください。

  • カテゴリ:図書館企画展示
    2013年度第3回図書館企画展示
    「大学生に読んでほしい本」 第3弾!

    本学教員から本学学生の皆さんに「ぜひ学生時代に読んでほしい!」という図書の推薦に係る展示です。

    大塚美保教授(日本語日本文学科)からのおすすめ図書を展示しました。
            
    開催期間:2013年10月1日(火) ~2013年11月15日(金)【終了しました】
    開催場所:図書館第1ゲート入口すぐ、雑誌閲覧室前の展示スペース

    大学2年生の時、生まれて初めて古典に読みふける経験をし、通学電車で駅を乗り過ごしました。それほどエキサイティングだったのが『平家物語』。
    おかげで、古典文学は読みづらいという苦手意識が払拭されました。
    いちばん好きなのは、戦いに敗れ、命運つきた木曽(きそ)義(よし)仲(なか)が、一人だけ残った従者にもらす言葉。
    「日来(ひごろ)は何とも覚えぬ鎧(よろい)が、今日は重うなつたるぞや」
    涙なしには読めません。

  • 巻第十二は頼朝の疑心暗鬼による義経追求と平家の残党狩りの話。これを読むとこのころの日本人はほとんど首狩り民族じゃないかと思う(笑)。首狩りの中にも感動が、みたいな。その凄惨なフィナーレの血糊を濯ぐかのように、しんみりとした灌頂巻が最後に付せられている。

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