南総里見八犬伝 1 (岩波文庫 黄224-1)

  • 岩波書店 (1990年7月16日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (368ページ) / ISBN・EAN: 9784003022412

みんなの感想まとめ

物語は、犬たちと人間たちの絆を描いた壮大な冒険譚であり、再読することで新たな発見や感動をもたらします。古典的な作品ながら、江戸時代の文学特有のリズム感が心地よく、読みやすさも兼ね備えています。特に、キ...

感想・レビュー・書評

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  • 映画「八犬伝」を見たら、無性に読みたくなり図書館で借りました。中学か高校の頃に一回読んだので再読ですが、やっぱりおもしろいです。

  • 南総里見八犬伝を語るとき、人は往々にして「八つの徳目」や「勧善懲悪」といった表層的な要素に目を奪われがちだが、私はむしろ馬琴の描く「人間存在の不確かさ」にこそ、この作品の真髄があると考えている。
    たとえば、八犬士たちの出生に着目してみよう。彼らは皆、偶然と必然が複雑に絡み合った状況下で生を受ける。親兄弟の思惑や陰謀、そして玉梓の怨念という超越的な力が交錯する中で、彼らは己の出自すら知らぬまま成長していく。これは単なる劇的な設定以上の意味を持つ。つまり、人間の存在そのものが、個人の意思や努力を超えた力学によって翻弄されているという、極めて近代的な人間観の表現なのだ。
    また興味深いのは、馬琴が描く「善」の在り方である。八犬士たちは確かに儒教的な徳目を体現しているが、その生き様は必ずしも教条的ではない。例えば、犬塚信乃の場合、「信」の徳を持ちながらも、時に疑念に苛まれ、迷いながら行動する。こうした「理想と現実の齟齬」にこそ、馬琴の人間洞察の鋭さが表れている。
    形式面で注目すべきは、馬琴独特の「考証」の手法だ。彼は虚構の物語に史実めいた注釈を付け加えることで、フィクションとノンフィクションの境界を意図的に曖昧にする。これは現代のメタフィクションを先取りする手法とも言える。『源氏物語』の「物語論」とも、またベンヤミンの言う「物語作者」の概念とも異なる、独自の文学的営為がそこにある。
    作中随所に見られる怪異譚も、単なる戦国絵巻の装飾ではない。玉梓の怨念を始めとする超自然的要素は、当時の民間信仰や説話文学の伝統を踏まえつつ、人間の業と救済という普遍的テーマを浮き彫りにする仕掛けとして機能している。これは近松門左衛門の心中物や、さらには井原西鶴の町人物の世界観とも通底する、近世文学の重要な特質だ。
    時に冗長と評される本作の文体も、実は緻密な計算の上に成り立っている。たとえば、登場人物の心理描写に費やされる長大な文章は、まるで能の「序の舞」のように、その後の劇的展開に向けた観客の意識を整えるような効果を持つ。これは古典演劇の手法を散文に取り入れた、馬琴の実験的な試みと解釈できる。
    確かに現代の読者からすれば、本作の道徳的教訓や勧善懲悪的な結末は、いささか素朴に映るかもしれない。しかし、その奥に潜む人間存在への深い洞察、文学形式への実験的な挑戦、そして何より、個人の運命と普遍的な倫理との切実な対話は、現代においてもなお、私たちの心を強く揺さぶるのである。

  • 黙読してると冗長に思えるが、当時は音読がふつうで、読本(よみほん)というものは朗読に耐え得るものでないといけなかった。なるほど〜
    漢語に降るやまとことばの豊かさに驚いた。
    名前だけ有名で読んだことのある人が少ないとのことなので、その1人になるべく少しずつ読んでいきます

  • 超久々にまんまの読本なんて手え出したわ…やっぱ読めねえな…(阿呆)
    しかし柳川重信の浮世絵の迫力はすげえ…生首ゴロゴロ…おお…

    それにしても伏姫をお嫁さんにしたいから、頑張って敵の大将の首食いちぎって持って帰ってくる八房(犬)はかわいい
    わざわざそのシーンをフォーカスして血みどろの生首くわえて帰ってきた八房の見開き挿絵描いたんだから、やっぱり柳川重信もド変態だったんだろうな…

  • 南総里見八犬伝を読むのは、小学生の時に子供むけに優しく書き直したダイジェスト版を読んで以来だと思います。だからほぼ50年ぶりか。古典としては比較的読みやすい部類に入るのではないでしょうか。江戸時代の文学だからかもしれませんが。意味がよくわからないところはどんどん飛ばして読んでも、話の流れは大体つかめます。当初、現代語訳版を読もうとしたが、やはり原文の持つ、この独特のリズム感は捨て難いものがあり、こちらを選びました。さっそく第2巻にチャレンジし、なんとしても完読するぞ!

  • 時に音読したりしながらコツコツと読んでいたのが、これ。
    小学生のころ、子ども向けとは言いながらも結構長くて難しいこの物語が大好きで大好きで。
    この年になってようやく大人向きのものに挑戦した次第。

    本を開くとまず解説。
    それから凡例、第一巻の分の話の筋、第一巻の分の主要人物一覧、序文、10回分の目録となっています。
    10回分で一輯。
    この本は二輯分を収録しています。

    いきなり物語ではないので、読んでいるうちに少しずつ思い出すこともありますが、大抵のことは忘れたまま。
    特に室町時代が舞台になっていますが、この時代背景がさっぱりわからない。

    結城合戦って何?
    室町時代なのに鎌倉方と戦うとはこれいかに?

    まあざっくり書くと、今の茨城県の結城辺りを治めていた武将が、室町幕府の鎌倉公方ともめて、結城氏と共に戦っていた里見氏の息子義実(よしさね)が命からがら海を渡って千葉に逃れてきます。
    安房の国では神余光弘というろくでもない城主が、これまたろくでもない山下定包(さだかね)という部下に殺され城を乗っ取られ、調子に乗った定包の悪政に人々は苦しめられていたところでしたが、里見義実がさくっと退治して、そのまま城主となりました。

    というところから物語が始まるのでありますが、きれいに忘れておりました。
    いや、最初から理解していなかったのかもしれません。

    大人になって読んでみると、義実、ものすごい理想主義者です。
    前例主義の理想主義者なものだから、「今がチャンスだ!」って時でも「いや、待て」と。「歴史はそれを良しとはしていない」と。
    こ、これは、三国志で言うところの劉備玄徳のようなお方。
    智将も武将も従えながら(義実は落ちのびてきた小僧だから2人しか従えてないけど)、敵にしてやられてばかりの劉備玄徳。
    「なぜだ!?」…坊やだからさ。

    かくて劉備義実は、死ななくてもいい部下を死に至らしめ、娘を犬にくれてやるはめになるのであります。

    当然妻はショックのあまり病に伏せり、いまや命は風前の灯というところでようやく義実、「そうだ、娘を連れ戻そう」と思うわけですな。
    しかしいろいろとタイミングを間違える男金碗(かなまり)孝徳、やっぱりタイミングを間違えて義実の娘伏姫を助けに来たはずが撃ち殺してしまいます。
    一度息を吹き返した伏姫は、「私は犬の子を孕んでなぞおりませぬ!」とばかりに腹を掻っ捌いてはかなくおなりになりました。ああ、男らしい。

    ここまでが第一輯。

    次はてっきり八犬伝と言えばこの方、犬塚信乃の出番かと思いきや、時代はいきなり遡って信乃のじいちゃんの時代にまで戻ってしまうのである。
    信乃爺こと大塚匠作、信乃父こと大塚番作親子は敵に囲まれもはやこれまで。と、覚悟を決めたところ、大塚匠作息子に言います。
    「殿より預かりしこの刀、逃げのびて生きながらえ、いつか必ずや殿の元へ届けよ」
    「いや、父さん、なら父さんも生きて下され」

    結局二手に分かれて生き延びた親子は、けれど亡き殿の御曹司二人がさらわれてしまったので、あとを追うわけです。
    まだ少年の御曹司二人は、従容と運命に従い首をはねられますが、そこで飛び出す大塚匠作。
    (なぜ生きているうちに飛びださなかったのかは不明)
    敵をバッタバッタとなぎ倒すも多勢に無勢。最後はやられて、首を落とされてしまいます。
    そこで飛び出す大塚番作。(またもや、なぜ生きているうちに飛びださなかったのか。全くさぁ)

    そしていろいろ時は過ぎ、大塚は犬塚と名を改め、番作亡きあと信乃は同じく八犬士の犬川荘助と出会うところで第二輯は終わり。

    “ともに番作が霊牌を拝しつつ、この日の事を告る折から、跫然(けうぜん)と足音して、外面(とのかた)より来るものありけり。この人は誰ぞ。看官(みるひと)三輯(さんしふ)嗣次(しじ)の日を等(まて)。さらに次の巻の端(はじめ)に解(とか)なん。”

    この引っぱりようったら、少年ジャンプですか!

    さて、明治の頃までは、読書というのは音読だったそうなのです。
    つまりこの本も、音読にたえる文章、文体であると、文庫最後の「『八犬伝』を読むために」に書いてありました。
    な~んだ、音読して気持ちいいのは当たり前だったのか。

    時間はかかったけれども、面白かった。楽しかった。
    ちょっとおちゃらけた紹介文になってしまったけれど、存分に楽しんだ証と思ってやってください。
    次回からは気をつけます。

    そうそう。
    ちはやふるを「千剣振」と書いてありました。
    古い言葉だけに、表記もいろいろなのかしら。

  • 八犬伝は現代語版や、漫画、ドラマなど、いろいろな形で愛される、ファンタジック・スペクタクル時代劇といった雰囲気の作品。

    私は8年ほど前に、たまたま正月ドラマで見て興味を持ち、どうせなら原文に近いものを読みたいと、これを手に取りました。もともと、古い文体が嫌いでないので、読みづらい部分は飛ばしつつ、どんどん読み進みました。五巻くらいまで一気に読んだところで集中力が切れ、続きを読まないままに現在に至ります。

    個人的には、前半(1~5巻)の仲間を探す旅道中が、各キャラクターが丁寧に描かれて、面白いです。ドラマとは違う部分が結構あったので、読んでよかったとも思いました。

    船虫という、命名もひどいですが、かなりの悪女が前半通して登場し、主人公たちを邪魔して、苦しめるのですが、「三銃士」のミレディという悪女に引けをとらない悪女っぷり、不死身っぷりで、いい味出してます。

  •  
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4003022416
    ── 曲亭 馬琴《南総里見八犬伝( 1)1814-1842 19900716 岩波文庫》全106冊
    http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/20/5/2002700.html
     
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4003022424
    ── 曲亭 馬琴《南総里見八犬伝( 2)1814-1842 19900716 岩波文庫》
     
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4003022432
    ── 曲亭 馬琴《南総里見八犬伝( 3)1814-1842 19900716 岩波文庫》
     
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4003022440
    ── 曲亭 馬琴《南総里見八犬伝( 4)1814-1842 19900716 岩波文庫》
     
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4003022459
    ── 曲亭 馬琴《南総里見八犬伝( 5)1814-1842 19900716 岩波文庫》
     
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4003022467
    ── 曲亭 馬琴《南総里見八犬伝( 6)1814-1842 19900716 岩波文庫》
     
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4003022475
    ── 曲亭 馬琴《南総里見八犬伝( 7)1814-1842 19900716 岩波文庫》
     
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4003022483
    ── 曲亭 馬琴《南総里見八犬伝( 8)1814-1842 19900716 岩波文庫》
     
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4003022491
    ── 曲亭 馬琴《南総里見八犬伝( 9)1814-1842 19900716 岩波文庫》
     
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4003022505
    ── 曲亭 馬琴《南総里見八犬伝(10)1814-1842 19900716 岩波文庫》
     
     曲亭 馬琴 作家 17670704 江戸 18481201 81 /明和 4.0609~嘉永 1.1106/籍=滝沢 興邦
     山東 京伝 作家 17610913 江戸 18161027 55 /宝暦11.0815~文化13.0907/籍=岩瀬 醒
     
    …… 天保の改革で、当時大人気だった為永春水の人情本が世を惑わせ、
    好色のものすらあるとして、遠山景元は版木の取り上げを命じ、燃やし
    た。これに危険を感じた曲亭馬琴は、世界で最も長いと言われている
    長編小説南総里見八犬伝を突如切り上げることにし、話を完結させた[1]。
    (Wikipedia)
     
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/4121005953
    ── 高田 衛《八犬伝の世界 ~ 伝奇ロマンの復権 198001‥ 中公新書》
     
    (20140815)
     

  • 思ったより読みやすかったのはひとえにルビのおかげかと。
    古文やってて良かったなぁと思いました。

    お話も人情溢れるようでいて、ばっさばっさと生首が出てくる時代物。
    信乃さんが男性だったことに驚きました。

  • おもしろい。ですが、すごく読むのが難しいですね。原本を、より読みやすくしてあるんだけど、それでもすごく読みづらいです。初心者にはお勧めできませんね。いくつか読んだことがある方にはおすすめ。
    でも、それでもぜったいに読んだほうがいいという素晴らしい内容。

  • 関東、館山、関東地方、千葉などを舞台とした作品です。

  • 物語好きな僕としてはイチオシの本ですね。
    全10冊ですがまとめて読みましょう。

  • 小学校高学年の時に読んだシリーズ。
    当時好きだった某少女漫画の原作者が「この本を参考にした」と書いていたので、図書館で探したら・・・・

    何コレ、ふっるー。

    たぶん、社会の授業で習う前に読んだと思う。
    源氏物語もこんなシリーズで読んだから、そんなに抵抗はなかった。
    けど。
    かーなーり!斜め読みしました。が、この単行本シリーズで読破。
    とても同級生には薦められなかったけど(設定から超SF)、挿絵もあって楽しめました。
    近年漫画になっているものを立ち読みした時には、「もっと早くだしといてくれよ!」と思ったり・・・(苦笑)
    でもこれでよかったのかも。
    活字のみで想像する力、私はこの本で教えてもらいました。

  • 岩波文庫で全十巻。隠微の物語。

  • 里見義実が結城合戦を落ち延びて〜犬塚信乃と犬川荘助が義兄弟の契りをむすぶまで。八犬伝は主人公の世代交代がありますね。それにしても長い伝奇小説…馬琴の脳内構造どうなってんの?八犬士は2人しか出てきません。まだまだ物語の序曲といった感じ。番作自害シーンの信乃(女装)はエロすぎます。

  • 結構苦労しながら読んだ作品。小さい頃から大好きな話だったけど、本編を全く読んだこと無かったので読んでみれば、これがまたわくわくしながら読ませていただきましたー。

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著者プロフィール

1767年生まれ。江戸時代後期の作家。1814年から28年をかけて全98巻、106冊の「南総里見八犬伝」を完結させた。1848年没。

「2016年 『南総里見八犬伝(三) 決戦のとき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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