東海道中膝栗毛 上 (岩波文庫 黄 227-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003022719

感想・レビュー・書評

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  • ご存知、弥次さん喜多さんの道中記。いつか読もうと思いながらようやく買ったあとも、膨大な注釈と細かい文字に腰が引けて、しばらく積んでました。しかしいざ読みはじめればもちろん面白い!

    上巻の収録は「発端」と、初編(江戸から箱根まで)、二編上(箱根から蒲原まで)二編下(蒲原から岡部まで)、三編上(岡部から日坂まで)三編下(日坂から荒井まで)、四編上(荒井から赤坂まで)四編下(赤坂から桑名まで)

    興味深いのは「発端」。実はこれ、書かれたのは本編より後。本編は弥次さんと、居候の喜多さんがお伊勢参りに旅立つところからいきなり始まるので、つまり「発端」は二人の出会いから旅立ちにいたる事情を描いた、今でいうスピンオフ的なもの。

    二人の出逢いについてこの発端では、「弥治唯の親仁なり、喜多八これも駿州江尻の産、尻喰観音の地尻にて生れたる因縁によりてか、旅役者花水多羅四郎が弟子として、串童(かげま)となる。されど尻癖わるく、其所に尻すはらず、尻の仕廻は尻に帆をかけて、弥治に随い出奔し、倶に戯気を尽す而巳。(30頁)」とあり、さらに弥次さんが「旅役者華水多羅四郎が抱えの鼻之助といへるに打込み、この道に孝行ものとて、黄金の釜を掘いだせし心地して悦び、戯気のありたけを尽し、はては身代にまで途方もなき穴を掘明て留度なく、尻の仕舞は若衆とふたり、尻に帆かけて府中の町を欠落ちするとて(33頁)」とあり(のち鼻之助は元服して喜多八となる)、つまりそもそも弥次さんは歌舞伎役者の弟子で陰間だった喜多さんの、客だったわけで、まあひらたくいえば二人は同性愛の関係。

    そんなわけなので、二人は結構年齢差もあり、その後いろいろあって数年経て、旅への出発当時、弥次さんは数えで50歳、喜多さんは30歳。親子ほども違うんですね。性格的には、若い分喜多さんのほうが短気で喧嘩っ早く、弥次さんのほうがやや大人なので教養もあり落ち着いているが、基本的には江戸っ子らしく気が短い。もともと同性愛関係にあったものの、どちらも両刀使いなのか旅先では宿場宿場で女郎を買うような話も多い。

    道中記は、旅のガイド(名物紹介)的な部分もありつつ、基本的にはドタバタコメディ。行く先々で、ちょっとした騒動に巻き込まれたり引き起こしたり。そして地名とひっかけたダジャレのような一首を読んで面白がっている二人。喧嘩っ早いしケチだし、けして人間の出来た二人ではないのだけど、失敗しても面白がり、助け合ったり陥れあったり、凸凹珍道中。

    文章自体は江戸時代(1802年:享和2年~1814年:文化11年)に書かれたものなので、さすがに注釈の助けを借りないとすらすらは読めませんが、慣れてくれば少しペースもあがり、現代のわれわれがそのまま使っている言葉もあれば、そんなところに語源があったのか、というような発見もあり。なかなか楽しいです。

  • 図書館で借りた。
    江戸時代に十返舎一九によって書かれた”滑稽本”。栗毛とは馬のことで、タイトルを意訳すれば「東海道を馬に乗らずに歩いた旅物語」とでも言うだろうか。
    先日、松尾芭蕉の『おくのほそ道』を読んだが、あちらは章によって漢文のごとく漢字びっしりだったり、かな文字多めの章だったりしたが、本書は全編にわたってセリフが多く、かな文字多めだ。そのセリフも鉤括弧で始まるが、"括弧閉じ"が無いのが独特な雰囲気。
    また東海道が冠しており、地名もところどころ出てくるものの、『おくのほそ道』ほど土地を感じさせない。あくまでメインは人の物語と感じた。
    上巻は江戸から、名古屋まで行き桑名への船旅まで。

    読んでウフフと微笑むほどの当時のセンスとその読解力は私には無いかな。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/701864

  • 著者:十返舎一九(1765-1831、静岡市葵区、戯作者)
    校注:麻生磯次(1896-1979、山武市、日本文学)

  • ブックオフ 2019/05/22

  • 『やじ×きた 元祖・東海道中膝栗毛』(原案)
    BSテレ東/毎週土曜放送
    2019年4月6日から

  • 新書文庫

  • 駅二つ乗り過ごしました、ここまで夢中で読んだ本ないかも。面白い。
    2人のどうしようもないダメンズな可愛さったら不変だなあ

  • 江戸時代の本だが読みやすいし面白い。

  • お下劣すぎてつらい。

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