元禄世間咄風聞集 (岩波文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (340ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003027011

感想・レビュー・書評

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  • 1994年刊行。

     タイトル通り、江戸時代元禄期、殿様(安藤出雲守)に話して聞かせる目的で、巷で話題になっているゴシップネタ等を集積・記録したもの。

     非常に広範だ。
     「松の廊下」が書かれているのは勿論(ただし、何故か、吉良邸討ち入りは残っていない)、各地の喧嘩、刃傷沙汰。さらに、妻の実家の財産の横領といった家族争議や、町人娘の大名への妾出しを横恋慕した役者が妨害する話、ファンである歌舞伎役者のために腕に四か所の刀傷を作って舞台で披露・自慢する浪人者の話、あるいは坊主が自身の姦通の露見回避のために浪人を使って殺人を犯すなどの件など、下世話なものから落涙間違いない悲恋沙汰まで集積されている。


     これらを集積する上で、収集者の野次馬根性全開の様子が見て取れる。

     その他にも、多額の借財を負った紀州家その他の大名。花見や酒、奈良晒などの利用が一般化してきたなどといった生活向上の実際など、元禄期の特徴も垣間見える。

     ところが、その一方で、狐に取りつかれたり、化かされたりする話がある等、前近代の特徴もまた兼ね備えている。これもまた楽しい。

     候文なのですらすら読むのは難しく、表題替わりの総目録を見て、興味あるものを注読した。その他は斜め読み。

  • 元禄七(一六九四)―元禄一六(一七〇三)年の間の江戸の噂話を書き留めた書.浅野内匠頭の刃傷沙汰をはじめ,生類憐み令にふれた科で処刑された事件,旗本の乱心,姦通などの醜行,落語「野晒」の原話などを収める.浮世草子等の源泉となった雑記類の多くが散逸した中では希有の生残りである.元禄時代の裏面を語る興味深い資料.付・索引.

  • 黄270-1

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著者プロフィール

国文学研究資料館名誉教授。『大東急記念文庫善本叢刊』(共編、汲古書院)、『八文字屋本全集』(監修、汲古書院)、『近世文学考』(汲古書院)、『西鶴をよむ』(笠間書院)、『浮世草子の研究』(おうふう)、『浮世草子新考』(汲古書院)。

「2017年 『江戸時代の社会・風俗がわかる 浮世草子大事典』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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