怪談 牡丹燈籠 (岩波文庫)

著者 : 三遊亭円朝
  • 岩波書店 (2002年5月16日発売)
3.71
  • (13)
  • (30)
  • (26)
  • (1)
  • (2)
  • 本棚登録 :208
  • レビュー :33
  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003100318

作品紹介

旗本の娘お露の死霊が、灯篭を提げカランコロンと下駄を鳴らして恋人新三郎のもとに通うという有名な怪異談を、名人円朝の口演そのままに伝える。人情噺に長じた三遊亭円朝が、「伽婢子」中にある一篇に、天保年間牛込の旗本の家に起こった事実譚を加えて創作した。改版。

怪談 牡丹燈籠 (岩波文庫)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  •  カランコロン カランコロン

     下駄の音を響かせ旗本の娘の亡霊が愛しい男の元へと通う。
     先導する女中の亡霊の手には牡丹燈籠、ぼんやり光る。


    三遊亭円朝の口演を速記で写した本です。
    読者としては、本を読みながら江戸時代の登場人物像を頭に描くとともに、
    円朝の口演を寄席で聞いているように各登場人物の声色や状況説明を噺家の声で想像するという、二重に想像できる楽しみが。
    さらに速記術というものの記録としても興味深いですね。たまに矛盾がある(登場人物の年齢とか)は、速記のための記載ミスか?と思われるとか。

    「牡丹燈籠」といえば、恋人に冷たくされ死んだ女の亡霊が男の元に通い祟り殺す、
    …というような認識だったのですが、通しで読んでみると随分印象が違いましたね。
    大元の話である中国の「牡丹燈記」を円朝が江戸時代を舞台に膨らませたもので、主従の忠義あり、仇討あり、人情あり、裏切りあり、母子再会ありと盛りだくさん、幽霊話はほんの一部、しかも実は…という、本当に怖いのは人間だねえというお話。裏切りやら殺傷沙汰やらには、これは相当悲惨な終わり方か?!と覚悟したけれど一応因果応報と言うか悪行には報いが下り、忠義の心は報われるという幕引きでありました。全体的に女は報われないな~。f(^^;)

    物語の舞台が地図上で分かる範囲で、地名が出てくるとどうやって移動したのかな?など想像しながら読みました。
    舞台の旗本屋敷って私の会社の近くみたいです。旗本屋敷の地名が出てきたときには笑ってしまった(笑)

  • 千年読書会、2014年10月の課題本でした。。

    落語の名人、三遊亭円朝による創作落語、
    明治時代の時、最新技術であった速記で記録されたもの。

    意外なほどに“怪談”要素は薄く、
    どちらかというと“仇討”が主な要素でしょうか。

    圧巻なのは、劇中の登場人物の多さと、
    彼らの関連性の複雑さ、“奇縁”とはよくいったもの。

    意外な所で意外な人物がつながり、
    “因果応報”をも考えさせてくれる内容。

    江戸時代の“匂い”も十分に漂っていて、
    かの有名な“カランコロン”の雰囲気もなかなか。

    そんな中、一番“怖かった”と感じるのは、、
    “生きている人間の悪意”、なんて風に。

    最後は大団円となるのが救いですが、、
    幽霊の方がよほど“純粋”だとも感じました。

    よくもまぁ、これだけの悪意が集まるものです。

    江戸の匂いが豊かに残っていたであろう明治、
    これは“生”でも聴いてみたかったですねぇ、、

    落語、未だに経験はありませんが、是非試したくなりました。

  • 当時、外国から入った速記によって書かれた圓朝作の怪談噺。二葉亭四迷らの言文一致運動に影響を与え、小泉八雲が訳した初の日本語の怪談となった。
    前半は、新三郎とお露の幽霊譚とお露の父である飯島平左衛門家の騒動が交互に語られ、後半、ふたつの物語が出合い仇討へとつながる。

    「語り」のうまさは、続きが気になり、一気に読ませてしまう面白さ。この引っ張り方は、ひとむかし前の「ジェットコースタードラマ」のよう。
    怪談というが、幽霊が出るのはお露が出てくる有名な「お札はがし」の場面のみ。
    しかも、それも、後で半蔵が、
    「実は幽霊に頼まれたと云うのも、萩原様のあゝ云う怪しい姿で死んだというのも、いろ/\訳があって皆みんな私わっちが拵こしらえた事」と告白・・・。
    え?幽霊はでっち上げ?

    スカッとする復讐劇かというと、最後に孝助が源次郎、お國を仇討する場面、「…なぶり殺しにするから左様心得ろ」と顔を縦横にズタズタに切る。凄惨で非道く後味は悪い。


    今回再読して気がついたのが、新三郎のところへ、お露の幽霊があらわれるシーンの下駄の音。
    最初の登場では、「カラコン/\」。次に登場するシーンでは、「カランコロン/\」。
    最初、お露が幽霊だとはわからないために軽く、お露が幽霊だと気付いた後には重たい。
    落語で聴いたときは、違いあったかなぁ・・と、youtubeで円生、志ん生、小朝らの噺を確認すると特にそこで違いを出してはいない。これは、「幽霊噺」として聴き手も了承しているので「カラーン、コローン」と陰にこもった音での表現するしかないのだろう。

    岡本綺堂が14歳のころ、速記本で読んで、そんなにこわくない、と高をくくって寄席に圓朝の噺を聴きにいったら、「円朝がいよいよ高坐にあらわれて、燭台の前でその怪談を話し始めると、私はだんだんに一種の妖気を感じて来た。」で、終わった後、「暗い夜道を逃げるように帰った」という圓朝の語り、聞いてみたいものだ。

  • これはすごいな。小説じゃなくて口述したものを速記したという内容だから。この噺を連続ドラマみたいに口演したんだと思うにつけすごい。牡丹灯籠がでてくるのはちょっとだけだし足がないのに駒下駄の音をならしてやってくる幽霊がでてくるのもちょっとだけなんだけどとても怖い。ものすごくて怖い。

  • 齋藤孝著『大人のための書く全技術』40冊―21

    明治時代の言文一致運動に重要な役割を果たした本。
    二葉亭四迷が『浮雲』を書く時に参考にしたのが、三遊亭円朝の落語の速記録だった。
    明治時代から現代にいたる日本文学の歴史は、三遊亭円朝の落語なくしては語れない。

  • 七月大歌舞伎の予習に。
    同じ円朝の「真景累ヶ淵」に比べると話もシンプルだし、怪談要素も少なめ。かわりに舞台にした時の見せ場は多そう。

  • 怪談のくせに複雑(おもしろかったです)

  • 立川志の輔さんの「牡丹灯籠」が素晴らしいので、その元ネタとなっているこの本を読むことにした。15日間かけて円朝さんがかたったという大作、見事だと思った。
    志の輔さんの噺を最初に聴いたときに、これは、日本のシェークスピアだと感じた。

  • 落語家・三遊亭円朝の怪談噺。
    前半は怪談らしく牡丹燈籠を掲げた幽霊が出ておどろおどろしいですが、後半は手に汗握る仇討ち人情噺です。怪談と思い込んで読み進めていたので、いい意味で裏切られました。
    これだけの物語を頭の中で組み立て、幾度かに分けて話すのは、並大抵の頭脳ではできないでしょう。
    速記術の歴史としても、この本は貴重なものだそうです。

  • 最近見た映画の備忘録。

    「シネマ歌舞伎・怪談 牡丹燈籠」。2007年に東京歌舞伎座で上演した舞台を収録したもの。155分(途中休憩あり)。

    歌舞伎は昔から好きだし、だからシネマ歌舞伎も好きです。安いし。
    今回は、兵庫県塚口の、「塚口サンサン劇場」で観ました。自宅からは1時間かかりません。

    さて内容は、落語でおなじみの三遊亭円朝作・怪談牡丹燈籠です。
    「怪談牡丹燈籠」「真景累が淵」は、どっちも円朝作で、どっちも恐ろしく長い話です。
    もともとは明治時代とかに、連続10日間とか、寄席で円朝が毎晩しゃべった内容ですね。
    CDで聞くと(全貌を聞けるのは「円生百席」しかないと思いますが)、どっちも多分全部を聞くのに8時間くらいかかるのでは。

    その中でも、牡丹燈籠は「お札はがし」が人気があります。小朝でCDも出てます。
    この舞台は、「お札はがし」と「おみね殺し」を舞台化してますね。
    牡丹燈籠自体は、もっともっとめくるめく大河ロマンで、とにかくヒトの欲と弱さと恐怖が連鎖して次々に人が死んでいきます。
    それは「真景累が淵」も一緒なんですけど。で、手に汗握って怖いけど面白いんですね。

    さて、この舞台/映画ですが、「シネマ歌舞伎」全体そうですけど、そりゃ映画って考えればやや冗長です。
    でもいいんです。シネマ歌舞伎ですからね。
    この映画について言えば、片岡仁左衛門、坂東玉三郎、坂東三津五郎、中村七之助、片岡愛之助などが出てます。
    でもまあ、圧倒的に、仁左衛門。そして玉三郎ですね。
    あらすじをくどくどはもう、書きませんけど。
    貧乏夫婦の仁左衛門、玉三郎。
    幽霊の手引きをして、人ひとり殺してしまいます。
    まずコレをやるかやらないか、の葛藤。滑稽と深刻と恐怖と欲望。人間臭い表現が、もうまあ、素晴らしい。芝居が上手いんですね。
    後半は出世して金持ちになっている。仁左衛門は女遊び、玉三郎は寂しくて。
    口喧嘩から、後ろくらい過去がばれそうになって。
    なんのかんの、最後は仁左衛門が玉三郎を殺しちゃう。
    このあたりもずっと、浮気、嫉妬、秘密、怒り、嘘、ごまかし、泣き落とし、口説き、愛情、信頼、疑惑、殺意、そして恐怖と後悔・・・。
    もう、怒涛の人間表現ですね。
    最終的に、とにかくこの二人が二人で話しているところが見れればそれで良い、っていう感じの舞台です。
    歌舞伎的様式がどうこうとか、そんなレベルじゃない、演じること、演劇、ですねえ。

    三津五郎さんが、ナレーション代わりに三遊亭円朝の役で高座の感じで落語を演じます。
    これが堂に入ってますね。三津五郎さんは、仁左衛門と玉三郎の鬼気迫る芝居合戦に一石を投じてました。
    幽霊美女役の七之助さん、二枚目男性役の愛之助さんは、この映画については、役柄をこなしてるだけで、両巨頭に勝る印象は出せませんでしたね。まあそういう役回りですね。
    という訳で、とにかく仁左衛門が玉三郎が凄かった。深刻なだけじゃなくて、笑わせてもくれました。
    良かったらおすすめです。

    ちなみに他にシネマ歌舞伎でおすすめなのは、
    「法界坊」がとにかく一番ですね。平成中村座ですからね。
    コレは、必見ですよ。機会があれば。

全33件中 1 - 10件を表示

三遊亭円朝の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

怪談 牡丹燈籠 (岩波文庫)に関連する談話室の質問

怪談 牡丹燈籠 (岩波文庫)に関連するまとめ

怪談 牡丹燈籠 (岩波文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする