- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003101087
感想・レビュー・書評
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横町の奥の崖下にある暗い家で世間に背をむけてひっそりと生きる宗助と御米。「彼らは自業自得で、彼らの未来を塗抹した」が、一度犯した罪はどこまでも追って来る。彼らをおそう「運命の力」が徹底した映像=言語で描かれる。
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宗助と御米は世間から見捨てられた夫婦だ。それは二人にとって覚悟の上でのことであった。 宗助の終わりの言葉「うん、然し又ぢき冬になるよ」はあまりに悲しい。
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これがすごくすき。
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夏目漱石の前期三部作、三四郎、それからに続く最終作の位置づけ。
ある事情により俗世を離れ崖下の家でひっそりと暮らす宗助と御米。
過去も未来もない二人がその日その日を緩やかに生きていく。
そんな二人の時間に一つの変化が訪れる。変化の中を生きて行くふたりを書いた退廃的でそれでいてどこか羨ましい。
ゆるやかな日々に羨望を抱く小説でした。漱石の作品の中でも随一だと思います。 -
要領を得ない宗助に釈然としなくもなくない。
満足度7- -
巡る巡る繰り返し。
喜怒哀楽を伴いそれはただただ繰り返す。
冬が過ぎ春が来てもまた冬になる。
苦しいこともない、愛しいこともない、ただの繰り返し。
それなのに苦しい、それなのに愛しい。 -
ここ最近、読書にいそしむなか、前回読んだときよりも
深い感銘を受けた最初の一冊。
前のときは前期三部作の中でも、只管暗い、地味・・という
イメージでしたが、今回は「それから」よりも面白いかも
と思ってしまいました。
たんたんとした日常の中に、繰り返すことの美しさを見ました。
それにしても大根のお漬け物とお茶漬けが美味しそう。 -
結局、くぐることで簡単に浄化してくれるような門はなく、
自らの背負うべきものは、背負いながら生きていくしかない。
逃げるのもひとつ、挑むのもひとつ、どちらにしても自らの過去を消し去ることはできない。 -
080419(m 080421)