門 (岩波文庫 緑 10-8)

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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003101087

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  • 横町の奥の崖下にある暗い家で世間に背をむけてひっそりと生きる宗助と御米。「彼らは自業自得で、彼らの未来を塗抹した」が、一度犯した罪はどこまでも追って来る。彼らをおそう「運命の力」が徹底した映像=言語で描かれる。

  • 宗助と御米は世間から見捨てられた夫婦だ。それは二人にとって覚悟の上でのことであった。 宗助の終わりの言葉「うん、然し又ぢき冬になるよ」はあまりに悲しい。

  • これがすごくすき。

  • 漱石前期三部作のトリを飾る作品『門』。

    世間から冷たい目で見られる覚悟を互いにしてまで不倫関係となった代助と千代子。その二人は今後どう生きていき、どう世の中を渡り歩いていくのか。その答えが『門』にあると、『それから』の解説では述べられていた。

    自分自身その事が気になっていただけあって、「門=不倫後の話」を頭の中で繰り返しつつ読み進めていった。けど、どこにも見当たらない。気付けば残るページは1/3。ここから先にようやく出てくるのかと思いきや、迫りくる事態に対処できる自信をつけるために参禅し、戻ってきたら無事暗雲は過ぎ去っていきましたとさ、めでたしめでたし。気付けば注訳のページになっていた。

    宗助とお米が不倫関係であることに全く気付かなく、解説を読んでそのことを知った時は衝撃が走った。言われてみれば確かにそのようなくだりがあったかもしれないと思う程度のおぼろげな記憶しか残っていなかった事実を再認した。おそらくその箇所は現と夢の境を彷徨っている中読んでいたのだろう。それらしい記憶もあり、今では納得できる。

    今度読み直す時は宗助とお米の関係に特に注意し、心の底から『それから』の続編であると実感したい。

  • 夏目漱石の前期三部作、三四郎、それからに続く最終作の位置づけ。

    ある事情により俗世を離れ崖下の家でひっそりと暮らす宗助と御米。
    過去も未来もない二人がその日その日を緩やかに生きていく。

    そんな二人の時間に一つの変化が訪れる。変化の中を生きて行くふたりを書いた退廃的でそれでいてどこか羨ましい。


    ゆるやかな日々に羨望を抱く小説でした。漱石の作品の中でも随一だと思います。

  • 要領を得ない宗助に釈然としなくもなくない。
    満足度7-

  • 巡る巡る繰り返し。
    喜怒哀楽を伴いそれはただただ繰り返す。
    冬が過ぎ春が来てもまた冬になる。

    苦しいこともない、愛しいこともない、ただの繰り返し。
    それなのに苦しい、それなのに愛しい。

  • ここ最近、読書にいそしむなか、前回読んだときよりも
    深い感銘を受けた最初の一冊。
    前のときは前期三部作の中でも、只管暗い、地味・・という
    イメージでしたが、今回は「それから」よりも面白いかも
    と思ってしまいました。
    たんたんとした日常の中に、繰り返すことの美しさを見ました。
    それにしても大根のお漬け物とお茶漬けが美味しそう。

  • 結局、くぐることで簡単に浄化してくれるような門はなく、
    自らの背負うべきものは、背負いながら生きていくしかない。
    逃げるのもひとつ、挑むのもひとつ、どちらにしても自らの過去を消し去ることはできない。

  • 080419(m 080421)

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著者プロフィール

1867(慶応3)年、江戸牛込馬場下(現在の新宿区喜久井町)にて誕生。帝国大学英文科卒。松山中学、五高等で英語を教え、英国に留学。帰国後、一高、東大で教鞭をとる。1905(明治38)年、『吾輩は猫である』を発表。翌年、『坊っちゃん』『草枕』など次々と話題作を発表。1907年、新聞社に入社して創作に専念。『三四郎』『それから』『行人』『こころ』等、日本文学史に輝く数々の傑作を著した。最後の大作『明暗』執筆中に胃潰瘍が悪化し永眠。享年50。

「2021年 『夏目漱石大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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