- Amazon.co.jp ・本 (140ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003101339
作品紹介・あらすじ
くれなゐの二尺伸びたる薔薇の芽の針やはらかに春雨のふる-俳句革新運動における写生論を短歌に適用して、明治短歌革新の急先鋒に立った子規(1867‐1902)の歌風は、多様な題材を自由に歌い、子規文学の頂点の一つをなす。全歌集『竹乃里歌』より短歌840首、旋頭歌6首を厳選した子規歌集の決定版。初句索引を付す。
感想・レビュー・書評
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子規のこと心から敬愛してるんだけど、実のところ写生がよく分からない。私は彼の短歌のうちでも写生らしくない歌、それも「足たたば」と「われは」の連作がすげえ好きなのだ。もはや子規の短歌が好きと言っていいのかどうかも分からないが、これらの歌からは病中の子規の率直で衒いのないところがひしひしと感じられて、読んでるともう、のぼさーーーん!ってなる。
たとえば『足たたば北インヂアのヒマラヤのエヴェレストなる雪くはましを』という歌、重い病気になったときせめてもう一度だけでも故郷の野山の土を踏みたいとかならよくある話、元気なときにできていたことをまたできたらっていう望みはわかる、でも子規居士エヴェレスト登ったことないだろう、そもそも他の健康な日本人たちだってエヴェレストなんて一生目にしないまま死ぬんだよ、それをまあさらっと世界最高峰に到達してあまつさえそこに積もる雪を食ってみたいなどと嘯く、まったくぶっとんだ人間だ、見上げたもんだ、そんな子規が私はほんとに好きなのです。
どんなことも歌の上で想像するだけなら誰だってできるだろうと思われるかもしれないが、試みに何年も布団に縛り付けられてみるといい。身体の不自由の中で精神を自由に保つことは非常に困難であると私は知ったので、彼への尊敬の念はいや増すばかりである。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
瓶にさす藤の花ぶさみじかければたたみの上にとどかざりけり (明34)
「竹乃里歌」を底本とし、編年で、題・詞書とともに840首が掲載されています。
藤の花の歌の詞書を読みたくて、古書店の文庫本の棚から見つけ出してもとめました。 -
正岡子規の歌は写生を基本としており、自然の花々、鳥、風景を自由に歌っている。宿痾の病と闘い、その苦闘の跡はこのような歌に残されている。
春雨のけならべ降れば葉がくれに黄色乏しき山吹の花 -
1882(明治15)年から1902(明治35)年にかけての子規の短歌ばかりを集めたもの。
どれも完全に古語の作品で、最近は古文の学参も買って再勉強を始めたものの、私にはまだまだ難しかった。古語辞典も引きながら読んだが、それでもよく分からない箇所が多い。和歌は他のジャンルでは使われないような語彙が使用されるという伝統があるそうで、これに取り組むには、まずはちゃんと注釈・現代語訳・講釈のついた万葉集辺りに真剣に取り組んで古語に慣れる必要があるようだ。
そんな感じで本書は鑑賞するには、無学な私にとって難しかったが、こんど子規の歌論なんかも読んでおきたいと思う。 -
岩波文庫から改版されたので、買って持ち歩いています。
コンパクトかつ読みやすい!
子規と言えば俳句と言う風潮あるものの、正直虚子選の句集よりもこっちの土屋文明選の歌集の方が子規の優しさ溢れる作品が沢山載っている気がします(個人の感想です) -
山吹、牡丹、梅など草花の歌が多いのは、先生が病床から、ずっと庭を眺めていたからだろうか。
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著者:正岡子規(1867-1902、松山市、俳人)
編者:土屋文明(1890-1990、高崎市、歌人) -
生活の楽しさが伝わってくる。