墨汁一滴 (岩波文庫)

著者 :
  • 岩波書店
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本棚登録 : 158
レビュー : 17
  • Amazon.co.jp ・本 (170ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003101346

作品紹介・あらすじ

子規(1867‐1902)の場合、その随筆は、まさしく彼の「骨髄」と言っていい。晩年の随筆の一つであるこの『墨汁一滴』の場合もまた然り。そこでは観察と思考と回想と幻想が相集ってなまなましい批評的場を形成し、子規という人の全体が、実に自然にのびやかに立ち現われてくる。子規随筆の真骨頂を示す書。

感想・レビュー・書評

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  • 正岡子規が新聞に連載していた随筆集。
    いわゆる子規の随筆三部作では一番最初の巻であるため、病状もそこまでひどくないだろうと思っていたら、「座ることはともあれ、せめて1時間でも苦痛なく安らかに臥すことができればどんなに嬉しいだろう」と言っていて涙。

    とはいえ、子規の創作に対する信念や頑固っぷりも十二分に楽しめる随筆だった。
    中には、新聞連載なのにそこまで言っていいのか? と心配してしまうくらい、痛烈に個人を批評しているものもある。時代が違ったのだなぁ。今だったら炎上必須である(笑)。

    この作品を読んで、私は子規の事を本当に大将気質だったのだな、と思った。融通が利かず、しかしマメで、志に燃えやすい。
    子規が結核なのに日清戦争で従軍記者となり、案の定喀血して危篤状態で帰国したというエピソードは、ものすごく彼らしいと思う。誰も敵わない、まさに大将。

    しかし私は、子規の短歌が非常に好きだ。彼の歌には彼が表に出そうとしない繊細さと、しっとりした情感がある。
    皮肉屋だと言われていたそうだが、歌を読む限り、彼の視線には皮肉や厭世はあまり感じられない。クリアな目を持っていたというより、やはり根が素直な人だったのだろう。

    松の葉の葉毎に結ぶ白露の置きてはこぼれこぼれては置く
    ガラス戸のくもり拭へばあきらかに寝ながら見ゆる山吹の花
    ーー正岡子規

  • 子規の病床での随筆。というより今でいうならブログっぽいなと。

    達観してるよなぁ。調べてみたら初めて喀血したの私より若い時だ。そりゃ達観もするか。死を思っていても湿っぽくならない子規。淡々と死を受け入れている。
    そして何が面白いって同時代人の情報が。漱石が遊びにきたり明星が廃刊になったって書いたら与謝野さんから否定の手紙がきたり。交流がなくても噂程度で聞いてたりする人の話も。睦奥宗光や板垣退助。幕末好きだから幕末に活躍した彼らが明治の人にはどう見られてたかわかるのが楽しい。

    病床から静かに世間を見ている子規さんは素敵。流石は漱石の友達だ。

  • 文字にしても絵にしても書くことが好きな人、筆を持つのが好きな人。痛い痛い、閻魔様にお迎えを頼んだりもするが、興味、探求心旺盛で病床にあることを忘れさせる光がある。病であってもちゃんと生きている。

  • 俳論、画論が面白い。

  • 正岡子規が痛い、痛い云っているのが可哀そう、でもその中でも冷静な随筆すばらしい!

  • 子規はもっともっと生きたかっただろう。悔しかっただろう。そして残りわずかな生を歯をくいしばってではなく、呻き、喚き、七転八倒(ほんとうは寝返りもできないのだが)しながらも作品を紡ぎ続けたのだ。「試に我枕もとに若干の毒薬を置け。而して余が之を飲むか飲まぬかを見よ。」のような激烈な意志を示す!これはどうだ!「一 人間一匹 右返上申候但時々幽霊となつて出られ得る様以特別御取計可被下候也 明治三十四年月日 何がし 地水火風御中」

  • 病牀六尺の前。
    まだ体調がましだったせいか、文芸論がさらに活発。
    子規の鑑賞文を多く読むうちに、俳句や短歌の面白みが段々にわかってきた気がする。

  • 詩はユーモアがあるものも多くて、その場の光景が浮かぶよう。
    俳句に対する批評は感情的で攻撃的、
    日々の生活をつづった内容からはさびしがりで食べるのが大好きな正岡子規が思い浮かぶ。

    この人、病気じゃなかったら全然作風ちがったんだろうなぁ。

  • 子規(1867‐1902)の場合、その随筆は、まさしく彼の「骨髄」と言っていい。晩年の随筆の一つであるこの『墨汁一滴』の場合もまた然り。そこでは観察と思考と回想と幻想が相集ってなまなましい批評的場を形成し、子規という人の全体が、実に自然にのびやかに立ち現われてくる。子規随筆の真骨頂を示す書。

     2011年2月19日読了

  • 病床の正岡子規の随筆。ちょっと難しかったけど、やっぱりいいものはいい。

    ここまで苦しみもがきながらも、彼の研ぎ澄まされた感性と、生きることへの喜び、美意識の高さには本当に感動しました。

    表紙や本文の空白に埋まっている小鳥の挿絵などからそれが伝わってきます。

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