- Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003101384
感想・レビュー・書評
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子規の四大随筆というのがあるそうで、これはその1作目。1896年に新聞『日本』に連載されたもので、あとの3作(『墨汁一滴』、『病床六尺』、『仰臥漫録』)よりも若々しい印象を受けた。ベースボールの詳細な紹介、果物評など、読みどころは多い。樋口一葉への高評価、伊藤博文と大隈重信の比較、芭蕉、西鶴、近松の比較など、人物評は特にシャープ。
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ベースボールの紹介で有名。
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薄い書物でありますが、これがまことに面白い。正岡子規後期の随筆作品であります。
文庫カヴァーの説明によると、表題は子規が愛用してゐた中国産の墨の銘ださうです。
話題は多岐にわたり、政治家や文学者を論じ、ベースボールを愛し、俳句の剽窃とは何かを論ずる。その断定調に笑つてしまふこともあります。
伊藤博文は「利口なやうで愚」、大隈重信は「行届いたやうで行届かぬ」と評し、「人身攻撃」の妥当性を説く。
西鶴・近松・蕪村の3人を元禄の三文学者と称しながら、それぞれの欠点をあげつらふ。俳句で酷似する作品が多いことを取り上げて、「暗合か剽窃か」を一つひとつ検証し、優劣を論ずる(読み応へあり)。
世評や権威とは無縁の子規だから、読んでゐて痛快であります。
しかし本書で目をひくのは、やはりベースボールを紹介する文章でせう。この薄い本の中で10ページ近くも費やしてゐます。しかも図解入り。
「ベースボールに要するもの」として、「凡そ千坪ばかりの平坦なる地面(芝生ならばなほ善し)皮にて包みたる小球(直径二寸ばかりにして中は護謨、糸の類にて充実したるもの)投手が投げたる球を打つべき木の棒(長さ四尺ばかりにして先の方やや太く手にて持つ処やや細きもの)...」と丁寧に解説してゐます。が、当時の人は多分イメエヂが掴めなかつたことでせう...
しかし、岩波文庫も高くなつたものですな。この薄さで420円とは...
http://ameblo.jp/genjigawa/entry-11156602480.html -
特に、病が特に亢進した後に書かれた、12月以降の記事が心に迫る。
12月23日の京都を訪れた記事や、12月28日の果物の記事など、まるでその場で子規の話を聞いているかのような思いにさせられる。