二人比丘尼色懺悔 (岩波文庫 緑 14-5)

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  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (102ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003101452

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  • 『二人比丘尼色懺悔』と『新色懺悔』の二部を収録。
    『色懺悔』は、二親を亡くし叔父に牽きとられた一人の若武者を繞る二人の比丘尼の邂逅の話。
    『新色懺悔』は、従弟との婚姻まであと三年と指折り数えていた矢先に親ほども違う老爺に見染められ、老爺が早く死ねば従弟と添えられると思いながら老爺に二親よりも長生きされ、気がつけば情愛がついていたという話。

    江戸までの勧善懲悪型の展開をやめ、浪漫主義にむかった近代小説の駆りとして有名な明治の作品。
    前者は仮名草子で後者は浮世草子の系統らしいが、自分にはその区別がつかない。ただ、二葉亭四迷が言文一致体に同じく貢献した『浮雲』はロシア文学からの影響を諸に受けているらしく、その意味では確かに肌色が違う。『色懺悔』の芳野と若葉、『新色懺悔』の73歳のお婆、この三人と『浮雲』のお勢はタイプとして全然違う。

  • 速読で読む習慣がついていたが、読み慣れない文で速読できず。ゆっくり読む喜びを久しぶりに感じられた。

  • 句読点の規則もまだ定まっていない日本語文章の過渡期を見る興味。英語文などに使われる疑問符感嘆符を流入して日本語文にくっつけたのだろうけど、それを初めて目にする日本人読者の反応を想像してみたりした。『新色懺悔』も悲恋話のはずなのに老夫様のせいで笑ってしまう。

  • 泉鏡花さんが読んだ時衝撃を受けたという紅葉先生の本。
    岩波版のではなく、新選名著復刻全集近代文学館という挿絵付のを読みました。
    一、奇遇之巻
    二、戦場之巻
    三、怨言之巻
    四、自害之巻
    という構成で文章は流麗華麗。
    二人の尼の想い人が実は……という展開に驚きました。
    邂逅の後、姉よ妹よと打解けた二人が真実を知ってどうなったのか、想像を掻き立てられます。

  • ある草庵に出逢った2人の尼が、過去の懺悔として語る悲話。

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