多情多恨 (岩波文庫)

著者 :
  • 岩波書店
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本棚登録 : 98
レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003101476

感想・レビュー・書評

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  • 言文一致体としては完成の域に入っているのかなと思う。これ以前のものは、なにか講談調というか芸人調で、余計な装飾も多かった。

    作品の内容としては、天涯孤独の男性が愛していた妻を失って嘆き悲しむ話です。
    このころの女性はみんなこんなに行きとどいた世話を夫に対してしていたのかと思うとびっくりします(苦笑)。卵を割るのも妻にしてもらっていたんでは、それは妻に死なれてはその先にっちもさっちもいかなくなるのは当然とも思えます。
    しかし、この男性に関しては、妻と言うよりも母親がほしかったのではないかと思われます。もし葉山さんのうちに子供がおらず、御隠居もいなかったらば、主人公にとっては理想郷であったろうし、はなはだ外聞は悪いことになっていたのかもわかりません。

    そういう意味では御隠居さんは大変よくできた常識的な方で、身をもって息子の家庭を守ったという意味でgood job!だったと思います。ただ小説的には盛り上がりのないものになってしまったかもしれません。
    まあ、どんだけ自分の妻を信頼し、また自分の父やこども雇い人達もいるとはいえど、あまり長いこと、独身男性を自分の家においとくのは好ましくはないよな~と思いました。

    また、お島さんは主人公(彼も悪い人ではありませんが)などよりももっとよい縁談があってしかるべきで、姉のあとに彼女を据えようとする姑の考えはちょっと私には理解できませんが。それだけお婿さんとして気に行っていたということなんでしょうか。

    主人公の方は悪い人ではないし、いろいろ同情すべき点があるにしても。やはりもう少し人間的に進歩すべきであろうし、そういう視点がないとやっぱりお話的には盛り上がりに欠けるのではないかと思いました。

  • 主人公は正直どうなのみたいな人なのだけれど、唯一の親友の人柄が最高で、その人によって主人公も人間的には誠実で実直なひとであるとわかるので、読み続けられるし、それぞれの人間に息が通っている。
    最初にあらすじを読んでどんなにドロドロしているかとおそるおそる読み始め、親友二人の中がこじれるようなことにはなってほしくないなーと心配しつつ読み進めても、四分の三までいってもまだ泣き通しで横恋慕する気配がない。おかしいな、とおもったら鮮やかに物事が進み、まるで現代小説のごとき玉虫色の着地点へ…
    全て読み終える頃には登場人物がみんな好きになっているから、読者に今後をゆだねる形であったのはほっとした。
    中身としては、「失った」主人公の視点からこの時代の円満な夫婦関係を描くことで、それを文化として肯定している形のようだ。

    しかしこの作者の文章の多彩さには感服する。
    解説が実に興味深い

  • 主人公は正直どうなのみたいな人なのだけれど、唯一の親友の人柄が最高で、その人によって主人公も人間的には誠実で実直なひとであるとわかるので、読み続けられるし、それぞれの人間に息が通っている。
    最初にあらすじを読んでどんなにドロドロしているかとおそるおそる読み始め、親友二人の中がこじれるようなことにはなってほしくないなーと心配しつつ読み進めても、四分の三までいってもまだ泣き通しで横恋慕する気配がない。おかしいな、とおもったら鮮やかに物事が進み、まるで現代小説のごとき玉虫色の着地点へ…
    全て読み終える頃には登場人物がみんな好きになっているから、読者に今後をゆだねる形であったのはほっとした。
    中身としては、「失った」主人公の視点からこの時代の円満な夫婦関係を描くことで、それを文化として肯定している形のようだ。

    しかしこの作者の文章の多彩さには感服する。
    解説が実に興味深い

  • 「多情多恨」。辞書でこの言葉を知って、日本語っていいなぁ、と嬉しくなりました。

    源氏物語に影響受けた物語です。分厚いページ数は、侘しい主人公がめそめそしてる場面が大半ですが、その心理描写が巧で、飽きることなくひきこまれました。明治中期の文体は、読みやすくて、お洒落なんですね。

    もうちょっと大人になってから、また読みたいと思います。

  • 主人公の鷲見柳之助は頑固で偏屈で陰気だが、どこか天然。大好きな妻を亡くした悲しみに浸り、女々しく毎日泣き暮らしている。見かねたただ一人の友人・葉山は柳之助を葉山家に居候させる。人を多く好かぬ、また好かれない柳之助は葉山の妻・お種にも反発するが、ある夜お種の健気で優しい面に触れてから恋心を抱きはじめてしまう。
    最初は偏屈な柳之助に苛々したが、お種にデレていき大胆な行動に及んでしまう過程が面白いと思った。決定的な浮気は起こりそうで起こらず、正直だんだん焦らされている気分になってくる。だがそれがたまらない…?
    軽妙洒脱な文体に惹きつけられ、読まされるのを感じた。葉山のキャラクター、江戸趣味な言語センスが良い味を添えている。

  • 人の心の機微が、とても細やかに鮮やかに書かれていると思いました。
    文体というか、全体の雰囲気に懐の深い印象を受けます。
    ラストは解説の通りどうとでも取れますが、きっともどかしいような微笑ましいような三人の関係が続くのでしょう。
    そうあってほしいと思いました。

  • 11/16
    金色夜叉とは大違い。
    悲嘆にくれ続ける男。

  • 後で書きます。

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