不如帰 (岩波文庫)

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  • 岩波書店
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レビュー : 36
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003101513

感想・レビュー・書評

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  • はからずも涙してしまった

  • 明治期最大のベストセラー小説。
    時代に翻弄させれる波子。
    文章がすごく良いです。
    「鳴いて血を吐くホトトギス」なのでしょうか。
    「ああつらい! つらい! もう女なんぞに生まれはしませんよ」など、会話文が素晴らしいです。

  • 明治の大ベストセラー作品。
    徳富蘆花というと、明治の文豪というよりも不如帰の執筆者としてしか寡聞にして知らないのですが、少なくとも本作は言うまでもない有名作です。
    作品自体は国語の教科書で知っていたのですが、最も本を読んでいた時期に図書館になかったこともあり、いい大人になった今、初めて読んでみることにしました。
    なお、本書収録作は表題の不如帰のみとなっています。

    主人公は海軍少尉の川島武夫と、その妻、お浪で、二人は普通に幸せな結婚生活を営んでいたのですが、周りには敵がいっぱいです。
    まず、武夫が幼いころから一緒に暮らしていた千々石、彼は世間の表通りを通ることを厭い、上に取り入って出世をするという周囲の鼻つまみ者で、何かと武夫を目の敵にしていました。彼はお浪を狙っていて、こっそり恋文を渡したのですが、お浪は彼の留守中に籍を入れてしまい逆恨みをしています。
    また、武夫の父がお世話をしていた山木兵造という男は、川島の財産を狙っていて、なんとか娘のお豊と武夫を添わせようと画策します。
    さらに、お浪の継母は大人しいお浪を嫌い、お浪に冷たくあたり、姑にあたる武夫の母は根は悪くなのですが、お浪よりも武夫を、家のことを念頭に考えている。
    そんなおり、お浪が結核で血を吐いてしまいます。
    当時の結核といえば不治の病で、更には伝染るという迷信が真のように人口に膾炙していましたので、それをチャンスとばかりに人々は二人を引き裂きにかかる、という話です。

    文語体で書かれていて、読み慣れていない人には抵抗を感じるかと思いますが、難解な文章というわけではないためちょっと本を読んでいる方なら普通に読めると思います。

    前編、中編、後編と3つの編に別れていて、前編は二人の置かれている立場の描写、中編でお浪の病、人々の謀略とその結果、そして後編でその後が書かれています。
    前編は割りと退屈で、パラパラとめくっていたのですが、中編の中頃辺りから一気に面白くなります。
    そのあたりから場面が急に進んで、面白がるような展開ではないのですが、心無き者の謀略と引き裂かれる二人、その二人の心情を思うと、心動かされるものがあります。
    ラストは大団円とは言えないですが、少なくとも奸計を巡らせていた人たちの思い通りのラストとはならなかっただけ良かったかなと感じました。

  • 表現が、候が多く、最初読みにくかったが、中盤以降、速やかに読めた。

  • 徳富蘆花―不如帰
    学校で習うような小説なんて、説教くさいのかと思いきや、これ、完全に昼ドラマです。

    夫婦仲は、当時としてはびっくりするほどよい。
    ところが、彼ら二人の周囲には敵がたくさんいるのです。

    意地悪なお姑さん、冷たい義理の母ーこれが浪子サイド。
    育ててもらった恩も忘れて逆恨みする従兄弟、娘可愛さに浪子と別れさせようと画策する出入りの商人山木ーこれが武男サイド。
    従兄弟と山木はあくどい商売で繋がってもいる。
    そして、従兄弟の千々岩は浪子に横恋慕してるのざます。

    浪子の父は心から浪子のことを慈しんでいるけれども、しょせん父親。
    しかも戦時中の軍人。
    肝心な時にはいない。
    それは武男も同じ。
    肝心な時、そばにいない。
    浪子のなくなった母の姉も浪子の味方ではあるが、やはりいつもそばにいるというわけにはいかない。

    きっかけは風邪だった。
    こじらせて肺結核に。
    当時の肺結核は、死に至る病であり、しかも伝染病。
    夫婦は愛し合っているのに、さまざまな思惑にからめ捕られ、武男が戦地に行っている間に離縁ということになってしまう。

    短い小説ですが、どろどろした情念あり、清らかな愛情あり。
    そして、何も悪いことをしていない夫婦二人は、幸せの絶頂から不幸のどん底に突き落とされるのです。
    これは、人気出るでしょう。

    離縁させられた絶望から戦地で無茶を重ねる武男の姿などは、かなりくどく感じますが(なくてもいい部分と思われ)、当時はどう受け止められていたのでしょう?

    「ああつらい!つらい!もう―もう婦人(おんな)なんぞに―生まれはしませんよ。―あああ!」
    死の間際の浪子のセリフは有名ですが、男だって決して自由ではなかった。
    武男だって浪子と別れるのは嫌だったけど、親に逆らうことは親不孝であり、別れた妻に会いに行くことは世間体の悪いことであり、それらの障害を武男は越えることができなかった。

    人生はままならない。
    だからこういう小説は時代を超えて読まれるのだろう。
    しかし最後の一文。これは、要りますか?

  • 儚い生命が病に手折られる哀しさ、二人の仲が引き裂かれる運命の残酷さ。悲運に悲運が重なる浪子が哀れ。

    いわゆるお涙頂戴もので、全体的にひたすら浪子が可哀想なのですが、論理的な矛盾を指摘したりするのでなく(だって武雄にも情熱の足りなさを感じるし家制度も腹が立つし、何もここまで浪子に辛苦をなめさせなくてもと思う)、絶望に出会った人物達の心の動きや表現を鑑賞するべきです。
    万一この後もし武雄が再婚してもいいんだよ!だって今のこの愛はまぎれもない本物で最高潮だったのだから。

    手紙に「玉章とる手おそしとくりかえしくりかえしくりかえし拝し上げ」る浪子。さびしく微笑し妹の為に派手な着物を選ぶ浪子。

    愛の情熱の激しさ、文章の格調高さ。浪子の無念はいかばかり!

  •  
    ── 徳冨 蘆花《不如帰 19380701 岩波書店》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4003101510
     
    …… 浪子は涙に曇る目に微笑を帯びて「なおりますわ、きっとなお
    りますわ、――あああ、人間はなぜ死ぬのでしょう! 生きたいわ!
     千年も万年も生きたいわ! 死ぬなら二人で! ねエ、二人で!」
    「浪さんが亡くなれば、僕も生きちゃおらん!」
    「本当? うれしい! ねエ、二人で!――でもおっ母《かあ》さまが
    いらッしゃるし、お職分《つとめ》があるし、そう思っておいでなすッ
    ても自由にならないでしょう。その時はわたくしだけ先に行って待たな
    けりゃならないのですねエ――わたくしが死んだら時々は思い出してく
    ださるの? エ? エ? あなた?」
     武男は涙をふりはらいつつ、浪子の黒髪《かみ》をかいなで「ああも
    うこんな話はよそうじゃないか。早く養生して、よくなッて、ねエ浪さ
    ん、二人で長生きして、金婚式をしようじゃないか」
     浪子は良人《おっと》の手をひしと両手に握りしめ、身を投げかけて、
    熱き涙をはらはらと武男が膝《ひざ》に落としつつ「死んでも、わたし
    はあなたの妻ですわ! だれがどうしたッて、病気したッて、死んだッ
    て、未来の未来の後《さき》までわたしはあなたの妻ですわ!」
    ── 徳冨 蘆花《不如帰 1898-1899‥‥ 国民新聞》
     
    http://www.aozora.gr.jp/cards/000280/card1706.html#download
     徳富 蘆花(健次郎)蘇峰の弟 18681208 熊本 伊香保 19270918 60 /客死/明治 1.1025
    http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/search?idst=87518&key=%C6%C1%C9%D9+%E9%C3%B2%D6
     
    (20151230)
     

  • 結核の病を背景に物語は中盤から展開していく。いろいろな比喩も散りばめられている。ドラマとか舞台の原作になるようや作品です。

  • 伊香保温泉への旅行のときに読みました。
    文語体でも思ったより読みやすかったです。姑の気持ちもわからなくないな、と思います。漱石のこどもが泣いたという映画も見てみたくなりました。

  • “自分は電話の「線」になったまでのこと。”
    巻首に寄せた著者の言葉が物語を一層重くする。
    姑のお慶を筆頭に、千々岩、山木親子が心底憎たらしい。悪だくみの台詞が妙に生々しくてドキドキした。ここまで残酷になる人の心理が怖すぎる。
    女が辛い時代は、男もまた辛かった。言葉少なな片岡中将からは怒りと悔しさがにじむ。
    浪子の死後もお慶は相変わらずなので、早々に再婚を勧めるだろう。その時、武男はどうするかが気にかかる。

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