- Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003102138
作品紹介・あらすじ
明治14年、花袋が11歳で出京してからほぼ30年の東京という街の変遷と、その中にあって文学に青春を燃焼させた藤村・独歩・国男ら若い文学者の群像を描く。紅葉・露伴・鴎外ら先輩作家との交流にも触れ、花袋の自伝であるとともに明治文壇史でもある。また明治の社会や風俗の資料としても興味深い。
感想・レビュー・書評
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明治の頃の東京を知りたくて、この本を手に取った。花袋は都内を散歩するのが好きだったようで、都内各地の様子がよくわかる。
早稲田町は淋しく、雪の日には狐が鳴いたとある。令和の今では、ファンタジーのような世界だ。
その一方で、いたいけな青少年時代の花袋の姿がある。センチメンタルで、幻想的な世界を楽しみたい人にお勧めしたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「蒲団」、「田舎教師」で知られる作家 田山花袋の随筆集。若き作家志望の書生 田山花袋の苦悩と野望が胸に迫る。国木田独歩をはじめとする他の作家との交流が活き活きと描かれ、文壇史としても面白い。そして、それらに明治から大正にかけて凄まじいスピードで変化する東京の街の様子が折々絡んでくる。十分楽しめました。
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2013/11/03
読みたい
神保町のブックフェスティバルで買ってきた。いつの時代も輝く東京…。
2013/12/15
読み終わった
「坂の上の雲」「明治、父、アメリカ」と似ている空気を感じる。何かに向かって一生懸命になるのが、ストレートにかっこいい時代の話です。自然主義文学一流の、淡々としているが芯の通った文体が、そのかっこよさを一層の高みへと導いている。
なんて、花袋も独歩も、島崎藤村も、まだただの文学青年で、なんか若い!だからエネルギーがあるのかな。
「KとT」「ある写真」「陣中の鷗外漁史」などが特に好きだよ。 -
明治時代の生活や風俗が知りたくて読んでみたが、文壇のしがらみや人間関係の云々がかなり多めだった。が、ふと町を歩き昔の面影のカケラを見つけた時、丁稚だった子供の自分の幻が横を走り抜け、ボサボサ頭で苦悩していたシャイな青年だった自分の幻が過ぎ去ってゆく。そんなノスタルジックな描写に涙が出そうになった。印象に残ったのは、TとKという二人の性格がまるで正反対な小説家二人の奇妙な関係。TはKの派手さを嫌悪し、憧れ、才能に嫉妬する。嫌なやつだが離れられない。そんな描写が延々と続くのだが、読み進めていくとあれだけTだKだと仮名に拘っていたのにあっさり本名を書いてしまうものだから、「国木田って書いとるがな!」と、本に向かってツッコミを入れてしまった。生活の描写がもう少し欲しかったので、点数ちょい辛め。
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明治の文学界の交流、当時の東京の街の風景、それらを背景として織り交ぜながら、若く上京し文学を志すも認められず苦悩する若き花袋、地位と名声を手に入れるも、仲間が次々と天逝し、人の世の儚さを日本の自然の風景の中に見出す老成した花袋。彼の小説を読んだことはないが、彼の内面の描写や、自然の風景の表現を味わうことができた。
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花袋の自伝的エッセイ。
春の終わり、ほかのどの場所よりも気品ある女性達が歩く九段。
藤村のつぶやきが狙いすぎている。
「ラブということはもう私たちにはおしまいですね。春もすぎましたね」
この寂しげなつぶやきに、おそらく花袋は何も言葉を返せなかったのではないだろか。
花袋、藤村とも20才代の後半にさしかかっていた。
藤村のラブは終わったとして、その後の色欲にまみれた彼を、花袋はどう思っていたんだろうか… -
読み終わってしまった。生活がにじみ出ていて、激変の明治の様子がまざまざ分かる。先に死んだ独歩や眉山の話が何度も出てきて、生き残った者の悲哀というか、楽しかった時代の愛惜の念が感じられてしんみり楽しかった。
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明治14年、花袋が11歳で東京に出てきてからおよそ30年の東京という町の変遷と、その中にあって文学に青春を燃焼させた藤村、独歩、国男ら若い文学者たちとの交流を描いている。紅葉、露伴、鴎外、漱石なども出てくるので、「ああーほんとにこの人たちが生きていた時代があったんだなぁ」と妙なところに感動した。
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意外に面白かった。明治期の東京の様子、文壇の世界が生き生きと描かれていて。そういえば初・田山花袋。小説はあらすじだけでもう読む気をなくすけど(じめじめべとべとしてそうで・・・)、ちょい叙情的な文章もエッセイだと大丈夫だった。
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群馬などを舞台とした作品です。